九限 魔術消費量計算
魔力量(M:マナ)
マナ(M)とは、魔力の総量を数値化し、定量的に測定するための単位である。
魔法の発動や持続時間、威力に直接関係し、個々の魔法使いの資質や成長によって増減する。マナの総量は個人の魔術的才能や訓練によって変化し、術者の体質や魔力制御能力にも影響を受ける。
魔法陣と魔力の消費量
魔法陣は、魔力の流れを最適化し、魔術の効果を安定させるための重要な構成要素である。そのため、使用する魔法陣の種類によって魔力の消費量は大きく異なる。以下に、一般的な魔法陣とそれに必要な魔力量を示す。
魔法陣の種類
無型魔法陣
2M
I型魔法陣
3M
十字型魔法陣
4M
星型魔法陣
5M
六星型魔法陣
6M
それぞれの説明は、三限で解説済み。
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魔術言語と消費魔力
魔術言語は、一文字ごとに魔力を宿しており、記述する文字数が多いほど消費魔力量が増加する。原素魔術は、全ての魔術の基礎となる魔術であり、これらを組み合わせることでより高度な術式を構築することが可能である。以下に、現在確認されている原素魔術とその消費魔力量を示す。
原素魔術の分類と消費魔力量
火系魔術(焔の原素)
火を操る魔術は、攻撃魔術の基本であり、燃焼・熱エネルギーの制御に関わる。
フレア(炎)
2M
小規模な火を生じさせる。
フレイムスピア(炎槍)
4M
炎を槍の形状に変え、突き刺すように飛ばす。
インフェルノ(烈火)
7M
周囲を炎で包み込む。
プロミネンス(爆炎)
10M
高温の爆発を引き起こす大規模魔法。
水系魔術(氷霜の原素)
水の流れや氷の形成を操る魔術であり、攻防ともに優れた特性を持つ。
アクア(水)
2M
水を生み出し、自由に操作する。
フリーズ(凍結)
3M
水を凍らせ、氷の足場や障壁を作る。
アイスランス(氷槍)
5M
氷の槍を形成し、敵を貫く。
アブソリュートゼロ(絶対零度)
12M
対象の物質を瞬時に凍結させる。
風系魔術(疾風の原素)
大気を操り、風の力を利用する魔術。速度と機動性に優れる。
ブリーズ(微風)
1M
そよ風を起こし、軽い物を動かす。
エアカッター(風刃)
3M
高速で回転する風の刃を飛ばす。
トルネード(竜巻)
6M
周囲の風を収束させ、大規模な旋風を発生させる。
テンペスト(暴風)
9M
広範囲に渡って強力な嵐を発生させる。
地系魔術(大地の原素)
土や岩石を操る魔術であり、主に防御や地形操作に適する。
アース(大地)
2M
土や砂を操作する。
ロックバレット(岩弾)
4M
岩石を弾丸のように飛ばす。
クエイク(地震)
7M
地面を揺るがし、周囲のバランスを崩す。
テラフォーミング(大地創造)
10M
地形そのものを大規模に変化させる。
雷系魔術(雷電の原素)
電気エネルギーを操る魔術であり、瞬発力に優れた攻撃魔法が多い。
スパーク(火花)
2M
小さな電流を発生させる。
ライトニングボルト(雷撃)
5M
目標に向けて雷を放つ。
サンダーストーム(雷嵐)
8M
広範囲に雷を降らせる。
プラズマディストーション(雷神の裁き)
12M
周囲に極限の雷エネルギーを放出する。
身体に関わる原素魔術
主に身体強化など身体に関わる魔術
ブースト(瞬発力強化)
2M
一時的に脚力を強化し、短距離を素早く移動できる。
ハードン(硬化)
3M
皮膚を鉄のように硬化させ、防御力を向上させる。
バーストストライク(衝撃拳)
4M
拳に魔力を集中させ、爆発的な衝撃を加える攻撃を繰り出す。
アキュートセンス(鋭敏感覚)
5M
五感を鋭敏化し、周囲の変化を素早く察知できる。
フェロシティ(超反応)
6M
反射神経を極限まで高め、攻撃や回避の速度を向上させる。
タイタンフォース(剛力)
7M
短時間、筋力を数倍に強化し、常人では扱えない重量の武器を振るえる。
グラビティシフト(重力制御)
9M
一定時間、自身の体重を軽減または増加させる。軽減すれば俊敏性向上、増加すれば攻撃の破壊力増大。
ウルフスピード(獣化)
10M
一時的に動物的な身体能力(俊敏さ、嗅覚、視覚)を得る。
ブラッドフレア(活性燃焼)
12M
自らの血を燃料として、極限の身体能力強化を行う。ただし使用後は大きな反動がある。
原素魔術の応用
原素魔術は、それぞれの要素を組み合わせることで、新たな魔術を生み出すことができる。例えば、
•火+風 → 爆炎魔法
•水+雷 → 帯電水流魔法
•地+火 → 溶岩魔法
このように、異なる原素を掛け合わせることで、より強力かつ応用の利く魔術が生まれる。原素魔術の組み合わせは無限に存在し、研究が続けられている。
原素魔術は他にも存在するがここに書かれているものは魔術師となるための最低限覚えるべき魔術言語と消費魔力である。
魔力量の計算方法
魔術を使用する際に必要とされる魔力量(M)は、以下の3つの要素を合計した数値として算出される。
1.使用する魔法陣の種類による消費魔力量
2.魔術言語の組み合わせによる消費魔力量
3.魔法陣専用紙の大きさによる消費魔力量
この3つの要素を合算したものが、実際に魔術を発動するために消費される魔力量となる。
例:爆炎魔法「フレアテンペスト」の場合
① 使用する魔法陣の種類
本魔術では、直線的な魔力の流れを生み出し、攻撃魔術に適した I型魔法陣 を使用する。この魔法陣の消費魔力量は 3M である。
② 魔術言語の組み合わせ
「フレアテンペスト」を構成する魔術言語は、以下の2つである。
•プロミネンス: 10M
•テンペスト: 9M
これらの魔術言語の消費魔力量を合算すると、 10M + 9M = 19M となる。
③ 魔法陣専用紙の影響
魔法陣を記すためには専用の紙を使用する。紙の消費魔力量は、紙の面積 × 1/1000 によって計算される。
今回の紙の大きさは 縦30cm × 横30cm = 900cm² であるため、
900 × 1/1000= 0.9M
となる。
④ 総消費魔力量の算出
以上の要素を合算すると、最終的な消費魔力量は以下の通りとなる。
3M(I型魔法陣) + 10M + 9M + 0.9M(紙) = 22.9M
このように、魔術を発動するためには、魔法陣の種類、魔術言語の組み合わせ、紙の大きさといった複数の要素を考慮し、それぞれの消費魔力量を正しく計算する必要がある。
魔力抵抗(MR:Magic Resistance)
魔力抵抗(MR)は、外部からの魔術的な影響をどれだけ軽減または無効化できるかを示す指標である。MRの単位は 「ΩM」 で表記され、数値が高いほど魔術に対する耐性が強いことを意味する。
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魔力抵抗の計算式
魔力抵抗は、主に以下の要素によって決定される。
MR = 基礎抵抗値 + 装備補正 + 特殊補正/1 + 魔術適応率
•分子(基礎抵抗値 + 装備補正 + 特殊補正) は、魔術への抵抗力を増やす要因。
•分母(1 + 魔術適応率) は、魔術の影響を受けやすいかどうかを決める。
各要素の詳細は以下の通りである。
1.基礎抵抗値(Base MR)
•生まれ持った魔術耐性や訓練による向上。一般的な成人の平均MRは 10ΩM 程度。
•種族によって大きく異なり、魔族や竜族は100ΩMを超えることもある。
2.装備補正(Equipment Bonus)
•魔法防御に優れた防具やアクセサリーによる追加耐性。
•例えば、「魔法耐性のローブ」は +20ΩM 、「聖なる盾」は +50ΩM など。
3.特殊補正(Special Effects)
•魔力の流れを乱すフィールド、呪い、祝福など。
•例:神聖な加護(+30ΩM)、呪詛(-15ΩM)など。
4.魔術適応率(Magic Adaptation Rate)
•魔術に対する適応力が高いほど、魔法の効果を受けやすくなり、抵抗値が相対的に低下する。
•魔術師は一般的に適応率が高く、戦士は適応率が低い傾向がある。
•例:魔術適応率 0.2(20%)の場合、MRは 1.2 で割られる。
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魔力抵抗の目安
MR(ΩM)
魔法に対する耐性の目安
0ΩM
魔術の影響を完全に受ける(一般人以下)
10ΩM
一般的な成人の平均的な耐性
30ΩM
訓練された騎士や一部の魔術師が持つ耐性
50ΩM
高位の戦士や魔導士が持つ耐性
100ΩM
魔族や竜族のような特異な存在の耐性
200ΩM
一般的な魔術ではほぼ効果を及ぼせないレベル
500ΩM
神話級の存在や超越者レベルの耐性
1000ΩM以上
もはや魔法の干渉を完全に無効化できる領域
魔力抵抗と魔術の関係
魔術が対象に対してどの程度の効果を及ぼすかは、魔術の消費魔力量(M)と対象の魔力抵抗(MR)との比率 によって決まる。
=-(MR/2)
例)
•魔力50Mの魔術 を MR20ΩMの対象 に使用した場合
50-(20/2)=50-10=40M
•魔力30Mの魔術 を MR60ΩMの対象 に使用した場合
30-(60/2)=30-30=0M
このように、MRが高いほど、魔術の効果を軽減または完全に無効化することができる。特に高MRの相手には、より強力な魔術を使用するか、魔力抵抗を無視する特殊な術式を用いる必要がある。
魔法陣と魔力抵抗の関係
魔術を使用する際には、魔法陣の使用が不可欠となる。魔法陣は 魔法陣専用紙 に描かれることが一般的であり、その場合、消費魔力量の計算に 紙の面積 が加算される。しかし、空想魔法陣のように 魔法陣専用紙を必要としない魔術 も存在する。
魔法陣専用紙を使用する場合
•使用する紙の大きさに応じて 消費魔力量(M)が増加 する。
•計算式: 紙の面積 × 1/1000(m²あたり)
例)
縦30cm × 横30cm(0.3m × 0.3m = 0.09m²)の魔法陣 を使用した場合
0.09×1/1000=0.00009M
この値が消費魔力量に加算される。
魔法陣専用紙を使用しない場合
•魔法陣を描く物質の 魔力抵抗(ΩM) を考慮する必要がある。
•例えば、鉄(MR = 50ΩM) に魔法陣を刻んだ場合、魔力の流れが大幅に阻害されるため、消費魔力量が増加する。
•一方で、魔法適性の高いクリスタル(MR = 5ΩM) を使用すれば、魔術の効率が向上する。
このため、魔法陣をどの素材に刻むかによって、消費魔力や効果範囲が変化することになる。
例題
兵士が 基礎抵抗値20ΩM、魔法耐性のローブ(+20ΩM)、神聖な加護(+30ΩM) を持ち、魔術適応率が0.2 の場合最終的な魔力抵抗値は。
答え
MR=(20+20+30)/1+0.2
=58.3M
補足解説(用語の説明)
① 基礎抵抗値(Base MR)
「生まれ持った、または鍛えられた魔法への耐性」 を指します。
これは、キャラクターや生物の 種族、体質、魔法への適応力 などによって決まります。
•一般人の平均的な基礎抵抗値 → 10ΩM
•訓練された戦士や魔術師 → 30ΩM
•竜族や魔族のような特異な存在 → 100ΩM以上
例
•人間の兵士の基礎抵抗値 = 20ΩM
•エルフ(魔法に親和性がある種族)の基礎抵抗値 = 15ΩM
•竜族(魔法耐性が高い)の基礎抵抗値 = 100ΩM
この数値が高いほど、基本的に魔法に対する耐性が高くなります。
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② 装備補正(Equipment Bonus)
「身に着けている防具やアクセサリーによる魔力抵抗の補正値」 です。
魔法耐性を高める装備を身につけると、この数値が上昇します。
•魔法耐性のローブ → +20ΩM
•聖なる盾(高位の聖属性防御) → +50ΩM
•魔力吸収の指輪(特定の属性魔法を無効化) → +30ΩM
例
•兵士(基礎抵抗値:20ΩM)が「魔法耐性のローブ(+20ΩM)」を装備
→ 合計40ΩM
•魔法使い(基礎抵抗値:10ΩM)が「聖なる盾(+50ΩM)」を装備
→ 合計60ΩM
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③ 特殊補正(Special Effects)
「特定の状況やスキル、呪い、加護などによる補正値」 です。
これは 魔法の影響を受けにくくする要因 や 逆に魔法を受けやすくする要因 を指します。
•神聖な加護(聖なる力で守られている) → +30ΩM
•呪詛(魔力を通しやすくする呪い) → -15ΩM
•魔法適応スキル(魔法への適応力を上げるが、耐性は低下) → -10ΩM
例
•兵士(基礎抵抗値:20ΩM)が「魔法耐性のローブ(+20ΩM)」を装備し、さらに「神聖な加護(+30ΩM)」を受ける
→ 合計70ΩM
•魔法使い(基礎抵抗値:10ΩM)が「聖なる盾(+50ΩM)」を装備するが、「呪詛(-15ΩM)」を受ける
→ 合計45ΩM
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④ 魔術適応率(Magic Adaptation Rate)
これは 「その対象が魔法をどれだけ受け入れやすいか(適応しやすいか)」 を示す値です。
この数値が高いと、 魔術の影響を強く受ける ため、相対的に 魔力抵抗(MR)が低くなる という仕組みです。
•戦士(魔術適応率 0.1) → 魔法の影響を受けにくい
•一般人(魔術適応率 0.2) → 平均的
•魔術師(魔術適応率 0.5) → 魔術の影響を受けやすい
•精霊(魔術適応率 1.0以上) → 魔術と親和性が高すぎて、ほぼ無抵抗