すい
すっぱいもので口直し
舌に残る、強烈で爽やかな味ーーーー。
真夏の太陽に向かって手をのばした
幻の君が忘れられなくて
でもイマは
空気の端にも感じない
必死に
もがいた
夜も
私だけの事実で
口にしたものは梅と、
あめ
あの日に傘をさして迎えに行った
ただそれだけが
私の中で繰り返される
酸いも甘いもどこかに消えて
この身体から蒸発していく
気がつけば
重たかったものは
時間の中に置き去りにされて
焦げていた
甘酸っぱい
梅のサイダーだけが
私を慰める
泡の浮くと同時に
酸味と液体が奥底に沈んで
溜まって
未明の空色の池に
そそがれる
清流に蜂蜜だけが薄く溶け残り
絡まる
伸ばした手で
夕日をかき混ぜて、手を振っていた日と
わざと
重ねてやった
そうするしかないんだ
水深5mから世界を見ている気分で
大した味もしない梅の種を
ずっと転がしているなんて
目が眩んで倒れる前に
すい、炭酸で洗い流す
唇に氷をあてながらーーーーーー
初夏に梅雨
夏に梅
秋に雨
口に飴