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初級ダンジョンRTA走者 世界最速を達成したので解説動画を公開したら参考にならなすぎで大バズりしてしまう【書籍化決定】  作者: ねこ鍋


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第70話 RTAの世界では天地がひっくり返ることもある

階段を降りて54階にやってきた。

ここもこれまでの階層と大きな違いはない。

視界をさえぎる物がないため、地下なのに地平線が見えるくらいに広大な空間だ。


広い分たどり着くのに時間がかかる。

さっさと駆け抜けようと走り始めた時、洞窟全体が振動を始めた。


>なんか画面揺れてない?

>地震?

>でも地震速報は出てないぞ

>じゃあダンジョンが揺れてるってこと?

>そんなことある?

>もしかしてまたアイギスが来たのか?


コメントが少しざわついていたが、俺にはすぐ原因がわかった。


「いえ、これは違いますね。

 世界樹が倒れてきたようです」


>え?

>今なんて?

>どういうこと?


「世界樹の根を焼いたので、自身を支えきれなくなってきたんでしょう」


……ごごごごごごごごご。


説明する間にも揺れは徐々に大きくなり、響く音も次第に大きくなってくる。

天井からもパラパラと欠片が降り始めてきた。


>え?

>やばくないそれ?

>世界樹ってあの山よりデカかった樹でしょ

>あれが……倒れてくる……?

>……やばくない?


「そうですね。やばいです。

 なにしろ……」


ごごごごごごごごご!!!


揺れも轟音も際限なく大きくなり続けている。

今や地面は水面のように波打ち、鳴り響く轟音が全身を打ち付ける。


次の瞬間、ダンジョンの天井を突き破って、広大な地平線の全てを埋め尽くすほどの巨大な塊が落下してきた!


>うおおおお山が落ちてくる!!

>迫力やべえええええええ!!

>やばすぎるるるるるる!!

>なんじゃこりゃあああああ!!


巨大な冥樹による超巨大質量が、硬いダンジョンの階層を次々に破壊していく。

弾き飛ばされる天井の瓦礫だけでも、ちょっとした散弾銃くらいの威力があった。

それが絶え間なく降り注いで来るんだ。

魔力壁による防御がなかったら今頃は跡形もなかっただろう。


しかも落ちてくるのは瓦礫だけじゃない。

世界樹の枝だけでも、その大きさは高層ビルくらいある。

振り下ろされた巨人の斬撃のように、落下する世界樹の枝が眼前を通過し、ダンジョンの床を真っ二つに切り裂いた。


>あぶねえええええええええ!!!!

>こんなのやばいって!!

>あんなのに当たったらいくらケンジくんでも死んじゃうよ!

>ワープゲートで逃げよう!!


ワープゲートで逃げるのは最終手段だ。

本当に危なかったらもちろんその手はあるが、当然RTAとしては失格になる。


それに世界樹の倒壊は、元が大きいだけあって速度は遅い。

真上にでも落ちてこない限り、避けることは簡単だ。


シオリを抱えながら瓦礫を弾き、世界樹の枝をかわしていく。


超巨大質量倒壊の威力は凄まじく、ダンジョンの床も連鎖的に崩壊していった。

これで大きくショートカットできるのだが、実は一つだけ欠点があるんだ。

それは、世界樹はあまりにも巨大なので、倒れるのにも時間がかかるということ。


なので加速させる必要があるんだ。


倒れていく世界樹の枝をかわしざま、それに触れて魔力を込めた。


「時間魔法〈100倍加速〉」


>は?

>は?

>は?

>は?

>は?


「は?」


ゆっくりと傾いていた世界樹の速度が、急激に加速した。

巨大な幹が隕石のような速度でダンジョンを破壊していく。

瓦礫も加速されて流星群のように降り注ぎ、数千本、あるいは数万はあるかもしれない世界樹の枝が、超高速でダンジョンをズタズタに切り裂いていった!


「きゃああああああああああああっっ!!!!」


>ぎゃああああああああ!!!!!

>やばすぎいいいいいい!!!

>なんじゃこりゃあああああ!!!

>これが……第8の災厄……!

>【RTA走者】……!!

>やっぱどの階層に行っても一番やばいのケンジくんだわw


俺は自分にも100倍加速をかけ、シオリを抱えながら世界樹を避けていく。

加速したおかげで、世界樹もあっという間に底にまで到達した。


──……っっどおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!


とてつもない激震が足元から突き上げてくる。

魔力壁で保護していてもこの衝撃だ。

その威力はとんでもないだろう。


ダンジョン全体が鳴動し、粉塵が暴風雨のように荒れ狂う。

衝撃と風塵が急激な上昇気流となって吹き抜けていった。

あれに巻き込まれればあっという間に地上まで吹き飛ばされてしまう。

飛ばされないよう、姿勢を制御しながら収まるのを待つ。


やがて暴風雨が落ち着いてくると、目の前の光景が見えてくる。

ダンジョンの床が10階以上もまとめて世界樹に貫かれていた。


「これでやばいくらいショートカットができますね。

 さすがに防御魔法を使用しないと怪我をしてしまいますが、それを差し引いても大幅にタイムを短縮することができます。

 皆さんも世界樹を見かけたら、積極的に倒していきましょう」


>いやいやいやw

>無理無理無理w

>間違いなく死んじゃうw

>やばいってそういう意味……w

>確かにやばいわ、ケンジくんの頭の中がw

読んでいただきありがとうございます!


この作品はなろうコンに応募してます!

面白い、続きが読みたいと思っていただけたら、ブクマや評価、コメントなどで応援していただけるととっても嬉しいです!

どちらも大変モチベーションアップになりますので、ぜひよろしくお願いします!

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[良い点] けんちゃんがアタオカ。 [気になる点] けんちゃんがアタオカ。 [一言] けんちゃんがアタオカすぎてそれ以外の感想が出てこない。 どうしてくれるこの作者様良いぞもっとやれ! 一話ずつの…
[一言] ひどいw
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