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第7話 ゴブリンの簡単な倒し方講座

「バトルは基本的には時間の無駄です。避けられるなら避けるべきです。

 ですがそうも言ってられない場合もあります。例えば今がそうですね。ゴブリンを避けて違う道を通ることもできますが、そうすると階段に対して遠回りになってしまいます。なのでここでは倒す必要があります」


ゴブリンたちが俺に向けて邪な笑みを浮かべる。

ダンジョン内のモンスターはほとんどが人間に対して好戦的だ。

このゴブリンたちも同じようで、手にした棍棒を構えようとした。


友好的なモンスターだったら戦わなくて済むので楽なんだけど。

まあこればっかりはしょうがない。

何が起こるかわからないのもRTAの楽しみの一つだからな。


なので俺はゴブリンたちの間を素早く走り抜ける。

同時にゴブリンたちが次々に倒れた。


>は?

>今何した?

>ゴブリンがいたと思ったら急に倒れたんだが……


「わざわざ戦うのはタイムロスになります。なので通り抜けながら攻撃することで移動と戦闘を同時にこなせるのでタイム短縮につながります。これもRTAには必須のテクニックなのでぜひ習得したいですね。

 今はいわゆる首トンですね。気絶させておけば追いかけられる心配もないので、気兼ねなくRTAできます。倒すこともできますが……今回はあえて気絶で止めてあります」


解説を加えながらも足は止めない。


>いや理屈はわかるけど……

>早すぎてなにも見えない……

>どう考えても普通に倒す方が早いだろ

>もしかしてケンジくん超強くない?


その後もダンジョン内を駆け抜け、モンスターたちを倒しながら進んでいった。

たまにゴブリンが棍棒をドロップすることもあったが、もちろん拾わない。

持ち込みは不可のルールなので、武器は今も素手のままだ。


「1階層の敵は素手でも問題ないというのもありますし、拾う時間の分だけタイムロスになりますし、重量が増えればその分だけ移動するスピードも落ちます。棍棒なら1階層進むのに100分の1秒程度かな? ダンジョンは100階まであるので、合計で一秒のロスにつながりますね」


タイムは金よりも重い。

現れる敵も素手で次々と倒していく。


>いくらゴブリンとはいえ素手は流石に草

>武器ぐらい拾わないのか

>修行僧かな


「あっ、この先の部屋にゴブリンの巣がありますね。10匹くらいでしょうか。サクッと通過しましょう」


>ゴブリンさんにげてー

>コメント打ってる間に倒し終わったw

>そしてもう次の部屋に飛び込んでいるという

>サクサク進むから見るの楽しいな

>てか実力やばくない?

>どこまで本当かわからんが、少なくともゴブリンを倒す手際は世界一だな


コメントもいい感じに盛り上がっている。

その後もしばらくは順調に進むことができた。


今まではゴブリンだったので首トンで問題なかったが……


「おっと、どうやら出て来ましたね」


角を曲がった先に広い部屋がある。

部屋の中央に下に降りる階段があるのだが、それを塞ぐように半透明のゼリー状の敵が覆いかぶさっていた。


>ヒュージスライムきたー

>1階でこれは運が悪いな


「確かに1階から中ボスがいるのは運が悪いですね。でも、そういうアクシデントを楽しむのもRTAです。

 さて、ヒュージスライムといえば初心者キラーとも言われていますね」


理由は、その耐性にある。

まずスライムというだけで打撃系の攻撃は効かないし、剣などの斬撃も効果が薄い。

魔法が一番効率がいいのだが、初心者でいきなり使うのは難しい。

結果、有効な攻撃方法がないんだ。


動きは遅いので逃げることは簡単なのだが、今回はそれが悪い方向に働いている。

階段の上から移動する気配がないんだよな。


「スライムは人型と違って首がないので首トンで気絶させることもできません。

 ですが、実は簡単な倒し方があります」


>マジで?

>俺のパーティーも一回こいつを倒せなくて撤退したんだよなあ

>待てお前ら落ち着け

>どうせまた参考にならないやつだぞ俺は知ってるんだ


俺は握っていた拳を開いて、手のひらを振りかぶる。

そしてそのままダッシュと共にヒュージスライムを叩いた。


ドパァン!!


巨大な水が破裂するような音が響き、ヒュージスライムが爆散する。


>えっ

>なんかすごい音がしたけど

>人の手が出していい音じゃなかったけど

>今何が起こった?


「スライムと言っても所詮は水です。吸収できる以上の衝撃を与えてやれば今のように破裂します。簡単ですね」


>簡単ですね、じゃないんだわ

>それができないからスライムって言うんですよ

>全然簡単じゃないんだよなあ……

>ハンマーを持ってるとかならわかるけどさあ

>スライムをビンタで倒すやつ初めて見た……


粉々になったヒュージスライムのカケラが光の粒になり、宙に溶けるように消えていく。

ボスを倒した証だ。

そして部屋の中央には木の宝箱が現れるのだが……それを見ることなく俺は階段を降りていった。


宝箱の中身? いらないいらない。持ち物が増えたらその分重くなってタイムが0.01秒も伸びてしまう。

タイムは金よりも重い。

さっさと次に行こうか。

《読者さんにお願い》読んでいただきありがとうございます!


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