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初級ダンジョンRTA走者 世界最速を達成したので解説動画を公開したら参考にならなすぎで大バズりしてしまう【書籍化決定】  作者: ねこ鍋


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第39話 初級ダンジョン地下24階

「えー、皆さんお久しぶりです。配信再開できてますかね?」


>お、ついた

>再開したか!

>どうしたの?


「シオリに本当に一時間説教をされたので、配信カメラのバッテリーが切れてしまいました。なので今は予備のバッテリーを入れて配信してます。なのであと一時間は配信できる予定です」


説教の途中でバッテリーが切れたので配信は中止していたんだ。

予備を入れて配信を再開しようといったんだけど、シオリは許してくれなかった。

シオリさん怖い……


>ちゃんと反省した?


「はい、それはもう。女の子にとって指輪はとても重要なものなので、軽率に人にあげたりしないようにします。プレゼントも気をつけます」

「プレゼントはして」

「あ、はい。次のシオリの誕生日に埋め合わせをすると約束したので、きちんとさせていただきます」


>また指輪プレゼントするの?


「それが……何をプレゼントするかは自分で考えてと言われたので……」


ちなみにシオリに破壊された指環は元に戻っていた。

もともと装備者を復活させる能力を持ってるから、その力で指輪が元に戻ったんだろう。

そのせいで指輪の能力は消費しちゃったけど……


まあシオリの実力を考えれば、あの指輪は必要なかったのかもしれないけど……

なのになぜか、まだ左手の薬指につけたままだった。

もう何の効果も無いから、ただの指輪でしかないんだけど……


なんだろ……同じことをするなよという戒めみたいなものだろうか……


とりあえずまた指輪をプレゼントするのは多分違うよな……?

シオリがちらちら指輪と俺を見てるのは、きっとそういう意味であってるよな……?


>なんでもいいよが一番難しいやつw

>センスが試されるな


「そうなんですよね。教えてもらった方が俺も助かるし、もらう方もいらないもの渡されたりしないから、お互いにとってもいいと言ったんですけど、許してもらえなくて……」

「……」


冷たい視線が突き刺さる。

これ以上この話をするなという意思表示だろう。


「ええと、とりあえずこの話はこれまでにしましょう。

 というわけなので、ダンジョンRTA解説動画の続きを初めていきたいと思います。パート3ってことになるんでしょうか。

 現在はダンジョンの24階にいます。配信外で進めたわけではなく、神々の試練を抜けると24階に出るんです。つまりショートカットですね。神速の腕輪を手に入れることも理由の一つですが、1番の理由はこのショートカットにあります」


神々の試練を終えると、ダンジョンの24階に出る。

10階から24階に一気に進むことになるため、これで上層はクリア、ダンジョンの4分の1をクリアしたことになる。

かなりのショートカットだ。


そしてこの先がちょうどダンジョンRTAの最初のポイントになる。


24階は苔むした石壁が続く、いかにも古い趣があるダンジョンだった。


「知ってる人もいると思いますが、25階から環境が大きく変わることがあるんですね。これまでは普通のダンジョンでしたが、急に一面の草原になったりします」


>あれマジですごいよな

>空間がどうなってるのか意味不明すぎる

>ダンジョンが未だ未知の領域だって思い知らされるよな

>幻想ステージ好き


「ああ、幻想ステージはいいですね。巨大な渓谷や、抜けるような空なんか、最高ですよね。障害物が一つもないのでタイムがかなり短縮できます」


>やっぱ景色よりタイムなんだなw

>普通にドラゴンやヒポグリフなどの幻想生物がいるから危険なんだけどなw

>25階まできて景色を楽しむ余裕なんて普通はないけど


コメントを見ながらダンジョンを進んでいくと、廊下の先から二足歩行の獣が現れた。

武器は持ってない。狼の頭に、毛むくじゃらの腕に長い鍵爪が伸びている。

一応人型だが、どちらかと言えば獣度合いの方が強い。


>ワーウルフか

>上層最後の難敵だよな

>熊を超えるほどの腕力に、獣特有の俊敏さがあるからな

>高機動高火力とかいうチートモンスター

>ちょっと瞬きした瞬間に後ろに回られたりするんだよな

>けどまあ……


「グルゥッ!!」


ワーウルフが地面を蹴る。

一歩目から凄まじい加速で走り出すと、一瞬で俺の目の前に現れ、その勢いのまま長い爪を振り下ろしてきた!


「──グルぶべらぁっ!!」


まっすぐ突き出した俺の拳に自らぶつかり、反動で反対側の壁まで吹っ飛んでいった。


>そりゃそうなるよなあw

>ケンジくん相手にスピード勝負とかw

>格の違いもわからないとは

>しょせんは獣よ……


「解説が遅れてしまいましたが、ワーウルフは確かに早いものの、基本的に直進しかしてきません。なので目の前に拳を置いておくだけで勝手にカウンターできます」


>そんなことできるのケンジくんだけなんだよなあw

>拳は置くだけでいい(名言)

>拳法家みたいなこと言い出したな

>格闘技極めると哲学になるの好き

>また新しい簡単な対処法が生まれてしまったか


その後もワーウルフや、その下位種族であるコボルトが襲ってきたりしたが、まあ基本的に対処法は変わらない。

突っ込んでくる獣をカウンターで倒し続けた。


>獣が突っ込んできては跳ね返されるのなんか癖になるな

>ピンボールかな

>学習能力ないのかわいそう

>同じ獣でもミノタウロスはちゃんと逃げてたのに

>やはり中級の獣は違う

>なお逃げても遅いと殺される模様

>相手にまでタイムを強要するRTA走者の鑑

>部屋の隅でガタガタ震えてたもんね

>知らない方が幸せだったのかも……


この辺の敵はカウンターするだけだから特に見栄えするところもない。

なのでさっさと進むことにしよう。


しばらく歩いて、下に降りる階段を見つけた。

階段の前には、俺よりも二回りは大きな人影が守るように立ちはだかっている。

ワーウルフのボスであるウォーウルフだ。


「……では、階段も見つかったのでさっそく進みましょうか」


>ボスが壁にめり込んでるw

>見せ場シーンすらなしw

>一応突っ込んできたところを無慈悲にカウンター合わされてたよ

>ボスとはいえ、全ステータスが3倍になったくらいの変化しかないからな

>名前も似てるし扱いが雑だよなあ

>ワーウルフが3倍強くなったら、もはや1匹で一個師団に相当しそうなんだけどな

>並の人間じゃどれだけ武装が強くても瞬殺だろうな

>銃弾とかいう早くても音速程度しか出ない欠陥武器

>みんな感覚麻痺してるの草


階段を守るボスもいなくなったので、これでいつでも降りれるようになった。

サーチでは下の階までは見通せないので、この先に何があるのかは降りてみるまでわからない。


「ここが最初のお祈りポイントですね。乱数調整である程度調整できますが、今回は神々の試練を通ってきたのでそこがうまくいってないんです。なので、ひどいステージに当たらないことを祈りましょう。

 水没した海ステージなんかになると移動速度が極端に落ちるので、再走も視野に入ります」


>ここまできて再走は勘弁してくださいw

>海ステージだけはきませんように

>海ステージでの戦い方を解説してくれてもいいんだよ?


なるほど、その手もありか……

水中とはいえ、一応やりようもあるからな。

その方法を伝えるのもRTA界の発展には必要なのかもしれないな。


>RTA界なんてないんだけどな

>現在1人だけですね

>解説動画を出せば出すほど新規は減っていく不思議

>なんでだろうなあ(ぼう


「まあ、入る前に悩んでも仕方ないですね。さっそく先に進みましょう!」

読んでいただきありがとうございます!


この作品はなろうコンに応募してます!

面白い、続きが読みたいと思っていただけたら、ブクマや評価、コメントなどで応援していただけるととっても嬉しいです!

どちらも大変モチベーションアップになりますので、ぜひよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] あ、指輪の効果一回だけなんだ…
[良い点] 海ステージか…。 全面海でなく湖みたいな奴の底に次階層の階段があったら「泳ぐとロスになりますから、水を割って走りましょう」とか言ってモーゼみたいな事しそう(笑)
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