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初級ダンジョンRTA走者 世界最速を達成したので解説動画を公開したら参考にならなすぎで大バズりしてしまう【書籍化決定】  作者: ねこ鍋


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第36話 告白RTA開始

「この指輪を、受け取ってくれないか?」


>公開告白来たーーーー!!

>シオリちゃん戸惑ってるじゃんw

>完全にキャパオーバーw

>末永く爆発してください


「あ、えっと、その…………」


シオリはなにやらとまどったまま、視線をうろうろとさまよわせている。

うーん? 見たことない表情だな。嫌がってるわけではなさそうだけど……


受け取るかどうか迷ってるようにも見えた。

よく知らないけどこの指輪は結構高い物みたいだし、そのせいで迷ってるのだろうか。


「ちょ、ちょっと待って」


そう言って俺から距離を取ると、いったん深呼吸を始めた。


「……大丈夫、大丈夫よ私……。深呼吸して……。こういうことは何度もあったじゃない……。どうせ今回も同じに決まってる……。期待しなければ失望もしないんだから……。

 ……よしっ」


なにやら決意を固めると、赤い顔のまま真っすぐに俺を見つめてきた。


「……えっと、その指輪って、どういう意味か、聞かせてくれる?」

「大切なシオリを守りたい。そういう意味に決まってるだろう」

「………………そ、そう……」


>これは100点

>落ちたな

>シオリちゃんは最初から落ちてたよ

>急に結婚を意識する瞬間ってあるよね

>ケンジ君もそのタイプだったか


「この指輪はな、持ち主が命の危機になったときに、一度だけ助けてくれるんだ。

 もちろん俺が一緒にいる限りシオリを傷つけさせるつもりはないけど、ダンジョンに絶対はない。もしかしたらさっきみたいに俺の知らないことが起きて、不測の事態が起きるかもしれないからな。

 たとえどんな危機になっても、シオリを絶対に守るという、俺の決意みたいなものだ」


「えっと、じゃあ、その……」


シオリが手を伸ばそうとする。

だけどなぜか躊躇ってるみたいだった。

皆の話だと結構珍しいアイテムみたいだったからな。

だからためらってるのかもしれない。

シオリはそういう所はちゃんとしてるからな。意外と頑固なんだ。


だったら、多少強引にでも渡した方がいいだろう。

俺はシオリの左手を取ると、その薬指に指輪をはめた。


「あっ……///」


>告白RTA終了

>リンゴーンリンゴーン(鐘の音

>婚約まで約3分です

>これは好タイムですね

>誰だよケンジくんは女の子の扱いが苦手だって言った奴

>これで完璧超人になってしまったな


シオリがはめられた指輪をそっとなでる。

その手つきは今まで一度も見たことないほど優しくて、そして愛おしそうだった。


「ありがとう。本当に嬉しい。一生大切にするね。あの、それで、私からの返事なんだけど……」

「いや、ダンジョンに入ってる間だけでいいぞ。そのあとは捨てるなり売るなり、好きにしてくれ」

「……えっ」


「ダンジョンRTAではその挑戦時に手に入ったアイテムだけ装備していいルールだからな。次のRTAの時にはちゃんと外してくれよ」

「……は?」


>あっ

>これは……

>あーあ

>俺たちしーらない


「えっと、じゃあ、この指輪はなんのためにくれたの……?」

「もちろんタイムのために決まってるじゃないか。突然ビビビッときたんだよ。これをシオリにあげればタイムが縮みそうだって」

「……」

「あ、もちろんシオリを守りたいってのは嘘じゃないぞ。でもまあそれはついでというか、勘みたいなもので特に深い理由はないんだけ、ど……」

「………………」


シオリが無言になっていた。

先ほどの優しい雰囲気はもはや見る影もなく、なんだか見たこともないほど表情を無くした顔をしている。


「………………なんで、左手の薬指に……?」

「……? だってシオリ、そこにはめてほしそうな顔してただろう」

「………………………………」

「幼馴染だからそれくらいは表情でわかるよ」


装備品はちゃんと装備しないと効果がないからな。

ふふん。どうだ。すごいだろう。


「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」


>0点

>0点

>0点

>そこまでわかるのにどうしてそれ以外がわからないんだ……

>離婚RTAはっじまーるよー


「ふうーーーーーん。そうなんだあ……」


異様なまでに優しい声がシオリの口から漏れる。


──めぎぃぃぃぃ……

《《指につけたままの状態で》》、シオリが指輪を引きちぎった。


あれ? シオリの顔がめちゃくちゃ真っ赤になってる。

これは怒りと恥ずかしさが両方マックスになった感じだ。


「そっか。そうだよね。だってケンジだもんね」


にっこり。

シオリが急に笑顔を向けてきた。


シオリは本気で怒ると逆に笑うタイプだ。

つまり……


……あの、もしかして、めちゃくちゃ怒ってますか……?


「ふふふふ。どうしてかわかるかしら?」


>一生大切にするね(30秒)

>短い一生だったな……

>ああ……一兆円の婚約指輪が……

>ワールドレコードおめでとうございます

>初級ダンジョンクリアタイムと同じか

>さすがだなケンジ君

>これは伝説の配信になる

>また死亡配信か……

>悲しい事故だったね……

>幼馴染の婚約破棄ものはじまった?

>もうすぐ終わるぞ


「えっと、その……よくわからないけどごめんなさい。俺が悪かったです」


「そう。ちゃんと謝れるのはえらいわね。でもよくわかってないのは良くないわね。

 これからたっぷり教えてあげるからそこに正座しなさい」


冷たく固いダンジョンの床に正座させられる俺。


「そういえば私からの返事を伝えてなかったわね」

「は、はい……」

「ありがとう。とてもいい勉強になったわ。お礼に一時間たーっぷりお説教してあげるわね」


ひぃ……!

読んでいただきありがとうございます!


この作品はなろうコンに応募してます!

面白い、続きが読みたいと思っていただけたら、ブクマや評価、コメントなどで応援していただけるととっても嬉しいです!

どちらも大変モチベーションアップになりますので、ぜひよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
そんな、1時間の正座だなんて……ハンデ戦か?
それが主旨の話じゃないのにラブコメ描写が長いと萎える
[一言] あれ?シオリも相当強い方だな?
感想一覧
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