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初級ダンジョンRTA走者 世界最速を達成したので解説動画を公開したら参考にならなすぎで大バズりしてしまう【書籍化決定】  作者: ねこ鍋


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第32話 逃げ惑うモンスターたち

ミノタウロスのモンスターハウスを抜けて廊下に出た。

ここから次の階段へは一本道なので、あとはまっすぐ進むだけだ。


次の部屋に入ると、中には3体のミノタウロスがいた。

それぞれ前回と同じ武器を構えている。

ミノタウロスたちは扉を開けて入ってきた俺に気がつくと、一斉に驚いた表情になった。


「ブブゴォ!?」


悲鳴を上げると、背中を向けて逃げ出した。


>え?www

>モンスターが逃げ出すとかwww

>ケンジくんやばすwww

>やっぱ化け物www


えぇ、化け物なのは俺じゃなくて向こうでしょ……


「ミノタウロスはモンスターの中でも知能が高いです。

 ミノタウロス同士で経験を共有してるらしくて、こちらとの戦いを学習するみたいなんです。

 なのでミノタウロスとは何度も戦ってると、だんだんこちらの動きに対応するようになります」


>そんなことあるのか

>まあ神話級モンスターだしそれくらいはな

>いやでもそういえば、ゴブリンでも似たようなことないか?

>そう言われると、戦うほど手強くなってるような……?


「あー、多分そうですね。ダンジョンに出るモンスターってそういう生物なんじゃなくて、結局ダンジョンの一部なんですよね。壁や床からモンスターまで、全部含めてダンジョンの一部というか。

 なので同じ性質をもってる可能性はあると思います」


>へー、そうなんだ

>じゃあ人型のモンスターは大体同じかな

>所詮豚のオークに学習能力なんてあるとは思えないが

>いうて上層のモンスターだしな

>そんなこと言ったらミノタウロスも牛だぞ

>神話級ほどの学習能力はないと思いたいけど……


「さすがにゴブリンやオークは、言われてみればある、くらいじゃないでしょうか。何度も戦ってるとこっちの顔くらいは覚えてる気がしますね。

 ゴブリンではその程度ですが、ミノタウロスはかなり学習能力が高いので、こちらの顔から戦い方まですぐに学習します」


>よくそんなことに気がつくよな

>自分の実力を過信せず、ちゃんと研究するのがケンジくんのすごいところ


「どれだけダンジョンについて詳しいかがRTAでも重要ですからね。知ってる道と知らない道じゃ、同じ道でも走ったときのタイムが全然違うでしょう。ダンジョンは本当に未知の領域で、俺でもまだまだ知らないことが多いです」


>ケンジくんでも知らないことあるのか


何千回とクリアしても、まだ知らない発見がある。

だからダンジョンRTAは面白いんだけど。


「話が脱線しましたが、ミノタウロスの話でしたね。

 モンスターハウスのように大量のミノタウロスがいるところでこちらの強さを見せるとどうなるか。さっきのように怯えて逃げ出すようになるんですね。

 けど普通に倒しててもあんな反応はしません。モンスターハウスの時だけです。

 理由はよくわかってないんですけど、多分100体のミノタウロスが一斉に学習することで学習能力も100倍になるんじゃないかと思っています」


>うーーん、そうかなあw

>記憶を共有してるとしたら、自分の仲間が虐殺される場面をみんなが見たってことでしょ

>あんな場面見せられたらトラウマになるに決まってるwww

>人間に置き換えたら絶対パニックになるぞwww


ちなみにモンスターの学習はダンジョンを出るとリセットされる。

学習は一度の挑戦時のみだ。

だから毎回同じことをする必要があるんだよな。


逃げていったミノタウロスと同じ道を進んでいく。

追いかけてきた俺を見ると、牛頭の魔人たちはさらに悲鳴をあげて逃げていった。

これ以上脅すつもりはないんだけど……一本道だから仕方ないよな。


追いかけるような形で俺たちも進むと、ミノタウロスたちは先の廊下を走っていった。


「あっ、やっぱ殺しましょう」


俺は逃げるミノタウロスに素早く近づき、背中から攻撃する。

一撃で倒れ、光となって消えた。


>ちょw

>ひどすwww

>容赦ないwww

>これ以上トラウマ植え付けるのやめたげてwww


「いや違うんです。

 あの廊下には道を塞ぐトラップがあって、あのまま進むと踏みそうになってたので、仕方なく止めたんです。

 俺だって必要ないバトルをするのは心が痛みますよ」


>(息の根を)止めました

>人の心とかないんか?


「わざわざ余計なバトルをしてタイムを増やしてしまうなんて、走者として恥ずかしい限りです。本当に心が痛みますね」


>タイム>命

>やっぱ人の心ないわこの人

>何気に走って逃げてる相手に一瞬で近づくのやば

>本気出したケンジくんに速度で勝てる奴なんていないよ

>速度以外でも勝てる要素あるか?

>女の子の扱い

>あー

>あー

>まあ、多少はね?

>天は二物を与えず


うっ、なんか散々に言われてる気がする。

でも女の子の扱いに自信がないのはその通りなので何もいえない……


>でもそんなケンジくんもいいと思うよ

>何でも完璧にできるやつはちょっとな

>親しみが湧いてむしろちょうどいい

>《コメントは削除されました》

>ん? 誰か禁止ワード呟いた?

>そんなのあったか?

>アーカイブもわからないケンジくんにそんな高度なことができるとでも?

>じゃあシオリちゃんかな

>そういえばガチ恋勢見なくなったな……?

>あっ

>シオリちゃん……?

>返事がないのが怖い……


ん? シオリが何かしたのか?


後ろを見てみたが、特に何も言わずに無言のままだった。

表情にも変わったところはない。

せいぜい「目障りな虫がいたから追い払っといたわ」みたいな顔だ。


神聖な空気が満ちてる神殿ステージには虫なんていないはずだけど……まあ男の俺がそういうのをあまり気にしないだけで、本当はいるのかもしれないな。

シオリも虫が好きってことはないだろうし。

イヤなものでもいたんだろう。


とにかくこの階にはもう俺たちを襲ってくるモンスターはいない。

階段を守ってた大型のミノタウロスさえ、悲鳴をあげて逃げていった。


>ボスもかよw

>気持ちはわかるw

>俺だってこんな化け物来たら逃げるよwww

>ボス「なにあのモンスター、こわ……」


ともあれ、これで次の階に行けるな。

神殿ステージ最下層だ。

読んでいただきありがとうございます!


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