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初級ダンジョンRTA走者 世界最速を達成したので解説動画を公開したら参考にならなすぎで大バズりしてしまう【書籍化決定】  作者: ねこ鍋


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第31話 存在しない新魔法

3体のミノタウロスを倒すと、部屋を抜けて次の部屋を目指した。

その途中で廊下が二手に分かれていた。

ちょうど右と左に分かれる形だ。


サーチを使って構造を把握してるので、先がどうなってるかは既に確認済みだ。


右の道は、一本道だけど途中にでかい部屋ひとつある道。

左の道が、遠回りになるけど無数の部屋がある道だ。


どちらに進むべきか、みんなわかりますか?


>一本道

>一本道

>一本道でしょ

>遠回りな道をケンジくんが選ぶわけない


さすがみんなもうわかってきましたね。

遠回りなんてあり得ないので、当然右の道を進みます。

これでみんなも実際にRTAする時は安心ですね。


>それはどうかなあw

>RTAの前にまず普通にダンジョンクリアできるようにならないとw

>一般人には一生そんな日は来ないけどなw


まあ確かにいきなりは難しいか。

俺だって最初からクリアできたわけじゃない。

少しずつダンジョンに挑戦して攻略法を学び、今のようになったんだ。

千里の道も一歩からってな。


「ちなみに右の道を選んだのは、単に距離が短いからというだけではありません。

 実はさっき話した、ミノタウロスのもっと簡単な対処法を実践するために、ここにくる必要があったんです」


そう言って、今までの扉より一回り大きな扉を押し開く。

金属の軋む重厚な音が広い室内に響き渡った。


「……ひぃっ!」


背後でシオリの息を呑む声が聞こえる。

中にいたのは、100匹近いミノタウロスの群れだった。


>モンスターハウスじゃねーか!!

>この量ヤバすぎw

>3体で連携ってレベルじゃねーぞ!


牛頭の魔人が一斉に俺たちの方を向く。

それぞれが手にした得物を掲げると、一斉に雄叫びを上げた。


「「「「「ブモオオオオオオオオッッ!!」」」」」


「~~~~~~ッッッ!!」


シオリが耳を塞いでしゃがみ込むのがわかった。


>うるせーーー!!

>スピーカーが壊れるw

>迫力半端ないな


重なり合う雄叫びが爆音となって響き渡る。

それだけで鼓膜が破れてしまいそうなほどだった。

魔力壁を展開して相殺してなかったら、鼓膜どころかその奥の脳までやられていたかもしれない。


「さて、ご覧のとおりここはミノタウロスの巣です。

 巣というか、集会場というか、訓練場? みたいなところです。まあ似たようなものですね。

 それで、ここにきた理由が……」


解説しようとしたところで、ミノタウロスたちが俺たちのいる入り口に向けて一斉に駆け出した!

足音が地鳴りとなって凄まじい音を立てる。

さすがに100匹の牛頭の魔人が同時に走ると、部屋に響き渡る音も凄まじい。石で出来てるはずの神殿の床でさえ、まるで水面のように波打っていた。

この分だと、多分ダンジョン全体が鳴動してることだろう。


この状態で配信してもみんなに聞こえないよな。

氷結地帯《《アイスフィールド》》で足止めをしてもよかったけど、ちょうど足元に手頃な大きさの石が落ちてるのを見つけた。


「ちょうど手頃な石が落ちてるので、これを使いましょう」


俺はそれを拾い上げると、魔力を込めて力強く握りしめる。

それから、正面のミノタウロスに向かって全力で投げつけた。


──ッッッガガガガガガガガガガガガン!!!!!!


石は壁に当たって部屋中を乱反射する。

数秒ほどしてちょうど俺の手のひらに戻ってくると、室内で立っている者は1匹もいなくなっていた。


「はい、終わりました」


>(唖然)

>すげぇ……

>もう……言葉が見つからない……

>簡単な対処法「石を投げて全員倒す」

>はえーすっごいかんたんだなあ……

>どうやったらそんなことできるの?

>慣性の法則って知ってる?

>エネルギー保存の法則もな


「普通の方法では難しいです。なので石に魔力をまとわせてから投げてます」


>魔力をまとわせるだけでそんなことできる?

>威力はわかるけど、跳ね返るのが意味わからん

>ほとんどゴムみたいだったよな

>そんな魔法あったっけ?


「ないですね。なので自分で作りました」


>は?

>は?

>は?


「と言っても難しいことはしてないです。

 魔力の性質を変化させることで、包んだ対象の硬さを上げつつ、ぶつかった際の衝撃はゴムのように弾くような効果を持たせました。あ、ついでに10倍加速の効果も混ぜておきました」


>存在しない魔法を自分で作ったあ!?

>はあ!?そんなことできるわけないだろ!

>魔法は元から存在するものだけのはず……

>魔法を作るって……そんなの……もう神だろ……

>そもそも魔法自体なんなのか解明されてないんだが……


「そうなんですか?

 でも魔法って結局、魔力を何に変化させるかじゃないですか。

 魔力をガソリンだと思って火をつければ炎の魔法になるし、凍らせれば氷魔法になる。そういうイメージを持てばそうなるだけですよ。慣れれば難しくないです」


>はえー(絶句

>魔力操作が得意なケンジくんならではだろうなあ

>つまり魔法とは決められた物ではなく、本当はもっと自由なものだった?

>そそそ、それはつまりどうやるんですか!!??


どうって言われてもな……

こう……周囲にある魔力をぐいーんと引っ張るというか、コネコネするというか……


>はあ……(クソデカため息

>義務教育の敗北

>誰だよ国語の授業いらないとか言ったやつ

>そのおかげで一体今どれだけの損失を出していることか……

>言葉は全ての基本なんだからむしろ最も重要なのに

>ケンジくん言語能力以外は全部完璧なのになあ

>シオリ:……

>あっ

>あっ

>あっ

>RTA以外興味ないのは許してあげて……

>モデレーター機能追加できたんですねおめでとうございます(震え声


「さて、では先に進みましょうか。これでこの階はもう何もしなくてもクリアできるはずです」


よしよし、サクサク進めてるな。

みんなもRTAの楽しさがわかってくれたんじゃないかな。

読んでいただきありがとうございます!


この作品はなろうコンに応募してます!

面白い、続きが読みたいと思っていただけたら、ブクマや評価、コメントなどで応援していただけるととっても嬉しいです!

どちらも大変モチベーションアップになりますので、ぜひよろしくお願いします!

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