第21話 後に語り継がれる2回目の配信
ワープゲートを起動して、さっそくさっきのダンジョン内に戻ってきた。
トロールの巣だったその大きな部屋は、今はなにもいなくなっていた。
倒したことで光の粒になって消えたんだろう。
さて、さっそく配信を再開しようか。
魔力の紐を生成してくくりつけ、配信用カメラを起動する。
「えーと、これでいいのかな? どうですか、映ってますか?」
>お、再開したのか
>お疲れ!
>今度は予備のバッテリー持ってきたんだろうな
さっそくコメントが返ってくる。
もちろんバッテリーもちゃんと持ってきた。
といっても、もともと予備のバッテリーは一つしか買ってなかったので、合計で二時間分くらいになる予定だけどな。
>2時間かw
>まあ長すぎてもしょうがないしちょうどいいかもな
>2時間でどこまで行けるかのRTAですね
なるほど、そういうのも面白いかもしれないな。
解説しながらだとどこまでいけるのか、試してみるのも新しいかもな。
>いやいやその前にさっきのスキルなに!?!?!?
>ワープゲートできるなんて聞いてないんだけど!?
「あー、やっぱりそれ聞かれちゃうよなあ」
言われるだろうなって思ってたけど、聞かれるとやっぱりドキッとしちゃうな。
「大丈夫。みんなが聞きたいことはわかってるよ」
>本当か?
>よかった
>じゃあ解説を頼む
「ワープゲートなんてズルできたらRTA意味ないじゃんってみんな思ってるよな。
大丈夫、ちゃんと普段は使わないから」
>驚いてるのそこじゃないんだわw
>安定のRTA脳
>逆に安心したわ
>聞きたいのはなんでそんなのが出せるのかってことなんだけどw
なんでって言われてもな。
ワープゲートってスキルを使うと出せるよ。
みんなもダンジョン1000回クリアすればきっと覚えられるはずだ。
>そっかーダンジョン1000回クリアすればいいのかー
>無茶言ってて草
>というかワープゲートはダンジョンボスを倒した時にしか出ないはずじゃ……
>何でスキルで出せるんだよw
>やっぱケンジくん人間じゃなくてモンスターなんじゃ……
>やはりな
>だと思った
>俺と同じ人間と思えなかったからむしろありがたい
えぇ……なんかめちゃくちゃ言われてる……
どう見ても俺は人間だと思うんだけど……
「……」
シオリがなんとも言えない目でこっちを見ている。
あれは、あんたどう考えても私と同じ人間じゃないでしょ、とか思ってる目だ。
えぇ……。そんなことないと思うんだけど。
>ちょwその部屋宝の山じゃんww
>マジだwドロップアイテムだらけww
なにやらコメントが盛り上がっている。
振り返って見てみると、確かに床にはいくつか素材やアイテムのようなものが、あちこちに転がっていた。
中には有用なアイテムもあるんだろうけど……うーん、俺には必要ないかな。
このレベルだと欲しいものはないんだよな。
なのでそこらのアイテムはスルーして、トロールの巣の出口に向かうことにした。
>ですよねー
>まあ黄金草もスルーするケンジくんだからな
>シオリちゃんに期待しよう
>配信終わった後、シオリちゃんの収益動画見たいな
>確かに。こっそり拾った分だけでもかなりの額になってそう
>軽く記憶を思い出すだけでも億超えてるんだよなあw
>シオリちゃん大金持ちじゃん
>これは結婚待ったなし
「………………」
なぜかシオリが顔を真っ赤にして怒っている。
ちょっとコメントのみんなあまりシオリを怒らせないでくれよ。
怒るとマジで怖いんだって……
本気出されると俺なんかじゃ太刀打ちできないからな……
そんなことを思いながら、出口のドアを開けて廊下を進む。
階段の位置は前の時にすでに把握していたので、その位置に向かってまっすぐに進んでいった。
「おっ、下への階段がありましたね。というわけで、こんな感じでトロールの巣を通るとショートカットになるよってことでした。みんなもぜひ活用してくださいね!」
>そういやそういう配信だったなw
>他にいろんなことありすぎてすっかり忘れてたわ
>活用できる日が来るかなあw
>一生使わない知識ありがとう
>8階も楽しみ!
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