表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム男を振るだけの簡単なお仕事。あるいは、彼女を救い出すための手段を考える一回。  作者: あかね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/40

内乱フラグを折るだけの簡単なお仕事 0

 それは、ある日、彼が手紙を受け取ったことから始まった。


「契約破棄だと?」


 今まで特に問題なく雇用関係があった相手からいきなり言い出したりしたら怒るだろう。

 しかも自分よりも相当低いと見積もっていた相手に居室に押し入られば、なおさらだ。


 青年はちらっと連れの男を見た。


 傭兵団の団長、という肩書きに似合うような厳つさはない。表面上は笑ってご機嫌な顔に見えるが、それは見てくれだけだと知っている。

 邪魔するヤツを物理的に黙らせてこの部屋まで来ていた。そうすることが効率的と判断した結果というよりは、八つ当たりだろうと思っている。


 彼をこの行動に駆り立てたあの手紙には何が書いてあったのだろうか。

 契約を全て打ち切って拠点に戻す、というのは暴挙以外のなにものでもない。違約金を叩きつけてまでのそれは、異常事態だ。


「そうだよ。違約金はこれね、じゃ、ばいばい」


 彼は床に袋を放りなげる。ちゃりんと良い音がした。

 貴族家の当主相手にこの所業。まさに喧嘩を売っている。それなりに雇用関係を築いていた相手への対応とは思えない。


 比較的傭兵としては付き合いやすいほうに分類されていた信用を全力でぶん投げている。

 これから先の仕事が少し心配になるが、言って聞くようなら既にここまで来ていない。


 当の相手はと言えば、真っ青な顔で絶句している。


「理由は、わかるよね?」


 こくこくと肯いているが本当にわかっているのだろうか。

 だだ漏れの殺気にやられているだけでは?


「いくよ」


 男が部屋を出たので慌ててついて行った。

 それにしても殺気がだだ漏れすぎる。皆殺しでもするおつもりで? と思わず聞きたくなった。


 貴族家を敵に回しても全然堪えないが、この団長だけは敵に回したくない。


「帰るよ」


 この家で雇われていた傭兵を引き連れて外に出る。彼の怒りを感じてか大分大人しくしていた。


「次はどこだっけ?」


 鼻歌でも歌い出しそうな声が不穏すぎる。


「我々がやりますので団長は本拠地にお帰りください」


 本気で懇願するが、聞き耳を持たない。


「やだよ」


 青年の懇願を無視して、全ての家から団員を引き上げさせるまでやめなかった。


 その理由を後で聞いて、青年は笑うしかなかった。

 なるほど、黙ってやるはずだ、と。


 うっかりすると内乱が起こりそうとは、彼女も思ってはいないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ