表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム男を振るだけの簡単なお仕事。あるいは、彼女を救い出すための手段を考える一回。  作者: あかね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/40

ざまぁを計画するだけの簡単なお仕事 5

「ん?」


 イルクは誰か来ると何となく気がついていたが、彼女だとは思っていなかった。


 おずおずと扉の影から姿を見せる。

 なにかの小動物のようだった。

 レティシアと似て非なる彼女は未だに名前が未定だ。愛称で呼ぶことも抵抗があるが、新しく名付けるわけにもいかない。

 便宜上、従妹殿などと言っているが違和感を覚える。


「教官、姫様ですよね」


「そうだな」


 気がつけば誰も彼もが彼女に注目していた。

 彼女本人はよもや自分が姫などと呼ばれているとは思っていない。ましてやかなり本気の忠誠を捧げられているとも。


 他家に嫁ぐとずいぶん前からわかっていた。

 好意を見せることは彼女の傷になると静観していたことが悪かったのだと目が覚める思いだった。

 などと言っていた者の多いこと。

 それは憧れから手の届く人になったと気がついたことにほかならない。


 レティシアの中に今いる者はそれにも気がついているようだった。レティもてもてなどと言っているところが微妙な気持ちになったが。


 びくびくしながら中に入ってくるところ見るとこの雰囲気に慣れていないようだった。無理してこなくてもよいのにと声をかければ一番びくっとされた。

 お小言でも貰うとでも思ったのか彼女は手に持ったバスケットを差し出した。まるで、盾になるとでも思っているみたいに。


「よろしければ、差し入れをと思いまして。休憩も必要ですよ?」


 そんな事に来たと。

 イルクは頭が痛い。

 何の打算もなく見上げてくる彼女はレティシアそのもののようだ。その魂が違うと言われても戻ってきていないかと期待している。

 あり得ないと知っていてもなお。


「……わかった。ありがとう」


 その返答に満足したようにバスケットを渡し、手を振って去る。


「休憩だ」


 せっかくの差し入れなのだから、無駄にすることもないだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ