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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐


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ロックさんの苦悩


マリーさんの家へ向かって歩いていると

マリーさんが慌てる様にこちらに向かって来るのが見えた。


そして私達の所へ辿り着くと

「今朝は申し訳ありませんでした」そう言って頭を下げてきた。


「いえいえ大丈夫です、それより申し訳ないのですが

お願いがあって来ました」私がそう話すと

「今日のお休みは取り消して頂いて構いません」

そう先に言われてしまいびっくりした。


シスターの言っていた通りマリーさんも気になっていた様だ。


「えっと、ロックさんの事は大丈夫なんですか?」

取り合えず気になって尋ねてみると

「ええ帰って来ましたし話もちゃんとしましたから」

そう笑ったマリーさんの笑顔に嘘が無いのを感じ取り

「それじゃすみませんがこの子達にも仕事を教えてください」

私がそう言って子供達を紹介しようとして思い出し

「そうだまだ名前も聞いていなかった、ごめんなさい」

私はそう素直に子供達に謝り自己紹介を促した。


「俺はマッシュ16歳

本当なら独り立ちしなくてはいけないんだけど

シスターの言葉に甘えて妹共々お世話になってます」


「僕はレオ、こっちのセリスとは双子で15歳です

僕たちもシスターのお言葉に甘え

子供達の世話を手伝いながら教会でお世話になってます」


「私はセリス、レオと同じく15歳ですお姉様」と

それぞれに自己紹介をして頭を下げて行った。


だからお姉様はいらないから私は内心でそう思いながら

「こちらはマリーさん今日は一日しっかり仕事を教わってね」

私がそうマリーさんを紹介するとマリーさんは怯えた様に

「私はもしかしてクビですか」と聞いて来た。


「ああ、そうじゃなくてあくまでも補助ですよ

これから困った時に助けて貰おうと思ってます」

私がそう言うと取り敢えずは安心したようで

「分かりましたしっかりと教えさせて頂きます」と

気持ちを切り替えた様に言っていた。


なので私はマッシュ達をマリーさんに預け

「ロックさんは家に居るのかしら」そう尋ねると

「ええ、今ならいると思います」と言うので

私はマリーさんの家へとロックさんを訪ねるため向かった。



ロックさんは私が訊ねて来ることを予期していたらしく

庭先で剣を振るいながらこちらの様子を窺っていた。


「こんにちは」私がそう声を掛けると

「先ほどは留守にしていて申し訳なかった」と答えた。


「シスターを迎えに行ってくれた事

そして無事連れて来てくれた事改めてお礼を言います

本当にありがとうございました」私がそう言うと

「私はあまり役には立てませんでした」と言うので

いったい何があったのか気になって聞いてしまった。


「何かあったんですか?」私がそう訊ねるとロックさんは

「私は仮にも騎士団長を務めそこそこ剣の腕に自信がありました

しかし不意に襲われたり大勢に囲まれると忽ち窮地に襲われ

私の剣の腕など物の数にもなりませんでした

その点サラマンダー様は剣技も武闘術も優れていて

私の身体の中で私を操る様に動いても

あっと言う間に大勢の敵を倒してしまい

さらに私の身体から離れたサラマンダー様は無敵でした

それを見て私の無力さをまざまざと感じるほか無く

私が今までいかに驕っていたかを見せつけられました」

そう言って深く落ち込む様子を見せていた。


「サラマンダーってそんなに強かったんだ」

私はロックさんのそんな葛藤よりサラマンダーの事に興味が沸いた。


私はサラマンダーが戦っている姿を見た事が無いので

ロックさんがそんなに落ち込むほど強いのかと考えていた。


しかし考えてみれば相手は精霊だよ

ロックさんはいったい誰と比べて落ち込んでいるんだと思い直した。


「強いなんてものじゃありません最強です」と

力強く答えるロックさんに私は思わず言ってしまった。


「相手は精霊だよ自分と比べても仕方ないじゃない

それともこれからも騎士団長をしたいって事?

ココで農業でも始めたいって言ってたのに剣技を磨くの?」


私がそう尋ねるとロックさんは

「マリーとローズを危険にさらした事が頭から離れず

このままじゃ守り切れないと言う思いが強くなっただけです」

そう答えるロックさんに私は思った事を言った。


「ココに居る限りはそう危険な目に合う事は無いよ

農夫に剣術がどうしても必要だって言うなら

時間外で地道に努力するとか

サラマンダーに弟子入りするとか

マリーさんに心配かけない程度にして欲しい物だわ

それでどうするんですか、ノームに頼んで

この辺りを農地に開拓して貰う事も出来ますけど

何処か他の国へ行ってまた騎士団長でも目指しますか」

私は話しているうちに少し腹が立って来てはっきりと聞いてみた。


ココで暮らすって決めたくせに

自分の剣術の腕がとか悩み朝からマリーさんに心配させて

そして結果私達にまで迷惑かけている事に

気付いているのかいないのか

感謝している気持ちは沢山あったけれど

何だかそれ以上にがっかりした気分が大きくなって来た。


「折角マリーもローズもココに馴染んでいる様なので

ココを離れる事は考えていません。

ただ少し嫉妬をしてしまっていた様です」

「嫉妬って?」

「サラマンダー様の強さにもですが

マリーがココで必要とされている事にもです」

その言葉に私は妙に親近感を覚えた。


何となくその気持ち分かるよ、眩しく見えちゃうよね

羨ましく思えるよね、誰かに必要とされている人って。


自分と何が違うのかどう違うのか分からなかったり

同じ様に出来ないって言う諦めもあったり

まあ考え方は人それぞれだろうけれどロックさんの気持ちは理解した。


そうしてみるとロックさんに無性に腹が立ったのは

私の同族嫌悪だったのかとそんな風にも思っていた。


そうだとすると私がロックさんを追い込んだ様なものかも知れない

感謝していると言いながら

ロックさんの気持ち迄きちんと考えていなかった私も悪い。


今までの私ならここで落ち込んで反省して悩む所だけれど

今はそんな場合じゃないって少しずつ理解している。


だから解決策をきちんと見つけないと

そう自分を奮い立たせ提案してみた。


「宿泊施設の仕事を覚える気はありませんか」


そう宿泊施設の仕事を完全にロックさんとマリーさんに任せ

エドガーには料理も含め施設の管理の事を

マッシュやレオやセリスに教え込んで貰い

いずれは居酒屋キッチンカーのランチ営業や

居酒屋営業なども手伝って貰える様になれば

私は素材の買取や必要品の販売だけすれば良い事になり

少しは余裕が出来てポーション作りも出来る様になる。


そんな風にかなり自分に都合良い解決策を思い立ったのだ。


それにエドガーやマリーさんにお休みを作る事が出来る。


後はお給料などの待遇の話をシスターに相談して

ココの施設の営業がスムースに回る様になれば

さらに冒険者達からお金を巻き上げられるかもしれない

珍しくそう次々と頭の中で色んな願望が妄想となって展開していた。


その妄想が私に思った以上の力をくれた様で

私にいつも以上のやる気を出させていた。


なので「私に出来るでしょうか」とやっとの様に答えたロックさんに

「出来ないわけ無いでしょう」と言って

引きずる様に宿泊施設へと連行して行った。



「そう言う事でエドガー引継ぎお願いね」

私はロックさんをエドガーの元へ連れて行くと

詳しい話をまるっと省いてそう言った。


するとエドガーはその一言ですべてを悟った様で

「分かりましたまずは宿泊施設の仕事だけで良いですか」と

そう聞いてきた。


「そうそう、そしてその後は教会の子達を仕上げて欲しいの

今日はマリーさんに預けてあるんだけど

この宿泊施設は完全にマリーさんとロックさんに任せ

子供達には温泉施設とみんなの補助を任せ

エドガーには居酒屋キッチンカーの手伝いも頼みたいの」

私がそう言うと

「了解しました、早急に進めます」と

エドガーはとても頼もしく答えている。


「そうか料理補助が居ればこの宿泊施設で

昼食や軽食も提供できるからランチ営業しなくて済むのか」

私が思った事をそう呟くと

「その場合料理のレシピはきちんと開示してくださいね」

そうエドガーに言われ納得した。


そうだよね居酒屋キッチンカーのランチ営業は

その珍しいメニューが評判になっているのに

そこを外すわけにはいかないんだった。


エドガーってホント気が利くって言うか出来る子だわ。


「みんなが仕事に慣れるまでには用意するね」

私はそう答えランチ営業の前にシスターを尋ねる事にした。


結果の報告もしなくてはならないし待遇の相談もしたかったからだ。


今日は朝からなんて忙しい一日なんだと

そんな事を思いながら私はシスターの元へと急いだ。



読んでくださりありがとうございます。

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