急展開?
アウラが早々に復帰したので
フィリス師匠とエドガーを受け入れた報告をした。
すると私以上に何やら気構えに変化があった様で
私に対してアウラはより一層厳しくなっていた。
もっとも私もここの所出費が続くばかりで
等価交換様の現金表示がじわじわと減って行くのに
もの凄いダメージを感じ始めていたので
収入となるポーション作りに力を入れようとは考えていたが
アウラにそこの所を強く追及されると
何となく反発したくなってしまい子供の様な駄々を捏ねていた。
「分かってるよ、やろうとは思っているんだってば」
「そう言いながら一向に始める気配がありませんが」と
目も当てられない言い合いをしていた。
だって一応仕事はしている訳だし
資産だってまだ少しなら余裕もあるのに
そこまで一日中あくせく働く必要があるの?
私はココでのんびり楽しく好きな事だけしていたいんだよ
ポーション作りを調合のレベル上げと思っていた時は楽しかったけど
居酒屋キッチンカーを仕事と思ったら
ポーション作りは副業の様な気になってしまったんだよ
そしてそう思うとやる気が沸かないのは許してよ。
いっその事等価交換様に何かうまい転売商法でも考えて貰おうか
そんな事を考えていると等価交換様が
「候補は色々あります」と言う
しかし「それをしたら人間として終わりですよ」と
すっかりと考えを見透かした様にアウラが言っている。
私のダメ人間振りがすっかり露見して恥ずかしい限りだ。
それに私も人を雇う立場の大人になったのだと自覚し直し
アウラの言う様に素直にポーション作りに精を出す事にした。
しかし等価交換様にもしっかりと転売商法の候補を聞いてみた。
定番なのは塩と胡椒だけれどゴミの事を考えると
詰め替え作業が必要らしくそう言う作業なしで有効なのは
こちらの世界の鉱物や鉱石を売るのが手っ取り早いらしい。
しかしやはり手を加えて売買する訳では無いので
思う程の利益は見込めないので相場を考慮する必要があるそうだ。
後はやはりこちらの世界の本を
元の世界の印刷技術で複製して売るのが結構儲けになるらしいが
それだとこちらの世界で本の価格に変動が起きそうだと言うので
私は別に変動が起きても普通に手に入り易くなるなら良いじゃない
それに本が広まればその分識字率も上がるだろうし
それによって勉強する子が増えるのも良い事だと思うと
等価交換様に本の複製と鉱物売買をお願いしてしまった。
それがいったいどの位儲けになるのかは想像も出来ないし
この世界にどの位の影響を及ぼすのかは考えられないけれど
折角の等価交換様の能力を使わないのも勿体ないとそう思ったのだ。
アウラごめんよ決して楽をして儲けたいだけの理由じゃないからね
私はあまり深くも考えず心の中でそう言い訳をしていた。
そしてその後ろめたさのせいだけではなく
ポーション作りを始めようとして考えた。
そう言えば以前アウラやシルフがシルフの森で集めてくれた
ポーション作りに役立ちそうな素材が色々あったのだ
私はフィリス師匠の所へと出向きその素材を見せながら
どんなポーションが作れそうか色々と相談してみた。
しかしそのどれもこれも師匠の知る素材では無かったらしく
「あまり役に立てそうも無いのだけれど」と項垂れている。
考えてみたらシルフの大陸の物だから知らなくてあたりまえか
私も何だか悪い事を聞いてしまった様だと少し反省した。
仕方ないので自力であれこれ試してみようと一瞬考えたが
どうも私は出来上がっているレシピ通りに作れと言われれば
それはいつまでも続けていられるのだけれど、
その研究と言った様な地道な考える作業には向いていないらしく
煮詰まって手が止まってしまうとやる気も無くなってしまうのだ。
そうはっきりきっぱりと言ってしまえば考えるのは苦手なのだ。
なので私はその素材をフィリス師匠にすっかり渡し
その効能をアウラに伝えて貰い
ポーションの研究と新しいレシピ作りはフィリス師匠に丸投げする事にした。
「出来上がったレシピの量産なら任せてください」
私がそうきっぱりと言うと
「売り上げの取り分を話し合わなくてはいけませんね」と
フィリス師匠もすっかりやる気を見せていた。
なので私は私の知るポーションレシピの中で一番高く売れる
『媚薬ポーション』と『強壮ポーション』を量産しながら
収入の増加と調合レベル上げとアウラのご機嫌取りに勤しんだ。
久しぶりのフィリス師匠の家での調合に懐かしさを感じていた。
考えてみたらあの頃は結構規則正しい生活をしていた。
調合のレベル上げも回復魔法のレベル上げもまじめに取り組み
フィリス師匠を追い出す事とレナ先生をぎゃふんと言わせる事を
ひたすら考えていて結構やる気に満ちていた時分だった。
そうしてみると私は自分の家では無くてこの場所に引き籠り
スキルのレベル上げを楽しむ毎日を過ごしていた。
精霊達が居てくれたからなんて事無く楽しく過ごしていたが
今は居酒屋キッチンカーを言い訳にして
ただダラダラと過ごしていた事には変わりないと思えた。
アウラに煩く言われるのも当然だったと少しだけ反省した。
これからは少しはきちんとした生活を心がけようと思っていた。
私がそう新たに決意していると言うのに
目の前でフィリス師匠にあれこれ効能の説明をしていたアウラが
見る見るうちに表情を変え出してその形相は怒っている様だった。
私はまた何か癇に障る事でもしてしまったかと焦ったが
「大変です、急ぎますよ」と
私を引きずる様にして外へ出てハイスピードで飛び出した。
襟首を掴まれたまま飛ぶアウラのそのスピードに私は驚いていた。
今は無くなった筈のグロシアート国方面に向かっている事は確かで
その理由が分からず私は尋ねてみたかったが
息苦しさが先に立ってそれどころでは無かった。
服の襟が首を絞める事よりも風圧が凄すぎて痛い様だった。
そうして程なくして辿り着いたそこには
傷つきボロボロになった母親と小さな女の子の親子が居た。
取り合えず苦しさと痛さから解放された私は
その場に尻もちをつく様にして座り込んでしまったが
アウラに促されその親子に急ぎ回復魔法を掛けたのだった。
読んでくださりありがとうございます。




