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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐


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ノームの弟子


「彼はエドガーと言って私に長く親しくしてくれていた方の息子さん

彼女はすでに亡くなってしまったけれど

彼は小さな頃から私とも仲良くしてくれていたのよ。

今でも彼はこうして私の心配をしてくれるので

すっかり私の息子の様な気がしているのだけれど

偶にこうして煩わしくなる事が増えて困っているの」


そう言って笑うフィリス師匠には困っている様子はまったく無く

寧ろ本当の親子の様で微笑ましかった。


するとその息子さんがおもむろに私の前へ進み出ると

「エドガーといいます」と頭を下げ挨拶をして来た。


二十代前半と言った感じの若いと言うより

溌剌と言った印象の笑顔が似合うと言うよりはキリっとした感じの

少し背も高く腰の位置も高い神経質そうな青年だった。


そして沢山愛されて育ったんだろうと言う雰囲気を持った

性格の良さと言うか躾の良さを感じさせていた。


「師匠はこれからココで生活するのは良いとして

彼はどうするんですか?」私がそう聞くと

「私もフィリス様にご一緒します」と

エドガーがいち早く答え絶対に譲りませんとばかりに構えた。


「それは良いんだけれど生活費はどうするの?

ココはお金があれば私がある程度の物は揃える事は出来るけれど

お金を稼ぐ術は個人に任せているんだけれど」と

フィリス師匠にしろこの青年にしろ私がその面倒を見る気は無いので

一番重要な生活費の問題を聞いてみた。


「お金は私の作ったポーションを売れば良いわ」

そう言ってフィリス師匠は任せなさいとばかりに言うが

それではエドガーが納得出来なかったようで

「私も何か仕事を見つけます」ときっぱりと言い張った。


でも仕事と言われても私が何か紹介できる訳でもないしと

そんな事をあれこれ考えていると

ウィンディーネが私達の傍に来て言った。


「取り合えずこの場所の管理をお願いしたら良いわぁ」

「そうじゃのぉあれこれ施設も増えたしのぉ」

「そうですの~」と精霊達も後押しをして来る。


まぁ、考えてみたら温泉にしろ浄化槽にしろ水道にしろ

居酒屋キッチンカーの休憩所やトイレにしろ

メンテナンスも掃除もすべてをマメに私に出来る訳がない

それだけははっきりと自信を持って言える。


それに冒険者達も男の人が居た方が

無茶な事を言い出したりしなくて良いのかもとも思った。


そう考えたら色々とやってくれる男の人が居るのは確かに助かる。


でもそうしたらお給料を出さなくちゃならないんだよね

お給料の相場なんて私には分からないし

私は人を雇った事なんて無いから

他にも何をどうしたら良いかもまったく分からないよ。


「難しく考えなくても良いんじゃなぁい」

あれこれ悩み考えている私にウィンディーネが言ってくる。


「取り合えずこやつの考えも聞いてみん事にはのぉ」

そうノームに言われそれもそうかと思い至り

私は早速エドガーに聞いてみた。


「聞いての通りココの管理をする気はある?」

私がそう尋ねると精霊達の登場に驚いていたエドガーは

「私に出来る事なら何でもします」と答えた。


「じゃぁお給料の話はどうしようか」と私がさらに尋ねると

「それは私の働きを見て決めてください」って言うけど

私にそれが出来るとは全く思えないから聞いているんだって

とはなぜか言い出せずにいた。


すると師匠は何か色々と考えた様で

「取り合えずしばらくは家賃との相殺か

食材や日用雑貨などとの相殺にしてはいかがかしら」

と言ってくれた。


「それで良いのでしたらそれでお願いします

その間に私も少しは勉強して色々考えてみますから」

私はフィリス師匠のその申し出を取り合えず受け入れ

しばらくは様子を見る事に決めた。


そして人を雇う事に関しての色々な事を

私なりにきちんと考えてみようと思っていた。


まぁもっともエドガーがその前に音を上げて

ここから逃げ出すかも知れないし

先の事を考え過ぎても仕方ないしここは流れに身を任せるかと

私もこの場所に他人を受け入れる覚悟をしたのだった。


そうして私とフィリス師匠とエドガーで

フィリス師匠が前に使っていた川沿いの家へと行き

水道やトイレの使い方を教えると

やはり「どういう魔法だ」と驚いたり

「便利で清潔だ」と感心したりしながら

家の中の彼方此方を見て回りながら質問を繰り返していた。


浴室には浴槽やシャワーがあったが

ガスも電気も通ってないので水しか出ない事を説明すると

「それでも有難い」と言っていた。


そして着替えや布団やカーテン等と日用雑貨

それからカセットガスコンロと調理器具

食材はエドガーとフィリス師匠の組み合わせから考えて

レトルトの常温保存の物やパスタと混ぜるタイプの物など

調理が簡単な物を選んで揃えその説明もした。


そうして当面に必要な物をあれこれと思いつく限り揃えて

「他に必要な物があったらその都度言ってください

それからゴミは後で回収しますので纏めておいてください」

そう説明を終わらせた。


するとフィリス師匠は早速薬草畑へと出かけてしまったので

私はエドガーを連れて彼方此方案内しながら

どういった管理をして欲しいかを伝えて行った。


もっとも私に出来る説明は温泉施設の備品の補充や

タオルなどの汚れ物の洗濯や掃除と言った簡単な事だけで

その他の大事なあれこれはノームが丁寧に教えていた。


エドガーはノームが教えるそのあれこれにとても興味を示し

早速ノームを師匠と呼んで色々質問をしている様だった。


私はその様子を見てエドガーがココに馴染んでくれそうだと感じ

精霊達と仲良くできる人が増えた事に何となく気を良くしていた。


何より土足で踏み込んでくる事が無い人がいた事が嬉しかった。

私を利用しようとはしていないと感じて嬉しかった。



読んでくださりありがとうございます。

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