冒険者達無事に去る
朝私は冒険者達の騒ぎの大きさで目を覚ました。
仕方なく様子を見に外へ出ると
空き家の一つに寝かせていた筈の冒険者達が
何故か私の家の前で物珍しさからかあれこれ確認しながら
みんなで大声で騒いでいた。
他にも家があっただろうになんでわざわざ私の家?
それもこんなに朝早くからと警戒しながら外へ出てみると
私の姿を確認した冒険者の一人が聞いて来る
「ココが諸悪の聖女の住処なのか?」
「諸悪の聖女なんて人は知りませんよ」私がそう答えると
「お前が聖女か?」とまたまた聞くので
「私は聖女ではありませんただの引き籠りです」と
きっぱりはっきりと答えたのだけれど
冒険者達はまったく納得する様子を見せず
「俺たちは聖女の捕縛に来たのだけれどそれよりも
昨夜の出来事は夢だったのだろうか?」と言い出した。
「夢ではありませんよ随分と飲んで食べていましたが
何でしたらお金を請求しても良いですか?」
私が冒険者達にそう言うと冒険者達は慌てだして
「今は持ち合わせが無いので困る」と言い淀んだ。
「それであのぉ、もう一つ聞きたいのだが
昨夜精霊が大勢いた様に思ったのだが」
冒険者達はおずおずとそんな事を聞いて来た。
「ええ、この世界の精霊が揃っていましたよ」私がそう答えると
冒険者達は二の句も告げずに驚き固まっていた。
私はその様子から精霊達を自分の眼で見た事で何かを考え
闇雲に私にいきなりの攻撃をしてこなかったのかと納得した。
そうして暫くするとリーダーらしき冒険者が
「昨夜は酔い潰れた我らを泊めてくれた様で感謝する」と
丁寧にお礼を言って来た。
どうやら私の捕縛は諦めてくれたようだった。
なので「あのままにして置けませんから」と私が答えると
「森の中を彷徨い続け食料も尽きお腹が空いていたところを
精霊に助けられ、まるで夢でも見ている気分だった」と
昨夜の状況を説明していた。
そして「命を助けられたお礼に何かしたい」と言うので
「次回はお金を払って飲みに来てください」と言うと
「勿論だ何なら宣伝もしっかりしておく」と答えている。
精霊達の威力と言うか存在がやはり大きかったのだと一人納得し
こんなに簡単に冒険者の撃退が出来た事を喜んでいた。
やはり争い事は避けたいし楽しい方が良いそう思っていた。
しかしこの森から出るには素材を買い取って貰える店や
旅の間の備蓄食料を買える店が無いので
干し肉を作る間しばらくはココに置いてくれないかと言う。
そんな明らかに面倒くさそうな話は許容できず
私は素材は私が買い取り備蓄食料も売ると提案すると
初めは怪訝そうにしていたが取り合えず素材を出して来た。
そしてその素材を等価交換様に査定して貰うと
等価交換様を理解出来ずに私が素材を奪ったとでも思ったのか
騒ぎ出し襲い掛かろうとして来たが私が査定額を伝えると
冒険者達が思っていたより高い値段が付いたことに
一変して喜びそして手持ちの素材のすべてを出して来た。
しかし惜しい事にその素材の全部を買い取るだけの通貨を
私は持ち合わせていなかった。
こんな事ならサマサさんにもっと吹っ掛けておけば良かったと
今さらながら後悔していた。
しかし仕方ないのでその事を冒険者に正直に話し
物々交換で備蓄食料の金額分を買い取ると持ち掛けて納得させた。
冒険者達は料理はしないらしく普段は干し肉とパンらしいので
私はビーフジャーキーやカロリー〇イトのスティック型の物や
ドライフルーツやチョコレートに缶入りクッキーに干芋など
日持ちのすると思われる物を適当に出して見せ
どれが良いかを冒険者達に選ばせた。
すると冒険者達はまたまた等価交換様の機能に驚いて
「一緒に旅が出来たらとても便利だ」と
等価交換様をとても羨ましがっていた。
この場所で精霊達に守られていると実感した今
私は等価交換様の機能を見せる事に全く抵抗が無くなっていた。
と言うか、もう異世界から来て異文化を自慢しているのだと
そんな風にも開き直っていた。
そして私が見せたどれもこれもを冒険者達は購入したので
ゴミの心配をして麻袋へと詰め替えて渡した。
そうして準備を整えた冒険者達は
「ココはまるで違う世界で夢の様な時間だった」
「精霊に会える日が来るとは思っていなかった」
「飲んだ物も食べた物も旨すぎて忘れられそうにない」
「ああ、まさにここは天国の様だ」
「金を貯めてまた来る」とみんなで手を振りながら帰って行った。
何事も無く大人しく帰ってくれて良かったと私は胸をなでおろし
冒険者撃退は取り合えず成功したと喜んでいた。
しかし早急に居酒屋キッチンカーで出すメニューの作成と
酔い潰れた冒険者の寝床確保をしなくてはならないと
慌ただしく考えてもいた。
やっぱりつまみも食事も等価交換様から購入すれば何でも出せるが
その分利益が薄くなるか高値で提供する事になる。
ならばキッチンカーで作れる物に限定して自分で作れば
少しは安く提供出来てメニューも決まって来る。
折角焼き鳥を焼く機材を購入した事だし焼き鳥メインで
後は付け合わせ程度に何か自分で作るかと決めた。
冒険者の財布を空にする作戦の筈なのに
根が小心者の小市民な私は少々の高値を付ける事さえ
ぼったくりの様な気がしてしまうのが難点だった。
自分でも実は商売に向いていないかもとは思いながらも
メニューは決まったので等価交換様に
飲み物とつまみの画像付きでメニューを何冊か作成依頼して
次に冒険者達の休憩場所を設置する事にした。
酔ってしまった冒険者を寝せておく場所とでもいう感じの
あくまでも簡易的な布団を引いた小屋と
そして居酒屋キッチンカーの設置場所近くに簡易のトイレを
ノームに頼んで作って貰う事を考えながら
ノームが現れるのを心待ちにしていた。
すると何処かへ出かけていた様だったアウラが突然現れ
「ノームに来て頂きましょうか」と言うので
「大丈夫なの?」とノームの都合も考えて聞いてみると
「いつもよりお酒が飲めると喜ぶと思いますよ」と答える。
一瞬何を言っているのか分からなかったが
精霊達は自分の大陸の管理もあるが実は私に遠慮して
居酒屋キッチンカーを開ける時間まで来るのを待っているそうだ。
なので早くに呼び出し手伝いをさせると
その後すぐに飲み始められると考えてきっと喜ぶだろうと言うのだ。
どれだけお酒好きなんだと呆れて聞いていたが
精霊達も私の知らない所で色々と気を使ってくれているのだと知り
私は改めて精霊達に感謝していた。
以前一人で引き籠りたいと大分強調していた私に
必要以上に接触しない様にしながらも私の事を考えてくれている
その事実が本当に何よりも嬉しかった。
精霊達は私がダラダラと一人で引き籠る事よりも
この場所で精霊達と楽しく生活したいと考え始めたのを知らないのか?
もちろん一人になりたい時はあるし
調合や魔法のレベル上げなどは一人で黙々としたいとは考えているけれど
そこまで他人を寄せ付けるのを嫌がっているつもりは無かったのに
精霊達は気を使ってくれていたのだと改めて思い知った。
そしてこれからはあまり引き籠りたいを強調しない様にしなくてはと
精霊達の為に心から誓うのだった。
読んでくださりありがとうございます。




