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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐


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サラマンダーの役割


「いらっしゃいませなのです~」


「ご来店ありがとうございます」


シルフもアウラも元気に挨拶をしているのは

既に常連となり毎晩通って来てくれている

ウィンディーネにノームにサラマンダー達だった。


「そんなに毎晩大丈夫なの?」


私は取り合えず精霊達の大陸の心配をしてみたのだけれど

何か問題があるのなら

ここで呑気にお酒など飲んではいないだろう事位分かっている

本当の私の心配は精霊達からお金を取れない事だった。


実に遠慮なく気持ち良いほど飲んで食べてくれるのは

私も見ていて気持ちが良いしみんなが揃うのが楽しいので

まったくもって悪い気はしないのだけれど

やっぱり等価交換様の現金表示が減る一方なのが

地味に私にダメージを与えとても不安になって来るのだ。


特にノームの飲む日本酒やウィスキーやブランデーなどは

びっくりする値段の物も多く

またそう言うお高い物を覚えたノームは口が肥えた様で

毎晩とんでもない金額を減らしてくれる。


そしてウィンディーネも最近覚えたワインで

同じくノームと金額を争う様に楽しそうに飲んでくれている。


これがお金を取れる冒険者達だったなら

私はそう思わずにいられなかった。


しかしノームにはここの浄化槽設備や水道設備で活躍して貰ったし

その時の代金が無償だった事を考えれば

感謝する事はあっても飲み代の請求など出来る訳も無く

私は心から冒険者達の来店を心待ちにして

そして真面目に何かお金を稼ぐ術を探さなければと考えていた。


毎晩夜遅くまでここ居酒屋キッチンカーの管理をする様になり

すっかりと調合をしなくなってしまったのはまずかった。


やはり地道にポーションでも作ろうかとも思ってはいるのだが

何だかここで働いていると言う意識がそれを邪魔した。


「まったく冒険者達はいったいいつになったらここに辿り着くのよ」

私は思っていた事を愚痴の様に呟いていた。


「あれから結界の基準を下げましたしもう時期だと思われます」

私の呟きを聞いていたアウラが答えてくれた。


「ここに辿り着くのってそんなに大変な事だったのかしら?」

私は自分が精霊達の力を借りてここに辿り着いた事をすっかり棚に上げて

冒険者達の不甲斐なさを嘆いていた。


「コーは冒険者に来てもらいたいの~」

私とアウラの会話を聞いていたシルフが私に尋ねて来るので

「来て欲しい訳じゃ無いんだけど・・・」そう言い淀んでから

「撃退が目的だったけどやっぱり来て欲しいのかも」

私がそう答えると

「じゃぁ私が連れて来てあげる~」

そう言ってシルフが何処かへと飛んで行ってしまった。


私は驚いたと言うよりシルフのこの後の行動を考えると

容易に予測が付いたのでアウラと二人で顔を見合わせ

やり過ぎないでくれる事を心から祈ってしまった。


私は多分シルフが連れて来るだろう冒険者達に備え

テーブルとイスを追加でいくつか用意した。


シルフの事だ有無を言わせずここへ連れて来るのだろうと

そう考えて待ち構えていたのだけれど

一向に冒険者達が現れる様子が無いので

私は次第に焦りを覚え心配になって来た。


冒険者達を見つけられずにいるのだろうか

それとも冒険者達に何か酷い事をされているんじゃないだろうか

まさか大精霊ともあろうシルフに何かあるとは考えづらいが

万が一と言う事もあるしと悶々と考え抜いてアウラに聞いてみた。


「シルフ大丈夫だよね?」


するとアウラは何かを探る様にしていたが

「大丈夫の様です」と答えてくれたので取り合えず安心したのだが

「じゃぁ何でこんなに遅いのか違う心配が出て来るよね」

私は思っていた事を口にしていた。


すると今までノームやウィンディーネと盛り上がっていた筈の

サラマンダーが私の所へと来て

「何やらお顔の色がすぐれない様ですが」と

私の様子を心配してくれた。


そのあまりにもスマートな態度と

酔っている筈なのにそれを感じさせない紳士然とした仕草に

私は元の世界でもそんな事をされた経験がまったく無かったので

すっかりドギマギしてしまった。


良く見るとイケメンだしスタイルも良いサラマンダーに

私は危うく惚れそうになってしまったが一応踏み止まった。


本当に精霊達にはいつもこうして振り回される、

でもそれが全然嫌じゃないのがきっと心を許している証拠で

私が精霊達を信頼している何よりもの証なのだと改めて実感していた。


「ちょっとシルフの心配をしていたの」

私は漸くの様にサラマンダーに答えると

「そう言えば姿が見えませんね」と言うので

サラマンダーにその訳を説明した。


するとサラマンダーは

「シルフの事です説明に手間取っているのでしょう」と

さもありなんとばかりに言っているので

私もその様子を想像して可笑しくなってしまい

「シルフならありそうな気がするね」

そう言いながらクスクス笑ってしまった、ごめんねシルフ。


そして「私も様子を見に行ってみましょう」

と言い出すサラマンダーを慌てて止めた。


「そんなに大袈裟にしたい事じゃ無いのよ

シルフは良く聞かずに飛んで行ってしまったけれど

だから大丈夫、寧ろ早く帰って来るように言って欲しいわ」

私の我儘で精霊達に要らぬ迷惑を掛けてる様な気になってしまい

申し訳ない気分でいっぱいになっていた。


するとサラマンダーは「分かりました」とだけ言い席に戻って行った。


しかしノームとウィンディーネとアウラを集め

何やらコソコソ話していたかと思うと

ノームとアウラが何処かへと出かけて行った。


私は何事かとその様子を気にしていると

ウィンディーネが私の所へと来て

「心配しなくて良いのよぉ」と事態の説明をしてくれた。


この森の中央に流れる大河に橋が無いために

冒険者達にとって必要以上にこの森を不便な物にしている

その愚痴をシルフが冒険者達から聞いてやっていたため

シルフは足止めされた様になっているそうだ。


そして橋が無いのが不便なら作れば良いだろうと

ノームとアウラが出かけて行ったと言う事らしい。


「サラマンダーが話に入ると事態が急速に動くのよぉ」

ウィンディーネはいつもの事だとでも言いた気に溜息をついた。


そしてしばらく考えてから

「みんなが帰ってきたらまた美味しい物でもご馳走して頂戴なぁ」

と、良い事を思いついたとでも言いたそうにそう言うので

私は内心、いつもお酒をたっぷりご馳走していますがと

そう思っていたのだけれど

ウィンディーネが言いたいのはシルフとアウラも交えて

美味しく食べられる何かの話をしているのだと理解して

みんなで食べられそうな高級な果物を等価交換様にリクエストして

そうしてみんなの帰りを待ったのだった。



読んでくださりありがとうございます。

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