シルフの大陸
森は言われれば瘴気が漂っていると言った感じで
シルフが騒ぐほどに一大事だとは思えなかった。
しかしシルフもアウラもこれが始まりなんですと
とても深刻そうにしているので
そうなのかと軽く思っていると
アウラがそんな私の様子を感じ取ってか
叱る様に説明を始めて懇切丁寧に教えてくれた。
そもそも瘴気とは
人間の出すゴミや獣の死骸などの腐敗物なのだと
魔物も人間も獣を狩っては必要なところ以外を
適切な処置をして大地に還すという事をしないので
ただ無駄に腐敗しては瘴気となっているのだと。
獣は弱肉強食で獣を狩って命を繋げるが
やはり好みの部分しか食べずその死骸を放置し
人間に至っては獣の素材欲しさに無駄に獣を狩り
やはり不必要な部分は不適切に放置し
さらに獣の死骸だけに留まらず
食べるために得た筈の物を平気で腐らせたりする。
そのすべてが瘴気となって漂ってしまうのだと教えてくれた。
適度な量ならば瘴気も自然が浄化するのだが
人間が必要以上にゴミを出す事で
自然が浄化出来る量を超えてしまっているのが
瘴気が溢れてしまう一番の原因だと言う。
そしてこの精霊の森の木々は他の地の物より浄化作用が高く
この大陸を守るためにも活発に浄化をしている筈なのだが
その場所に瘴気が漂う様になると言う事は
既に自然に浄化出来る範囲を超えた瘴気で溢れている証拠で
この精霊の森が瘴気で穢されると必然的に浄化できるレベルが下がり
この大陸全土も瘴気で溢れかえる事になってしまうと言うのだ。
そうなるとアウラの大地の様に聖女を誕生させ
聖女に浄化を任せる方法を取らなければならなくなり
その結果私の様に召喚される聖女もまた現れるだろうと
そうアウラに言われ初めて事の重大さを理解した。
瘴気は瘴気を呼びやがては人間のもつ負の感情をも取り込み
膨れ上がり増え続けそして魔物をも生み出してしまう
なので今のうちに対処出来れば
アウラの大陸の二の舞にはならないと説明され
すっかりと理解は出来なかったけれど納得した。
要するにこの森を今のうちに綺麗に浄化すれば
シルフの大陸が瘴気で溢れかえる事は無いって事だね。
でも聖女様の一人や二人はいても良いんじゃないかな
まぁ、召喚してまでって言うのは考え物だけれど
ちょっとした瘴気はすぐに浄化出来ればそれに越した事は無い
そう思ってしまうのは私のエゴかなと思ったけれど
一応はシルフとアウラには言ってみた。
シルフは「そうだね~」なんて軽く言っていたので
私は話はそこで終わらせて浄化を始める事にした。
浄化は思った程大変な事では無かった。
魔物はまだ精霊の森にはあまり出現しておらず
偶に襲って来る魔物や獣はシルフが簡単に倒してくれるので
寧ろシルフとアウラと森の散策の続きをしている気分だった。
アウラの森とは獣だけじゃなく木や草や花など
生態系がまったく違っていたので尚更だった。
「やっぱり大陸の様子もそれぞれ違うの?」私が聞いてみると
「そうですね、サラマンダーとウィンディーネの大陸には
まだ人間は誕生していませんし
ノームの大陸はノームが何度か作り替えたりしているので
遺跡が多いと聞いていますし色々ですね」とアウラが説明してくれた。
「じゃぁ人間が存在しているのは
シルフの大陸とアウラの大陸だけなの?」と確認する様に聞くと
「今の所そうなります」とアウラが答えてくれた。
「じゃぁ例えばシルフの大陸から船か何かで
ウィンディーネ大陸に渡ったとして人間は生活できるの?」
さらに沸いた疑問を聞いてみると
「適合できれば可能でしょうが
ウィンディーネの意志がどうなのかは私には分かりません」と
そんな事までもが精霊の意志なのだと何となく思っていた。
「じゃぁシルフもアウラも
自分の意志で大陸に人間を存在させているって事?」
私はまたもふと思った事を聞いてみると
「人間は大好きなの~」とシルフが嬉しそうにこたえたが
アウラの返事はなかった。
私は何となく心に引っ掛かりを覚えたが
敢えて追及はせずに話を終えた。
「シルフの森ってやっぱり広いの?」私が聞くと
「地図を購入しますか」と等価交換様言うので
迷わず購入してしまった。
そして地図を広げて驚いた、
あっちにもこっちにも大きな森が点在していて
大陸の半分は森なのじゃないかと言う程森林だらけだった。
「え~っと、精霊の森はいったいどれ?」
私は思わず聞いてしまった。
「今居るのはこの森だよ~」と
大陸の中央部に位置する大きな森を指さした。
「それじゃ、この森全部を浄化すればいいの?」
私は改めてシルフに確認すると
「そうなの~」と明るく答えるので
何だか思いっきり脱力してしまった。
それでもシルフのこの呑気な明るさに
何度も元気を貰っていたのだから今さら気にしても仕方ない
私は気合を入れて浄化に努める事にした。
読んでくださりありがとうございます。




