魔物の値段
『等価交換』をするためには魔物を倒さなくてはならないのか
少しだけ憂鬱ではあったけれど
結界と浄化のお陰で怖い物は無いのだからと自分に言い聞かせ
街道を外れ魔物を探して歩いた、方向を見失わない様にして。
そう言えば等価交換様って必要事項を話しかけて来るけれど
その他の会話も出来るのだろうか?
「等価交換様、等価交換でこの世界の物も手に入りますか」
私がそう尋ねてみると「可能です」と頭に響いた。
「手に入らない物ってありますか」
「金額が足りない物です」
「それ位は普通に分かるよ、ローンなんて無いだろうし
例えば核爆弾とか衛星とかも購入可能なんですか?」
「金額があれば可能です」
えええぇぇ~~~買えちゃうの核爆弾、危険すぎるでしょう。
まぁ、買わないけれどね。
「じゃぁこの世界で幻とか言われる魔法書とか武器とかも
お金さえあれば買えるの?」
「可能です」
まぁ、それは便利かも。
「じゃぁ、逆に何がお金に出来るの?」
「売れる物ならなんでも可能です」
「売れる物ってこの世界で売れる物それとも元の世界でって事?」
「どちらでも可能です、ただ分かり易く金額表示は円にしています」
親切だね、私に分かり易くしてくれているって事か
ありがとう等価交換様。
「いえ、どういたしまして」
等価交換様がこんなに話せるとは思ってもいなかったが
とても丁寧に説明されてとにかくその機能は納得出来た。
しかし何でそんなに話せるのか少々疑問を感じていはいた。
その辺を詳しく聞くべきだろうかそう思っていると
「いずれ分かる事もあるでしょう」と返って来た。
そして私の考えも読まれているのだとはっきりと理解した。
そんな事を話しながら歩いていて見つけた魔物は猪だった。
私よりは小さい筈なのに結構大きく見えて怖かったが
これもご飯の為と言い聞かせ早速『浄化』を掛けて行く。
初めは離れ過ぎていたせいかあまり効いていない感じだったが
2m程に近づいた所で暴れ出したので
きっとこの距離がベストと言うか効き始める距離なんだと理解し
そうして猪が静かになるまで気を抜かずに浄化を念じ続けた。
そして漸く大人しくなったところで猪に触れると
『等価交換様』が5000円で売ってくれた。
今の猪はそんなに大きく無かったのに5000円になるのか
じゃぁ、もっと大きな猪だったらいくらになるのだろう
私はその金額に自分の労働対価を元の世界と比べ
すっかりと怖さも忘れすでに魔物に出会うのが楽しみになっていた。
それにしてもこのローブ動きづらいったらありゃしない
街道を外れて道が無くなり足場が悪くなったら
何かに引っ掛けるし踏みそうになるしそして転びそうになるし
少し汚れてしまっているけれど売れるかな?
「可能です」
じゃぁ、売ってしまおう。
私はローブを脱ぎ捨て手をかざすとローブは黒い渦に飲み込まれた。
そして等価交換様はローブを500円で売ってくれた。
古着だし汚れていたしそんなものか、
それにしてもやっぱりあの国はケチ臭かったって事だな
聖女の衣装だと言うのに普通の古着値段だよまったく・・・
少しだけ期待していた分がっかり感が半端なかった。
そうして身軽になった私は森の中へとズンズンと歩みを進め
魔物を探して歩き続けた。
森の中の方が魔物が多く居そうな気がしたからだ。
すると思った通り少し歩くと次々と魔物が姿を現した。
ヘビにネズミにリスにウサギと言った小動物系の魔物や
猪に鹿に狼の様な少し狂暴そうな魔物など
少し移動するだけで次々と現れるので
私は厳重に自分に結界を張り直し襲ってくる魔物に浄化を念じ続けた。
ヘビは大きさや種類によるが小さい物でも3000円になった。
ネズミやリスやと言った小動物はあまり高値では売れず
300円や500円と言ったお小遣い程度で
ウサギは少しお高めの1500円とイタチ程度の値段になった。
そして倒すのに時間が掛かるだけあって
猪や鹿や狼は結構高値がついて
5000円から最高は12000円程も値が付いたので
やっぱり狙い目は大型の魔物だとホクホクしていた。
そして大分森の中を進んで見つけた川辺に心が躍った。
やっと汗が拭える。
もうすでに気持ち悪くて仕方がなかったんだよ
体中がベトベトした感じで服もジトジトしていて
私は等価交換様に着替えとタオルと石鹸をお願いした。
現在の金額はすでに39800円と表示されている
着替えや石鹸位は買えるだろう。
しばらくは『しま〇ら』ブランドで十分だ。
そう思いカタログを開きなるべく安い物で
タオルに下着に靴下とスウェットスーツの様なのを選び
洗濯石鹸とシャンプーとボディーソープを購入した。
一応自然に優しい系の物を選びそれからバケツも
全部プライベートブランド品を意識したので
5870円と結構お安く済んだ。
そして川辺の大きな岩陰に行きその周りに厳重に結界を張り
水浴びと洗濯をした。
水はとても冷たくて汚れが良く落ちていない気がして
何度も洗ってしまったが一応スッキリはした。
やっぱりお湯は必要、お風呂に入りたい。
次はお湯を沸かすすべを何か考えようと思いながら
着ていた物を念入りに洗濯して岩の上に干した。
この服が乾くまではここを拠点にして活動しよう
そう考えながら食事休憩にするのだった。
読んでくださりありがとうございます。