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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
第一章 1
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ありがとう等価交換様


私が教会に居た怪我人すべてに浄化を施すと

シスターが回復して回り怪我人の回復と言う仕事を終えた。


なので例の彼に対価を要求すると後で纏めてと言うので

それならばこれ以上の仕事はしないときっぱりと言うと

渋々の様に銀貨を3枚出して来た。

その銀貨がどれ程の価値があるのか判断出来ずにいると

シスターがパンが30個程買えるでしょうかと教えてくれた。

私の浄化の仕事はその程度なのかと思っていると

「この村に結界を張るとなるとかなりの対価が必要です」と

シスターがそう言ってくれたので

私はその金額に見合った結界を張ると言い張り

先に対価を出せと要求した。


夜になったらこの村を抜け出し逃げるつもりで居るので

もう怖い物など無かった。

すると彼は諦めた様に金貨を1枚出して来たので

この金貨で何が買えるかと尋ねると銀貨10枚分の価値だと言うので

それじゃその分の結界をと言って教会の周りにだけ結界を張った。


彼はどの位の結界を張ったかの判断も付かない様で

結界を張った事に満足していた。(馬鹿かコイツ)


その後シスターが用意してくれた食事を頂いたが

やっぱりパンとスープだった。

しかしシスターの作ってくれたスープは一応野菜たっぷりで

結構お腹が膨れたのでお城のスープよりはマシだった。


そうして思った通り今夜はこの教会に泊まり

明日の朝次の村へ向けて出発すると予定を聞かされ

その後部屋へ案内された。

私は逃げ出すタイミングを見計らっていると

シスターが部屋を訪ねて来て少し話がしたいと言って来た。


シスターは私を哀れんだのか少しでも手助けがしたいと

回復魔法の書と薬草の書と調合の書をくれた。

本当ならもっときちんとお礼がしたかったのだけれどと

申し訳なさそうにしながら

これで少しでも勉強してレベルを上げる様にと助言をくれた。


流石シスターだけあって心優しいと感謝しながらそれらを受け取ったが

バックなど持ち物を入れる物が無いのに困っていると

自分のお下がりで良ければと肩掛けバックをくれた。

そしてこれから辛い修行になるだろうけれど挫けずにと励ましてくれて

今夜はゆっくり休む様にと言ってから部屋を去った。


ゆっくり休む気なんて更々無いけれど

こんなに良くしてくれたシスターには心から感謝した。

そして辺りが静かになったのを確認してからそうっとドアを開け

足音を立てない様に細心の注意を払いながら歩き

教会の裏口をそっと開けて外へ出た。


騎士が教会の周りを警護でもしているかと思ったが

まったくそんな事も無くすんなりと村を出ることが出来た。

あの騎士たちは私の見張りじゃなかったのか?

そんな疑問も沸いたが私が逃げると思ってもいないのかと

騎士たちの無能ぶりに感謝していた。

後はこの国を無事脱出する事だけを考えて進むしかない。

私は少しでもこの村から離れるべく方角を確かめて歩みを進めた。


来た時に通った道とは反対方向を意識して

暗がりの中朝までは街道を歩くつもりでいた。

明るくなり始めたら街道を外れ身を隠しながら移動して

見つけた村で食料を仕入れ何処か休める場所を探し

とにかく見つからない様に気を付けながら国外へ出る予定でいた。


今はその程度の計画しか立てられないが

絶対に逃げ切って見せる

この国に使い捨てにされる人生なんてまっぴらごめんだ。

そう自分を鼓舞しながら暗がりの中をひたすら速足で移動した。


結構頑張って歩いたと思う

しかし日頃の運動不足がこんな所で祟り

思った以上に上手く進めない。

気持ちは急がなくちゃと思うのに体が休みたがって

何度立ち止まり何度座り込んでしまおうと考えた事か

その度に自分を励ましこんなに歩いたのは人生初だと思う。

自分を褒めてやりたい位に頑張って

息も上がり膝もガクガク言い出したと言うのに

私の目の前に突然魔物が現れた。


瘴気に侵され真っ黒になったイタチの様な魔物。

体は違う方向を向いているのに

振り返るようなポーズで私をじっと見ている。

そうだよ、この世界魔物が居るって聞いていたじゃない

忘れていた訳じゃ無いけれど考えていなかった。

しばらく睨み合っていると

イタチが私に向かって飛ぶように襲い掛かってきた。

咄嗟に悲鳴を上げしゃがみ込んでしまったが

私の身体と言うか身体に張られていたらしい結界にぶつかって

イタチの魔物は派手に転がった。


そうだ自覚は無かったが練習してた時に自分に結界を掛けてたんだ。

あれがちゃんと効果を発揮してくれたんだ。

そう思うと急に怖さが遠のいた。


じゃぁ、あの魔物も退治するすべはある筈なんだ

考えろ考えろ私に出来る事。

「そうだ取り合えず浄化してみようか」


私には攻撃魔法は使えない、唯一魔物に対応できる魔法は浄化だ。

そう思つき、すでに立ち上がり体勢を整えたイタチに向かって

手をかざし『浄化』と念じてみる。


するとイタチは急に苦しみ出して転げまわる様に暴れだした。

「効いているんだ」私は安心し尚も浄化をかけ続けると

しばらくして穢れを無くし息絶えた様に静かになった。


死んだのだろうか?

確認するために静かに近寄りイタチにそっと触れると

そこに黒い渦の様な物が現れ

イタチの姿がスゥっと吸い込まれる様にして姿を消した。


すると目の前にグラフィックボードが現れ

『売却しますか、保存ですか』と頭の中で聞いて来る。

何が起こったのか良く理解できなかったが

「じゃぁ、売却で」と答えると

グラフィックボードに現在の金額と言う表示が現れ

そこに1500円と表示された。


え~っと、今退治したイタチを売ってくれたって事?

誰が?何処へ?


これがあの固有スキルの『等価交換』ってヤツの力なのか?


と言う事は、何かと交換できるって事だよね?


そう思っていると『何を購入しますか』とまた頭の中に響いた。


1500円で買える何か、今一番欲しい物

「ハンバーグランチとデザートが食べたい」私がそう答えると

グラフィックボードにその中から選べとでもいう様に

メニューの様なカタログが現れた。


どれもこれも美味しそうなハンバーグ弁当のメニューだった。

値段を確認しながらその中の一つを選ぶと

今度はデザートのメニューが展開された。

私は何度かページをめくり

いつも食べていたちょっとお高いアイスクリームを選択した。


すると目の前に黒い渦が出来て

その中からほかほかのハンバーグ弁当と

冷え冷えのカップのアイスクリームが出て来た。


「コレ幻じゃないよね?本当に食べても大丈夫だよね?」


そう言いながらも空腹には抗えず食べ始めてしまった。

とっても美味しかった。

アイスクリームはハンバーグ弁当を食べている間放置だったので

ほどよく溶けて良い感じになっていたし

もうホント言う事無しの満足のいく食事だった。


これでもうパンとスープに悩まされなくて良いんだ

空腹に悩まされる事も無くなるんだ

そう思うと「ありがとう等価交換様、本当にありがとう」

私は思わず叫んでしまった。



読んでくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] >すると目の前にグラフィックボードが現れ たぶん情報機器の画面のようなイメージなのだとは思いますが、他作品や用語としても聞かない今作で初見の単語ですし、普通にグラフィックボードと聞いたらPC…
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