師事ってなんだ
懐かしい人たちとの出会いに驚いたのもあるが、
気合を入れて話しかけたと言うのに反応が薄いと思ったら
私だと認識するのに時間が掛かった様だった。
「もしかしてあなたコオちゃんなの?」とサマサさん
「誰だか分からなかったわよ」とレナ先生
バッツさんもガラフさんもギードさんも頷いている。
「そんなに変わりました?」と私が聞くと
「随分スッキリとしちゃって別人の様よ」と言われてしまった。
うん、自分でも随分と痩せたと自覚しているけれど
分からない程変わっているか?
それ程か?
少し大げさな気もするしここは社交辞令と捉え話を進める所だな
そう思い話を進めた。
「それでどうしたんですかこんな所に」と私が聞くと
サマサさんが話を始めた。
予定より早く黙って姿を消した事も腹が立ったけど
事情があるだろうとか、それとも照れ臭かったのかとか
色々と考えて許してくれたそうだ。
けれど、あれだけ連絡をくれる様に言い聞かせたのに
何の音さたも無くいったいどうしているのか
どうなったのかと心配するうちに
荷馬車が魔物に襲われない事に気づき
私が結界を張ってくれたのだと理解し感謝したのだと言う。
そうなるとお礼もしたいとみんなで話し合い
この森に様子を見に来る事になったそうだ。
しかし何の準備もしないのも不安だし
私に会いに来るのに手ぶらなのも気になったので
引退した聖女様に頼み込んでこうして同行して貰ったのだと
サマサさんが丁寧に説明してくれた。
「聖女様に師事した事が無いって言ってたでしょう
これを機会に正式に師事して色々と教えて頂いたら良いと思って」と
レナ先生が何やら嬉しそうに言う。
私は大人しく話を聞いていたがつい突っ込みたくなって
「それで私がこの森に居なかったらどうしてたんですか?」
とつい聞いてしまった。
するといったい何を言っているのだと言う風に
「だってこれだけ浄化された形跡があるのに居ない訳無いでしょう
この形跡を辿って行けば絶対に会えると思ってたの」と
何やら危険すぎる発言をしていた。
引退したとはいえ聖女様が一緒と言うのもあったのだろうが
結構強い(お高い)魔物が多いこの魔界の森は本当に危険が一杯だよ
魔力無限大の私でも手を焼いたし精霊の助けがなかったら
私だって無理だったかもしれないんだよ
そう思うとサマサさん達の行動の安易さに少し腹がっ立っていた。
「危険過ぎますって、何かあったらどうするつもりだったんですか」
そう私が叱る様に強く言うと
「何事も無くこうして出会えたじゃない」と
サマサさんに抱き着かれた。
そのサマサさんの体温から
本気で心配してくれた事が伝わって来て私の心は温かくなっていた。
私も思わず抱き返して「ありがとうございます」と呟いた。
みんなで心配してくれたその心遣いに
そしてこうして危険を承知で会いに来てくれた事に
何より私を忘れずにいてくれた事に感激して涙が出そうだった。
薄情な事に私はすっかり忘れていたと言うのに
連絡する気なんてまったく無かったと言うのに
こうしてまた再会出来た事は何気に嬉しい。
けれど・・・
聖女様に師事ってなんだ?
私はこの森の浄化を済ませたら快適な引き籠り生活するよ
聖女の仕事なんてする気はさらさらないよ
なのに何勝手に決めているの?
これからまだ勉強しろだなんて
それも聖女になるための勉強だなんて
レナ先生それは無いでしょう~
と、声には出せず心で叫んでいた。
読んでくださりありがとうございます。




