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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
第一章 1
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私は奴隷か


部屋へ戻りベットに座ると急激に睡魔に襲われた。

夜明け近くに漸く寝付いたのに夜明けと共に起こされたのだ

そう何時間も寝ていない

空腹も耐え難いがそれを上回る睡魔だった。

私はその睡魔に抗えずベットへ倒れ込みそのまま寝付いた。


そしてまたもや侍女に揺り起こされ「羽織ってみてください」と

新たに作られたらしいマントを手渡された。


私は寝起きの頭を覚醒しようと頑張ってみたが苛立ちしか湧いてこず

手渡されたそのマントをベットへと放り投げ

「私があなた方の言う事を聞かなくちゃならない理由は何ですか」

と、怒りに任せそう尋ねてみた。

「何でしたらこの城から追い出してくれて構いません」

そう言ってさらに強気に出てみた。


考えてみたら何も分からない状態で不安を抱え

少しばかり弱気になって下手に出過ぎていたわ。

聖女としての役割を押付け様としている奴ら相手に

何で私が大人しく言う事を聞かなくちゃならないんだ。

まともな睡眠時間も与えられず

尚且つ食事さえも考えて貰えないこの状況

下手なブラック企業も真っ青だって言うの私は奴隷か。


私の怒りが伝わったのか侍女は何も言わず慌てて部屋を出て行った。

すると間もなくして昨夜の彼が部屋を訪れ

「何か失礼な事でも致しましたでしょうか」って、

失礼じゃない事が何かあったかって逆に聞きたいよ。


「私はこの城を出て行きます

ついてはこの世界に勝手に召喚した責任を取ってください」

私は苛立ちに任せ叫ぶようにそう叫んでいた。


「聖女様それではお約束が違いますが」慌てふためく彼に構わず


「せめてこの世界で少しは生活できる位のお金をください」


「ですから聖女様少しは気持ちを落ち着けて頂いて」


「いいえ、もう我慢の限界です。無理です」


「聖女様には何か誤解があります様で

侍女が何か失礼をいたしました様でしたらお許し頂きたいと」


「お金を出せないと言うならそれも仕方ありません

でもこの城は出て行きます」

押し問答の末私は興奮のあまりそう結論付け言っていた。


なんか言葉に出し始めたら気持ちが抑えられなくなった。

怒りや悔しさや情けなさや色んな感情が湧きたって来て

もう自分を抑える事が出来なくなっていたのだ。


「ですから聖女様少し落ち着いて頂いて」

と彼は私の両肩を掴み私を揺する様にしてきた。


私はその動作にびっくりして慌てて飛び跳ねた。

妙齢の男性とこんな至近距離でのこの動作は初体験です

故に妙に意識してしまって怒りを忘れ心臓が飛び跳ねた。

ええそうです、免疫がまったく無いのです困ったもんです。


私が大人しくなったのをどう思ったのか彼は改めて聞いて来る

「何か失礼がありましたでしょうか」


ああそうだ、

私は少しでも多くこの世界の通貨を手に入れるんだった。

ここで大袈裟に騒いで事態を悪くするのは得策じゃ無かった。

つい睡眠不足と空腹が過ぎて感情的になってしまった。

ここは少しでも怒りを抑えて目的を果たさなくては

私は改めて当初の計画を思い出し気持ちを落ち着けた。


「すみません、お腹が空いて気が立っていました」

私がそう謝ると彼は何だと言う様に

「食事でしたら王城の食堂へでも出向いて頂ければ

何かしら食べる物もありましたでしょう」


・・・って、

そんな説明もその食堂が何処にあるのかも聞いていないのに

本当にコイツいったい何を考えてるんだ?

呆れるしかないその返事にコイツの無能さを感じ

それならば私の方が冷静に強く出てやると決めた。


「食事はここへ運んでください

それから今から行う聖女の仕事には対価を払ってください

その要件が飲めないと言うのでしたら私は聖女の役割は果たせません」

私がそうきっぱりと言うと彼は少しの間私の顔をまじまじと見ていたが

私の本気が伝わったのか「仕方ありませんね」と答え部屋を出て行った。


そうして暫く待つと侍女が運んできた食事はまたもやスープとパンだった。

この世界で食事と言ったらこれしか無いのか?

野菜と肉が少し入った薄味のスープに黒っぽい少し硬いパン

朝から豪華な食事を出せとは言わないけれど

それでも物足りなさしか感じないこの食事内容は

やっぱりどう考えても聖女として尊重されているとは思えない。

もし仮にこの食事がこの世界の一般的な物だとしても

ここは天下の王城だよ、

平民と言われる人々はいったいどんな食生活送ってるんだ。

それにあの質素なドレスと言い

もしかしてこの国お金が無いのか?

いやでもあの王様はそんなに質素な風貌じゃ無かったし

あの召喚の間も大理石造りだったしどうなんだろう

私は考えれば考える程色んな事に不安を覚えた。



読んでくださりありがとうございます。

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