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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
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世界樹ダンジョン


サラマンダーの大陸は予想していた通り灼熱の大地だった。


砂漠も多く活火山も多く時折山が噴火するのを見かけた。


それでもオアシスの様な場所は所々にあって

水辺と呼べるような物も存在していた。


しかし干上がってしまった大河の様な形跡があったりして

やはり圧倒的に乾いた大地と言う印象は強かった。


しかし気温は言うほど高くは感じなかったので

きっと結合された影響なのだろうと思っていた。


確か精霊達は人間が適合出来るかどうかだと言っていた

と言う事は多分以前はかなり気温も高かった筈で

とても人間が住めるような状況じゃ無かったのだろうが

今の状況を見る限りは水さえ確保出来れば

きっと人間も住めるんじゃないかと思っていた。


と言うか調査のためとはいえ

今この大陸を移動している私達3人にあまり不都合は無かった。


「この干上がった河に水を取り戻したいね」

私が何となくそう呟くと

「水が無いから干上がったんだろうに水はどうすんだよ」

「まずは源流を調査してみましょうか」

「それもそうだけど大地にはきっと潤いが必要だよね

雨でも振らせながら移動しようかな」

「そんな事が出来るのかよ」

「多分大丈夫、でもその前に結界を張るね」

私の結界もかなり性能が上がっていた。


瘴気や魔物をただ防ぐだけでなく

魔法や攻撃を遮断する事も出来たし弾き返す事も出来た。


そして獣や外敵の侵入も防ぐ様に指定も出来ていた

なのでかなり便利と言うか完全無敵状態の結界も作れると思う。


自信が無いのは強敵相手に使った事が無かったからで

実際私の結界の強度はどの位なのかは実証されていないのが

とても残念な所ではあった。



私はみんなに厳重に結界を張ってから

『テンペスト』を掛け続けながら移動していた。


結界の外はかなりの雷雨と強風が渦巻いているかの様だったけれど

私達は吹き飛ばされる事も雨に濡れる事も

ましてや雷に打たれる事も無く移動出来ていたが

さすがに雷がすぐ傍に落ちる時は恐怖で身がすくんでしまった。


「これはアレだな精神的な戦闘でもしてるみたいだな」

「天災との戦いは人類の永遠の課題です」

二人もやはり結界のお陰で何の影響も無いとは言え

この悪天候の中を移動するのは多少の苦痛を感じている様だった。


「それにしても凄いよな、こうやって天気まで操るんだから」

「そうですねもう神様レベルって事なのでしょうか」

「何言ってんのよ、魔導書は売ってるよ

この魔法だって使える人は他にもいる筈だよ」

「たとえ使えたとしてもこれ程の威力は無いと思いますよ」

「そうだよな魔法ってレベルの威力じゃ無いよなよな

これだけの範囲ってのもだしどう考えても天災だよ」

二人は私の魔法を褒めているかの様に言っているが

どうもその言い方から考えて

この悪天候の中を移動するのが嫌になっている様だった。


「何だったら別行動にしようか?」

「別行動って何をどう別に行動するんだよ」

「ああ、考えてみたら

このテンペストでかなりの獣が死んでますよねきっと

その死骸の回収をした方が良いって事でしょうか」

「そうか、遣り過ぎたらこの大陸の獣を絶滅させる事になるのか

うっかりしてたって言うか考えもしなかった」

「コオ様らしいですね」

「らしいって何よただの馬鹿って事でしょう」

「気付く事が出来たって事は俺達と一緒で良かっただろ」

「それって私が馬鹿だって話に被せてるの」

「そうじゃないけど一緒に居た意味があるかなってな」

「そうですねコオ様は何でもおひとりで出来る方ですから」

「そんな事ある訳無いじゃない

いつも間違えてばかりで反省する事の方が多くて

二人が一緒に居てくれるから安心していられるのは確かだよ」

二人が何を不安に思っているのかは良く分からなかったけど

励ますつもりでも無くさり気なく感謝の気持ちは伝えてみた。


やっぱり悪天候が続くと気持ちまで鬱々としてしまうのだろう

二人が何か不機嫌と言うかいつもの明るさが無いのは

やっぱりそういう事なのだろうと考えて

私は『テンペスト』は程々にして源流へと急ぐ事にした。



『テンペスト』はレベル上げの気分で所々に時々使う程度にして

獣の回収は殆ど諦める事にした。


しかしそのせいで瘴気が発生しないかと少し気がかりではあったが

なんだったらこの大陸にも

ダンジョンの一つや二つ作っても良いかと

そんな事を考え始めていた。


そう言えば私が大陸に魔力を使えば使う程

精霊の復帰が早くなるとノームは言っていた筈

だとしたらやはりダンジョンは作るべきだとそう決めて

ダンジョンを作るのに適した場所を探していた。


サラマンダーの大陸に相応しいダンジョンってどんなのだろう

でも折角ダンジョン作っても冒険者が集まらなければ意味無いし

私はあれこれ色々考えていてふと思いついた。


(そうだシルフが作ったあの大樹のダンジョン

あれを平地に作ったら遠くからでも目立つし日陰にもなるし

大地を潤わせる事も出来るかもしれない)


私にシルフの様な大樹が作れるかどうかは少し疑問だったが

挑戦してみるのは悪い事じゃ無いだろうそう心に決め

それに相応しい平地を選んだ。


そしてそのほぼ中央辺りに遠くからでも分かる様に

なるべく大きな大樹をイメージしながら

シルフのダンジョンを真似てダンジョンを作成して行った。


ダンジョンの内部もショートカットの構造も

出現する魔物もすべて同じ様にイメージしていたせいか

そこにはシルフのダンジョンとそっくりなダンジョンが出来上がった。


ただし大きさは私のイメージ通りにかなり大きくなっていて

それはもう世界樹とでも呼んでも良さそうな程に大きかった。


(これはきっと攻略も大変なんだろうな)

私は他人事の様にそう考えながらその大樹を見上げていた。


「コレってやっぱり攻略するんだろう」

「そうですよね確かめない訳には行きませんよね」

二人にそう言われて私は少し慌てていた。


「大陸の調査の方が先なんじゃない

このダンジョン攻略してたらかなりのロスだよ」

「このダンジョンも大陸の一部だろうが」

「そうですよコオ様が作ったのです無視は出来ませんよ」

そう言い張って聞かない二人と話し合い

ダンジョンの攻略は二人に任せ

私はまたエドガーに頼まれると予測される

このダンジョンまでの街道創りを優先する事にした。


「何かあったら連絡を頂戴ね」

「魔物が強すぎて大変だったら手助けをお願いします」

「二人なら大丈夫だと思うけどその時は呼んで」

私達はそう言ってダンジョンの前で別れ

久しぶりの別行動となったのだった。



読んでくださりありがとうございます。

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