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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
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ドワーフの街


「エドガーさんの話って何だったんだ?」

「え~っとね、なんて言うかその」

「何だよ言いづらい事なのか?」

「アスター、聞いてはいけない事もありますよ」

「そうなのか?」

「コオ様は女性なのですよ

なんでも聞いて良いとは思わない方が良いですよ」

「もうそんな大仰な事じゃ無いよ

結婚を意識して考えておけって言われただけだよ」

「おお、エドガーさんもそんな事考えてんのか」

「アスター少し違うと思いますよ

エドガー様は既にお世継ぎ様の事を考えているのだと思います

それ程先の事までもを見据えていらっしゃるのでしょう」

「げ~っ、随分窮屈そうだな」

「アスターが自由過ぎるのです」

「俺は今やっと解放された様な気がしてるんだ

このまま自由に人生を楽しむつもりだぜ」

「その割にはエドガー様に言いつけられた事は守ってますよね」

「本当の自由は制約があってこそなんだよ」

「私はアスターのそう言う所嫌いじゃありませんよ」

私は二人のそんな会話を聞きながら

結婚の事は取り敢えず下手に意識せず縁に任せる事にした。


そのうち本当に何処かでそんな出会いがあったなら

その時に考えれば良いだろうそう自分に言い聞かせた。



「それでどういう道順で大陸を廻るかの指示はあったの?」

「この大陸はすでに地図があるからな

それに変化が無いかは別パーティーが確認に廻るらしい

だから新しく出来た大陸を廻れって言われてる」

「私が海岸沿いに確認した時は対岸に大陸があったけど

そこへはまだ渡って確認してないんだよね

何処か繋がった所が無いか探しながら移動してたから」

私は改めて地図を広げ移動した場所を確認しながら

二人に説明をして行った。


「もし繋がった所があれば

この大陸を確認しているパーティーが見つけるでしょう

私達は思い切って対岸へ渡り確認を始めましょうか」

ディアンがそう提案して来た。


「簡単に言うけど君たちその距離のワープはもう出来るの」

「当り前じゃないか」

「当然です」

「ふふ、何だか頼もしいね

じゃぁ明日から対岸の大陸から探索を始めますか」

私達はそう言う予定を立ててその晩は休んだのだった。



次の日から3人で新たな大陸の探索を始めた。


ディアンが地図を作りアスターが生物の調査をして

私は植物などの調査を請け負った。


しかしこの大陸は乾いた大地や

エアーズロックの様な一枚岩の山の様な場所があったり

山脈の中にも切り立った岩山があったりと

あまり緑豊かと言う雰囲気ではなかった。


しかし生物は多種多様に生息していて

ネズミの様な小動物から水牛の様な集団で移動する大型動物

高い木の上に巣を作る大型の鳥や

チーターの様な獰猛な動物からトナカイの様な動物等々

色々見かけたが襲って来ない限りは無視して進んだ。


植物もアウラの大陸では見かけた事の無い物ばかりで

とても興味深かったが

私にはそれを解析するすべが無かったので

取り敢えず手当たり次第にデジカメで撮影して行った。


印刷が可能なら現像も可能だろうとそう思い

後で等価交換様に現像をお願いしてみようと考えたのだ。


そして売れる物は保存して売れない物は廃棄と言う

以前薬草判定に使った手をまた使い採取可能な物は採取した。


そして探索を始めて9日が経った頃にそれを見つけた。


鉱山の様な作業場と坑道の様な洞穴だった。


それはきっとこの山で何かの鉱物が採れるのだろうと言う推測と

そこで働く人がいると言う事実と言うか足跡と言うか

思ってもいなかった事実を目の前に私達は驚いていた。


確か精霊達の話では

サラマンダーの大陸とウィンディーネの大陸には

人類は生存していないと言っていた筈


ノームは人類の生存を否定はしていなかったが

はっきりと居るとも言っていなかったと思う

だとしたらこの大陸はノームが守護していた大陸って事か


そして人類は生存していたと言う事か


だとしたらなんでノームははっきりと言わなかったんだ?


何か問題でもあるんだろうか?


私は色んな考えが頭を巡りそして同時に不安も覚えていた。


「これはあれっすか、やっぱり探るしかないやつですか」

「しかし警戒は怠らない方が良いと思いますよ」

二人の会話に我に返り

「洞窟内に入ってみるって事?」

「その前に辺りに村か何かないか探った方が良いでしょう」

「だな、いきなり洞窟内はヤバイ気がするよな」

「それは村でも一緒じゃない?」

「逃げ場がないじゃないですか」

「でも私達はワープを使えるよ」

「それもそうですね、でもやはり警戒だけはしておきましょう」

「じゃぁ危険が迫ったら家に戻る事にしましょう」

「ああ、分かった」

「了解です」

私達はそう決めて辺りの探索を始めた。


「そう言えば私は探知を使えたんだった」

「何だよそんな便利な能力があるなら早く使えよ」

「今さっきまですっかり忘れてた」

「使わないで済んでいたのは良い事ですが

常に意識しておく方が良いと思いますよ」

もっともな意見に少し恥ずかしさを感じながら辺りを探知してみた。


するとすぐ近くに多数の生物の反応を感じたのでそこへ行ってみた。


そこは岩山の一画をすり鉢状に削ったかのような作りで

螺旋の様な坂道や階段などがあり

壁面に扉や窓が付いて居る事から誰かが済む住居なのだと分かった。


扉や窓枠は鉄の様な鉱物で作られていたし

中央にそびえたつ何かのタワーの様な機械には

無数の歯車が組み込まれ規則正しく動いていた。


私はそれを見てアウラの大陸とはまた違う文明の発展を感じた。


例えるなら機械仕掛けの街と言った所だろうか

私はそのタワーに吸い寄せられる様にして街へと足を踏み入れた。


鍛冶師が鉄を打つ様なカンカンと言う音が聞こえたり

歯車が回るギシギシと言う様な音が聞こえたりしていて

人の気配はあるのだが街の中を歩く人影は無く

私達はどうしたものかと考えていた。


取り敢えず手近な所から訪ねてみた方が良いのか

誰かに出会うまで待ってみる方が良いのか

そんな事を考えながら街中を警戒しながら進んでいると

街の中腹辺りのひと際立派そうな扉が開き

中から数人の人影が現れた。


それは少し小柄だが筋骨隆々で屈強そうな浅黒い肌色の青年達で

そう所謂ファンタジー世界定番のドワーフの様だった。


そうか人間種じゃなかったから

ノームははっきり言わなかったのかと私は今理解した。


こちらに近づいて来る青年達に向かい取り合えず挨拶をしてみた。


「こんにちは、勝手にお邪魔してすみません」

するとドワーフの一人が挨拶をまるっきり無視して

「どうぞこちらへ」と言うと

ドワーフ達は私達を取り囲む様に陣営を取ると

そのまま連行するかの様にして歩き出したので

私達は取り敢えず大人しく付いて行く事にした。


言語も通じる様だし意思の疎通も出来る事に

ひとまずは安心していたが

これから何が起こるのかと言う不安は拭えず

私達は密かに顔を見合わせて

万が一の時は家へワープすると言う取り決めの確認をしていた。



読んでくださりありがとうございます。

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