いったいどんな?
あまりぐっすりとは眠れなかった。
鬱々とした気分を引き摺ってしまい良く寝付けなかった。
しかしウィンディーネを信じ協力すると誓ったんだ
嫌われているなら必要以上に関わらなければ良い
私は自分にそう言い聞かせ結論を出して支度をした。
待ち合わせ時間には少し早かったが外へ出ると
エドガーとリアンは既にもう来ていた。
「おはよう」私が声を掛けるとそれぞれに挨拶を返して来た。
「ふたりとも早いんだね」
「早めの集合は常識です」
「はい」って、本当に二人とも真面目かよ
そう思っているとすぐにアーシャもやって来た。
「おはよう、遅くなったかな」
「大丈夫まだ精霊達が誰も来ていないから」
「みなさんどうしたんですか」
「何か武器を作るって言ってたけど待ち合わせには来る筈」
「武器ですか?」
「何か特有な武器を作るらしいよ」
私がそう言っていると漸くの様に精霊達が現れた。
「ごめんなさい待たせたかしらぁ」
「すまんのぉ少し力が入ってしまった様じゃ」
「私もて手伝ったのです~」
「シルフも?いったいいつの間に」
「それよりもコレはアーシャに」と言って出された武器は
S字型のブーメランの様な短剣の様な武器だった。
持ち手は真ん中にあり私が見た感じで
これは相手を攻撃するときに自分をも切りつけそうで怖い
そう思ってしまう様な形容だったのだけれど
ウィンディーネはそれをバトンの様に振って見せて
「少しコツがいるけれど覚えれば面白い武器よぉ
短剣としても使えるし投げても使えるのよぉ」
そう言ってアーシャに渡した。
すると次はシルフが「遠くの敵でも狙えるの~」
そう言ってエドガーに弓を渡した。
「その弓はシルフ特性だぞいお主が目視出来る敵は
どんなに遠くに居ようが射貫ける追尾機能付きじゃ
矢はアウラ特性じゃその矢で射貫けぬ敵はそうはいまいて
そしてもっと凄いのが自動回収機能付きじゃぞい」
そうノームに説明されて
「大事に使わせて頂きます」と感慨深げに受け取っていた。
すると今度はノームがリアンに槍を渡した。
その槍は穂の部分が日本刀で出来ているかの様に長く
刃も鋭く磨かれていてとても良く斬れそうに見えた。
「少し重くなってしまうが斬っても突いても有能じゃぞい」
「ありがとうございます」リアンはそう言うと
その槍を賜る様にして受け取っていた。
そうして3人がそれぞれに新しい武器を受け取ると
「それじゃぁ行きましょうかぁ」と
ウィンディーネが合図の様に言って
私達はみんなで転移したのだった。
そこは肥沃なる麦畑が何処までも続く平原だった。
およそ瘴気とは関係なさそうなその雄大な景観に驚いた。
この場所の何処に瘴気溜まりがあるのかと見渡せば
畑の一画に不自然に枯れた木が密集する場所があった。
そしてそこにとても濃い瘴気溜まりがあり
辺りに瘴気を振りまいている様でもあり
辺りの瘴気を集めているかのようでもあった。
「この辺りは森林を無理に伐採して農地を広げた場所なのよぉ
だから綺麗だったはずの泉には水が湧かなくなり
ああして瘴気を呼び込む溜池の様になってしまったのぉ」
ウィンディーネはそう説明してくれたが
禍々しい瘴気溜まりに覆われたその場所に
溜池の様子は確認出来なかった。
「それじゃあの溜池をダンジョンにするの?」
「そうですわねぇ畑を潰すわけにも行きませんものねぇ」
そう言いながらその瘴気溜まりへと少し近づくと
「早速はじめましょうかぁ」と言うので
私はまたもやアウトドアチェアーを取り出して
ウィンディーネの側へと移動して座った。
その様子を見たウィンディーネは「あらあらぁ」とだけ言うと
早速私の肩に手を置いて何かを念じ始めた。
すると瘴気溜まりの瘴気は物凄い速さで渦を巻きだし
まるで水が排水されて行く時の様に地下へ流れ出した。
ゴゴゴーとでも擬音が響き渡りそうなその様子に
私はすっかり圧倒されてしまい只々見つめるだけだった。
そうして瘴気溜まりが薄くなると辺りの瘴気も集め出し
地下の様子などここからはまったく分からなかったが
渦が小さくなった分細く地下深くまで掘り進めている様に思えた。
どの位時間が経ったのだろうか
椅子に座って楽をさせて貰っていた筈の私もすっかりと疲れ
ウィンディーネもかなり疲れた様子を見せている。
辺りの瘴気ももうすでに見えなくなっていると言うのに
ウィンディーネはまだまだ私の魔力を使い
ダンジョンを念入りに構築している様だった。
いったいいつまで続けるつもりかと少しだけ考えながらも
ウィンディーネの遣りたい様に遣らせようと腹を括ったその時
漸くの様にウィンディーネが終わりを告げた。
「終わりましたわぁ」
その疲れ切った様子に私は少し心配になり
「大丈夫なの」と思わず聞いてしまっていた。
「少しばかりはしゃぎ過ぎましたわぁ
少しだけ休ませて頂けないかしらぁ」
「それは良いけどじゃぁダンジョン攻略はどうするの」
「また明日出直しましょうかぁ
ダンジョンの攻略には少しばかり時間が掛かるかもし知れませんし」
「少しばかりってどの位よ」
「それは分かりませんわぁ、でも明日まで休ませてくださいなぁ」
そう言うとウィンディーネは私の中へと入って来た。
余程疲れているのかそれとも少しでも休みたかったのか
アーシャと一緒に攻略すると言っていたウィンディーネが居なくなり
私達だけでダンジョンを攻略するのは断念して
ウィンディーネの言う通り明日また出直す事にした。
するとエドガーが
「ダンジョンの攻略に時間が掛かるなら
少し留守にするための準備も必要ですね」とそう言うと
リアンも「はい」と言っている。
「そんなに長い時間留守にするかも知れないって事?」
私は慌ててエドガーにそう聞くと
「精霊様が仰るのですから準備は必要です」と言う
そんなに色々と覚悟と準備が必要なダンジョンなのかと
私は改めていったいどんなダンジョンを作ったのかと
そんな事を思わずにはいられなかった。
読んでくださりありがとうございます。