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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
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才能の種類


私は宿泊施設へ顔を出した。


ロジーの様子を見るためだった。


他のウィンディーネが連れて来た子達はどの子もみんな

それぞれに自分の考えをしっかりと持ち

そして才能が有ったりと自分の道を歩いている様だった。


なのできっとロジーにも何かあるんじゃないかと思ったのだ。


ロジーは本人があまり積極的な雰囲気では無かったので

何となく宿泊施設へ預けた様な形になってしまっていた。


でも何か才能があるのならやはりそれを伸ばしてあげたい

私はそう思い宿泊施設を訪ねてみたのだけれど

ロジーの才能は厨房で既に発揮され始めていた様だった。


レオに教わったらしいレシピなのか

それとも料理のレシピブックで覚えたのか知らないが

美味しそうなチョコレートケーキを作りみんなに振舞っていた。


「どうしたのそれ」私は思わず聞いてみると

「試作品だよ」とレオが答え

「試作品ってここで出す予定って事?」

「デザートは必要だろう

僕も作れるけどロジー程に美味しくは作れないんだ

何が違うのか今検証してたんだけどね」

「レオも作れるの?」

「そのためにレシピブックくれたんじゃないのか」

「食べてみるか?」突然ロジーが私に聞いて来た。


「食べて良いの?」と聞き返すとロジーは頷いた。


見た感じは普通に何処にでも売っていそうな

定番中の定番のチョコレートケーキと言った感じで

何の目新しさも無い様に思われたが良く見ると

薄くスポンジの間に紫・ピンク・赤の3色が挟まっていて

何となくそれが上品なイメージを与えていた。


私はフォークでチョコレートケーキを掬い取り口に入れると

初めはほろ苦いチョコの味が口に広がったが

噛み締めると途端に多分ベリーの甘さと酸味とが混ざり

味と香りに深みを与え

そしてなによりチョコレートの濃厚さを際立たせた。


「美味しい」私はそれを言うのが精一杯だった。


「凄いだろそれはロジーの考えたレシピなんだぜ」

私はそれを聞いて驚いた。


「料理本のレシピじゃないの?」

「ロジーはお菓子だけじゃなく料理してると閃くらしいぜ

僕には真似出来ないね」

レオは少し悔しそうにそう言った。


「レオも十分有能だと思うけど」

私は慰めるつもりでも無かったがそう言うと

「僕は何でもそつなくこなす事は出来るけど

器用貧乏ってやつかどれか一つに秀でる事は無いんだな」

レオは自己分析で自分の事を語った様だった。


「頭が良すぎちゃうんだね、それとも好奇心が旺盛なのかな

知りたい事が多すぎて極めている時間が無いんだね」

「あんた分かってるみたいだね」

「レオはレオで良いんじゃない

私はそんなレオも頼りにしているから」

「分かってるよ、別に拗ねてる訳じゃ無いから安心して」

レオが笑ったので私は残りのケーキを完食した。


「ロジーは料理の才能があるんだね

居酒屋のフィリップは以前コックをしてたらしいけど

何だったら師事してみる?」私がロジーにそう聞くと

「師事しなきゃダメなのか」と聞いて来るので

「そう言う事じゃ無くて

誰かに教わった方が良いのかなって思って」

「それなら俺はこの本で十分学べるし大丈夫だ」

そう言ってレシピブックを指さした。


何だか複雑な事情でも抱えているのか

それともまだ私が信用されていないのか

どちらにしてもロジーが本で学びたいと言うのならと

「調理の教材は教会の教室にも置いてあるよ

他に何か参考になりそうなレシピブックも選んでおくね」

そうロジーに伝え取り合えずその場を去った。


やはりウィンディーネの言う才能の選択は

けして戦闘能力が基準じゃ無かったのだと感じた。


何にしてもウィンディーネの考えを

きちんと聞いてみたいと私はそう思っていた。



するとその考えが伝わったのかウィンディーネが帰って来た。


その気配に出迎えるために転移石へと移動すると

ウィンディーネはまたまた2人の青年を連れていた。


今度はどんな才能を連れて来たのかと

私は少し楽しみになっていたけれど一応聞いてみた。


「ウィンディーネ、確認させて貰うけど

ちゃんとご両親の了承を得て来たんでしょうね」

「勿論じゃありませんのぉ」

「以前ウィンディーネが連れて来た子達は

みんなそれぞれ素晴らしい才能の持ち主なのは分かった

そしてみんな頑張ってくれている

でもこれ以上は自重する様に言ったと思うんだけど」

「あらぁそうでしたわねぇ

でも私この子達の才能も見過ごせませんでしたのよぉ」

そう言ってウィンディーネは自己紹介をさせた。


ナルセスと言う18歳の青年と

セラムと言う17歳の青年だった。


ウィンディーネの説明によると

ナルセスとセラムには開発や技術を任せると良いと言う。


何の開発してどんな技術を磨くのかと謎だったが

ナルセスもセラスも豊富な魔力量を持つので

魔法使いに育てる気でいるがそれだけでは勿体ないので

魔石を使った魔道具の開発とそれを作る技術を

二人に担わせようと言う考えの様だった。


言うのは簡単だけれど大丈夫なのかと私は少し心配だったが

ウィンディーネが私に任せなさいと言うので

私はウィンディーネを信じる事にした。



読んでくださりありがとうございます。

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