表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
第一章 1
15/251

曖昧に誤魔化す


今日はここで野営だと馬車が止められた。


野営ポイントと言うのがあるらしく

同じ様な荷馬車が何台か止まっていて冒険者の姿もあった。


そしてみんなはそれぞれに役割があるようで

バッツさんは馬の世話をし出しギードさんは火を起こし始め

ガラフさんとサマサさんは水を汲みに行くと言って出かけ

レナさんは荷台に積んであったリュックの様なカバンから

あれこれと荷物を取り出し

ここで調理をして食事をすると言って準備を始めた。


調理と言っても保存食と野菜を使ってスープを作るくらいで

やっぱりここでもパンとスープなのだとつくづく思っていた。


私は何をしたら良いのかを聞くと

逆に何が出来ると聞かれ答えられずにいたら

魔力循環の練習に精を出して早く上達しろと励まされた。


本当にこの人達が悪い人で無くて良かった

あの場で出会えてそして声を掛けてくれて

あの時は邪険にして申し訳なかったと今更ながら感謝していた。


この人達に何かお礼が出来るだろうか?

そう言えば魔法書やバックをくれたシスターにも

何のお礼も挨拶もせずに黙って出て来てしまって

この世界でこうして優しくしてくれる人も居るのに

私ってば逃げ出すのに頭が一杯だったとは言え

恩知らずにも程があると少し反省していた。


いつか私が誰かの助けになれる時が来たら

シスターやこの人達に受けた恩を返すつもりで助けよう

私はそう心に誓い周りに気づかれない様に注意を払い

そっと荷馬車に結界を張っておいた。


これで魔物に襲われる危険が少しは減るだろうそう思っていた。


ガラフさんとサマサさんが戻ると夕食になった。


私は助けて頂いたお礼だと手持ちの金貨を出そうとしたら

サマサさんにきっぱりと断られた。


それよりもと魔界の森の話になった。


魔界の森はその名の通り魔物の巣窟で

どの国の聖女でさえも浄化出来ずにいる

瘴気がとても濃い森だと説明された。


その為にどの国にも属していないが

その分とても危険が大きいから

そこへ向かうのは無謀じゃないかと心配してくれた。


そして私が思っているよりもずっと恐ろしい場所だと

みんなで口を揃えて言っていた。


なので私は自分の目で確かめてから判断すると返事をして

魔界の森近くになったら別れる事を改めて念を押した。


すると魔界の森近くまでまだ3日は掛かるから

それまで教えられることは教えてしまいたいと

レナさんが張り切り出し

明日からはスパルタを覚悟しろと言って来た。


そしてサマサさんは

グロシアートとカルザックとサーゲイトを行き来しているから

その辺りの街の商店で聞いてくれれば連絡が付く様にしておくと

何度も念を押しながら用が無くても連絡をくれと言って来た。


なので私も魔界の森をもし諦める事になったら

カルザックに向かうつもりなのでその時はよろしくと言っておいた。


みんなが心配してくれているのが痛いほど伝わった。


魔界の森が本当にそんなに危ない所なら

やっぱりレナさんに教われるだけ教わっておこうと

私も決意を新たにして

その晩は久しぶりに寝袋を出して寝ようとしたら驚かれた。


うっかりしていたと言うか本当に迂闊だった。


等価交換様の事を秘密にしていたのに

寝袋を当然の様に出した事も寝袋と言うその品物の事も

この世界の人には理解が出来ないのを忘れていた。


私は仕方なく召喚者特有の能力だと曖昧に誤魔化したが

当然の様に寝袋は他にも無いのかと

何気に強請られて困ってしまった。


あると言えばあるけれど等価交換様の事は秘密にしておきたいし

これはいったいどうしたら良いかと頭を悩ませた。


そして悩んだが見せてしまった私が悪い

仕方なく有料ですと承諾を取ってから

みんなの分の寝袋を購入して渡した。


当然みんな喜んでいた。


きっと等価交換様の事は感づかれたと思うが仕方ない

ここから先は知らない振りを通すだけだ。


私はもう迂闊な事は絶対にしないと自分に言い聞かせた。



読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ