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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
第一章 1

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出会いは突然に


草原に出てしばらく歩くと人影を見かける様になった。


瘴気が薄いせいか、魔物が少ないせいか

街道を行き来する人たちが多い様だ。


街道を避けて歩いてきたつもりが

いつの間にかまた街道に出てしまいどうし様かと悩んでいると

商隊の様な一行の一人に声を掛けられた。


見晴らしの良い木陰で馬を休ませるため休憩していた様で

他の人達は馬の世話をしたり木陰に座り込んでいる。


「一人なの?」


私に声を掛けて来たのは冒険者風の女の人で

とても自然にフレンドリーに近づいて来ていた。


面倒だなぁと内心で思いながらどう対処しようか悩んでいた。


「女の人が一人だと危ないわよ」


「分かっています」分かってるけど仕方ないんだよ。


「何か事情があるの?」


「ええ」事情はあるよ逃げてんだよ。


「良ければ話を聞くわよ」


「ええ」そう言われたって本当の事は言わないし迷惑だよ。


「もしかして警戒されてる?」


「ええ」してるよ思いっきり、察したなら放っておいてよ。


「大丈夫よ、何なら仲間も紹介するわ」


「先を急ぎますので」だから放っておいてくれって言うのに

そのフレンドリー過ぎる応対にイライラし始めていた。


しつこい程話しかけてくる彼女はまさか追っ手とも思えないが

何の目的があって私にこんなに話しかけるんだ?


警戒感を露わに私が無理やり通り過ぎようと速足に歩き始めると

しつこく追いかけて来て

「何か逃げなくちゃならない理由があるの」と引き下がらない。


私は段々腹が立って来て立ち止まりきっぱりとした態度で言った。


「だとしてあなたに何か関係がありますか?」


すると彼女は平気そうな顔で話始める。


「最近グロシアートが禁断の召喚に手を出したって噂を聞いたわ

でも折角召喚した聖女様には逃げられたらしいの

どうしてなのか理由までは分からないけれど

それで困ったグロシアートは

さらに召喚に手を出そうとして失敗したらしいわ

噂だけれど何人かの重要人物を再起不能にしたとか

王城の一部が吹き飛んだとか色んな噂が飛んでるわ

そして今この国は聖女不在が明らかになってしまって

他の国に頼るしかなくなり

下手したら滅亡の危機だと騒がれてるの

もしかしてあなたがその逃げ出した聖女様じゃない?」


思いの外グロシアート国の現状を知る事ができたが

そんな事まったくもって私には何の関係もない。


忘れかけていた怒りを思い出しざまあみろとしか思えないのに

この人は何を企み私にいったいどんな返事を期待しているんだ?


「違います」自分からそうですなんて言う訳ないじゃん。


「今までもこの国は黒い噂が多かったから

私的には滅亡した方が国民のためになると思うけど

実際そうなると他の国が色めき立って

国の勢力図も変わって来るでしょう

今は瘴気と魔物で大変なのに戦争なんて事になったら

やっぱり困るのは国民ばかりだよね

私は一国民として戦争を止められるなら止めたいなって

そんな風にも思うのだけどあなたはどう思う?」


私にそんな事を聞かせていったいどうしようと言うんだ?

私だって戦争は反対だよ、

でも私はこの国と言うかこの世界に無理やり呼ばれた被害者で

私にはまったく関係のない世界の話だよ。


「だから私には関係ありません、失礼します」


「待って待って、何にしてもその恰好じゃ目立つわよ

明らかに見た事無い服着て手ぶらで街道歩くって

どう考えても普通じゃないからね

一応私の助言だけでも聞いた方が良いと思うわ」

彼女は諦めたのかどうかは知らないがそう言って来た。


迂闊だった、言われるまで考えも及ばなかった。


そうだよねしま〇らブランドのスウェットスーツ来て

武器も荷物も持たずに街道を歩くって他から見たら異様だよね。


「ありがとうございます、気を付けます」


私は一応教えてくれたお礼を言って立ち去ろうとすると


「カルザック方面へ行くのなら協力するわよ」と

そう言って来た。


無視して立ち去る事も考えたが

一応いろいろ情報も貰ったし私の迂闊さも指摘して貰ったし

もう召喚された聖女だとバレているみたいなので

これ以上隠しても仕方ないかと腹をくくり

「魔界の森を目指しているんです」そう答えた。


気を抜いたせいか目的地を話してしまいちょっと後悔した。


「なんでなんで?」と案の定興味津々に聞いて来きた。


そして取り合えず私に不利な事は絶対しないからと約束し

「魔界の森近くまで他の人の目から守ってあげる

情報が商人の武器なんだ」とそう言って

詳しい話を聞かせてくれるだけで良いからと説得された。


そう説得されて冷静に考えてみたら街道沿いの草原

道を逸れても見渡せるこの草原で

ベットで寝る事も出来ないし着替える事も出来ないとなると

匿ってくれると言うのは逆に有難い事かも知れない

そう思い直し彼女の提案を了承する事にした。


「それじゃお願いしても良いですか」


「いいわよ~、これからよろしくね。私はサマサ」

そう言って右手を差し出して来た。


これは握手か?この世界でも握手なのか?

握手なんて元の世界でもあまりした事無いよ

と、少し戸惑いながらその手を握り返した。


「コオです」この世界に来て初めて名乗った名前だった。


サマサさんが苗字を言わなかったので

敢えて私も名前だけ名乗ってみたが

自分の名前を口にすると何だかしっくりした感じがあった。


それは何故かとても不思議な感じだった。


そうして私は『コオ』は商隊の一員の様な振りをして

草原を進む事にしたのだった。



読んでくださりありがとうございます。

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