後少しもう少し
「エドガー、フィリップはクビにしたから
それからお給金として金貨1枚渡した」
私がそうエドガーに報告すると
「そうなんですか少し残念ですね」と残念がっていた。
「マリーさんにも態度が大きかったみたいだし
私を討伐する気満々だったみたいだし
そう思うと使いづらいでしょうお互い」私がそう言うと
「それもそうですね」とエドガーはあっさりとしたものだった。
「それよりさぁ、ロックさんやマッシュの仕事ぶりはどうなの」
私は実際自分で働いている姿を確認していない男たちの事を聞いていた。
「どうなのとは?」そう聞かれ
「いや、私の世界も男女平等なんて言いながら
男の人が大きな顔して女に仕事を教わるのを嫌う人も居たから
こっちの世界は私が思っている以上に嫌がるのかと思って」と言うと
「それはありますね
家柄の良いご家庭の子女はそれなりの仕事に付けますが
それでも家柄が物を言いますし
一般家庭での女の人は家事をする事で精一杯ですし
仕事に出ている女の人も
あまり男の人と関わる仕事はしないかまたは専門職
それか逆に男に関わる仕事かになりますからね
宿泊施設で調理をするとなれば普通は男の仕事です」
エドガーにそう説明されて
マリーさんの昨日一日の事を考えると本当に申し訳なかった。
「私が簡単に考え過ぎたばかりに申し訳ない事をしちゃった」
心からの反省でそう話したが
「それでもココにはココのやり方があっても良いでしょう」
エドガーにそんな風に言われ少しだけ安心し
「慰めてくれているの?」と思わず聞いていた。
「ふふ、そう聞こえますか」そう言うエドガーに
何となく揶揄われている様な気にもなって話をそらした。
「それで今朝もロックさんの姿を見なかったし
ちゃんと仕事してるのか私には判断出来なくて
もしかしたらマリーさんが一人で大変な思いしてるのかなって
そんな風に思ったから聞いてみたんだよ」と話すと
「ああ、そういう事ですか、回りくどいから何かと思いました
それなら大丈夫です、時間をずらしている様ですよ
午後から様子を見に行ってごらんなさい
洗濯やら掃除やらきちんと仕事はこなしていますよ
サボるとローズちゃんに叱られるとぼやいてました」と説明され
私はさもありなんな様子がすぐに目に浮かび笑ってしまった。
「でも前にマリーさんに嫉妬してるって言ってたし
剣術の腕も磨きたいと考えている様だし
宿泊施設の仕事じゃ気に入らないかと思って」
私が抱いていたロックさんへの心配を口にすると
「それは心配いりません
あの立派になった宿泊施設を任されたと喜んでいました
顔を合わせる事があったら褒めると良いでしょう」
エドガーにそう言われ私の心配は吹き飛んだ。
本当にこの人は何処まで優秀なんだろう
私の足りない所なんてレベルじゃなくすべてを見通していて
そしてすべてをそつなくこなしている。
ココにエドガー無しは考えられないというか
エドガーが居るからすべてが廻っているんだとそう思った。
するとノックの音がしてエドガーの執務室にレオが入って来た。
そして私の姿を確認すると
「丁度良い所でお会いしました
簿記はもう覚えましたので次は何を覚えたら良いですか」
そう聞いてきた。
私は暫く何を言っているんだと考えてしまった。
だって簿記って結構覚えるの大変じゃ無いの?
「簿記ってそんなに簡単に覚えられる物なの?」
私は思わず聞いてしまった。
「要領さえ覚えれば簡単ですよ後は慣れですかね」
エドガーがあっさりとそう答えた。
「エドガーに色々教わるのはどうしたの?」
「一日中エドガーさんについて回るだけじゃ勿体ないでしょう
合間に色々と教わりますから大丈夫です」
私はレオが何を言っているのか理解出来なかった。
「私が教えられる事などそうありませんよ
レオは私より優秀ですから経験が勉強になります」
エドガーにそう言われレオの優秀さは理解できたが
そんな物なのかと言う疑問の方が大きかった。
「料理を覚えろと言っていましたよね
教材などあれば頂けませんか
それからしばらくマリーさんの所へ手伝いに行っても良いですか」
私はレオにそう言い出されそんな話をした事を思い出した。
自分がした話も忘れうっかりにも程があったが
レオのそのやる気に驚いていた。
私は等価交換様から調理人に関する教材と
料理のレシピ集を何冊かみつくろって渡した。
「あまり無理はしないでね」私はそう心配して言ったが
「楽しくてやっているから大丈夫です」と言うので
「そう言えばこのオフィスも営業時間を決めようか」
そう提案すると
「そうですね、でも出入りは自由にしておいてください」
そうエドガーに言われてまったく意味のない事を悟った。
そうして私は執務室を退出して素材買取所を開けた。
今日はどんなお客さんが来るのか
そして何がどれくらい売れるのか
このカウンターに座るとそう言う気分が湧いてワクワクして
最近の私は居酒屋の仕事よりこちらの方が気に入っていた。
等価交換様の次のレベルアップ迄多分後もう少し
この素材買取所の利益と居酒屋の利益は
すべて等価交換様に預け入れている。
エドガーに預けた金庫の現金は自販機とコインランドリー
そして温泉施設と宿泊施設で集めた現金だけにした。
それだけでも既にかなりの現金が集まっていて
これから先現金で困る事もそう無いだろう。
等価交換様の転売商法も今の所コンスタントに動いているし
ホントに後少しもう少しで子端末が実現する
そう思うといつも以上にワクワクが止まらずにいた。
読んでくださりありがとうございます。