忙しい一日1
朝ローズちゃんとの約束もあって教会へ出向いた。
ノームにはすでに教会にも壁時計を設置して貰ってあったので
時間の説明はし易かった。
そしてシスターから始まって赤ちゃん以外に
それぞれ年齢に合った腕時計をプレゼントして行った。
みんな初めは物珍しそうにしていたが
使い方や時間の説明などを済ませ腕に嵌めると
実感が沸いたのか一斉に喜び出していた。
「この様な物があるとは知りませんでした
さぞかし貴重で高価なものなのでしょうにありがとうございます」
そうシスターが言うと
「私もとても気に入りましたわお姉様」とセリスが言い
「俺も一生大事にする」とマッシュは感激している様だった。
「レオはどうしたの?」私が聞くと
「エドガー様の所で学ぶことがあると昨日から泊まり込んでます」
と言う返事が返って来て頭を抱えた。
まず改革すべきはエドガーだったとはっきりと認識させられた。
そして大雑把な営業時間とシフトを決めた。
「温泉施設はお昼の12時から夜の9時まで営業します
そしてマッシュは少し早めにお昼10時から仕事に入って
ティナちゃんとマドリーヌちゃんに掃除を教えてください
12時から営業できるように準備するのが
ティナちゃんとマドリーヌちゃん二人の仕事です。
そしてその後休憩をしたら3時くらいまで
お客様の案内を出来る様ならしてください
その仕事はローズちゃんが教えてくれると言ってましたから
きちんと教わってお願いしますね
そしてセリスは昼12時から夜9時まで
温泉施設で仕事してください、売店だけでなく
お客様の案内の仕事や掃除もしてください
そしてマリアちゃんはお昼の12時から夕方6時まで
セリスちゃんを手伝ってください
施設内はいつも清潔で綺麗にを心がけてくださいね
マッシュは他にも自動販売機の補充の仕事や
温泉の温度管理やお客様の安全に気を配って
エドガーから教わった仕事をきっちりしてください
基本は夜7時までの労働と言う事にしておきますが
もし時間超過で働く事があったらきちんと報告してください
その分お給料を出しますので
お給料はひと月に年齢と同じ数の金貨をと考えています
あくまでも目安で考えているだけなので
これからきちんと仕事をしてくれれば上げる事もあるし
もし怠ける様でしたら下げる事もありますからね」
私がそう長々と説明したがみんなきちんと把握出来た様で
「分かりました」と気持ち良い返事をしていた。
「それでは今日からよろしくお願いします」私が改めて挨拶すると
「あのぉ僕は何をしたらいいのでしょう」
12歳のダリルがそうおずおずと尋ねて来る。
「ごめんごめん忘れていた訳じゃ無くて
ダリルには宿泊施設の仕事を手伝って貰おうと思うの
だから宿泊施設でまた説明するから先に行っていて貰える」
私がダリルにそう説明すると
「分かりました」とダリルは宿泊施設へと向かって行った。
そうして説明会を終わらせ次はシスターに関して決めた。
「シスターは子供達の教師として子供達の都合の良い時間に
読み書きや計算など教えてあげてください、お給料は
この教会の維持管理費とは別に金貨15枚を考えています
みんなより少なくなってしまう様にも思ったので
かなり悩んだのですが」私がそう言うと
「いえ、寧ろ貰い過ぎる位で気が引けます」と言ってくれた。
普通教師と言う特別職はもう少し高給なのだろうけれど
家庭教師の延長と考えたら妥当かなとも思ってしまったのだ。
すると「私も何かお仕事がしたいの」と
5歳のレイチェルちゃんが言い出した。
私は悩んだ。
5歳の子のみんなと同じが良いと言う考えと
そのやる気を無碍にするのも子供を潰してしまいそうだし
かと言って営業に携わる事で何かをさせるのは
お守りが必要な気がするのであまり関わらせたくはない。
そう考えてふと思いついた。
「じゃぁ教会のお庭に花壇を作ってくれるかしら
教会から始まってココをお花でいっぱいにしたいの」
私がそう提案すると
「わ~いレイチェル頑張る」と嬉しそうにやる気を見せている。
「私も一緒にお手伝いしますね」
シスターがレイチェルちゃんにそう言うと
「お願いね」とおませな返事をしていて何故か和んでしまった。
そうして庭へ出て花壇作りに必要な物を買い揃え
隅の日陰に纏めて置いているとローズちゃんがやって来た。
「コーちゃん早かったのです」と私の姿を確認して慌てて走って来た。
「今日は聖女修行は大丈夫なの?」私がそう聞くと
「今日はお休みの日なのです」と答えるので
「じゃぁシルフと遊ぶ約束はどうしたの?」さらに問うと
「ティナちゃんとマドリーヌちゃんにお仕事教えながらです」
って、やっぱりシルフのお守りだねなどと思ってしまった。
「ローズちゃんにもプレゼントするね」
そう言って腕時計を渡すととても喜んでくれていた。
「じゃぁローズちゃん今日はよろしくね」
そう言ってから私はみんなに別れを告げ
フィリス師匠の家へと向かおうとすると
「お姉様この腕時計売店で販売いたしましょう」
そうセリス言い出した。
「これこそまだ誰も持っていない貴重で重要な物です
少々高くてもきっと売れます」そう力説している。
もうセリスのそのやる気には驚く事は無かったが
時計が売れると考えつく能力には感嘆していた。
「分かったじゃぁ後で売店の方に行くよ」
私はセリスにそう言って今度こそ師匠の家へと向かった。
私は師匠にもエドガーにもレオにも腕時計をプレゼントした。
そして教会でした営業時間の話やシフトの話をして
そしてエドガーには特に労働時間の話をする事にした。
「大体8時間労働が理想とされているのよ
エドガーにココのすべての管理を任せた私も悪かったけど
人員も増えた事だし仕事をもっと絞って
勤務時間とお給料も決めてしまおう」私がそう言うと
「帳簿付けの仕事は面白いですね
レオも飲み込みが早くて計算も早いのですよ」と
話を逸らして来る。
「そうそう泊りがけで勉強ってやり過ぎじゃない?」
私は思い出してそう聞くと
「専念して早急に覚えろとのご指示かと思いまして」
と言う返事に頭を抱えた。
私にはまったくそんなつもりは無かったが
言われてみればそうとも取れると思い至った。
まして仕事中毒の様なエドガーには尚更そう聞こえたのだろう。
「専念してとは言ったけど早急になんて言ってないよ
仕事をしながらじゃ差し障りがあると思っただけで」
私が説明する様に取り繕う様にそう言うと
「それではその肝心の帳簿を出してください
今までの収支をつけてみたいので」
そう言われもう出来るのかと思いながら
帳簿と電卓を購入して渡した。
エドガーは電卓に興味を示しそして驚いている。
あれ?簿記の教材に電卓入れてなかったっけ?
そう言えば等価交換様には本関係のリクエストしかしなかった
私ってばホントこういううっかりが多すぎる
そう反省しているとエドガーは電卓片手に
みるみるうちに帳簿に数字を書き込んでいる。
「もしかして収入の内訳を覚えているの?」
私は恐る恐るそんな事を聞くと
「当然ではありませんか
紙とペンがあればもっと書き記したい事もあるのですが」
そう言うエドガーに驚きすぎて何も言えなかった。
「必要な物があるなら遠慮なく言ってよ」
私はノートや手帳や筆記用具など色々購入して
「好きなのを好きな様に使って」そう言って渡した。
すると紙自体が貴重で使うのを控えていたのに
手帳などとても貴重で便利な物だと心から喜び
大事に使うと言い出したので
いつでも買い足すから遠慮なく使う様に念を押した。
これはもう事務所も必要だと考えていた。
「他にも必要な物やリクエストがあったら遠慮なく言って」
私がさらに念を押す様に言うと
「僕はこのままエドガーさんに弟子入りしても良いですか」
そうレオが言って来た。
「それは構わないけれどエドガーはどうなの」
私がエドガーに確認するようにそう聞くと
「教え甲斐があって申し分ない弟子です」と答えるので
「それじゃお願いします
でも勉強も仕事の内だから無理しないで
8時間労働をきちんと気にしてね
それからお給料は年の数と同じ枚数の金貨と決めたから
エドガーはそれで何歳になるの?」と念を押してから尋ねた。
「23ですね」
その答えに見た目通りかと思いながら
「じゃぁ金貨23枚かそれじゃ少ない気がするな
エドガーには今まで色々押付けて来たし
その能力でその金額はやっぱり安すぎるな
うん取り合えず先月分として金貨30枚払うね」
私は自分の考えをそのまま話していた。
「いえ、せっかく決めた規定通りで十分です
それよりももっとココの営業を充実させましょう」
そう提案して来た。
エドガーの言う営業を充実させるの意味がイマイチ理解しきれず
かと言ってその詳しい説明を聞く気力も時間も今は無くて
このままエドガーにすべて任せる事にした。
「うん、今まで通りココの管理はすべてお願いします
これからは金庫の管理もやっぱりエドガーに任せるよ
それではこれからもよろしくね」
そう言ってフィリス師匠の家を早々に退出し
宿泊施設へと向かった。
ノームが改装してくれる事になっているし
ロックさん達ともきちんと話し合わなければならない。
まだまだやる事があると足早に歩いていた。
読んでくださりありがとうございます。