告白
リアルが忙しく、投稿頻度がガクッと落ちてしまいましたが、投稿は辞めませんので気長に待っていただけると幸いです。
その後、俺は進級を機会に人との距離感を見直すことにした。
コミュニケーションは最低限にして、クラス全員に話題を振るのをやめた。完全に無口ではなく、こちらから話しかけることをやめたのだ。
必要最低限の会話で済まし、少ない対象ながら相手を理解しようと努力した。
放課後遊びに行くこともなくなり、俺はこの時期にゲームや漫画にハマった。思い出のない日々はあっという間に過ぎていき、気がつくと俺は三年生になっていた。
そして、二つ目の失敗が起きることになる。
一つめの失敗は、俺の経験不足からくる余裕のなさから生まれたものだった。
その罪悪感も三年生なる頃には薄まっていき、恋愛漫画を読んでいたこともあって、恋愛に憧れるようになった。
しかし、口数の減った俺に近寄る女子はいない。社交的な運動部のところに人が集まり、俺は一人で最初の一ヶ月を過ごした。
そんなように昨年と同じような生活を送っていたところで、事態は動き出す。
「ねぇ、なんの本読んでるの?」
一回目の席替えがあった次の日の朝、俺は新たに隣の席になった女の子から声をかけられた。
俺は驚きを隠しつつ、サッと本の表紙を見せる。
俺が読んでいたのは、アニメ化もされた有名なライトノベル。それは一時社会現象を起こし、誰もが知る名作だった。
「これ知ってる!もしかしてラノベ読む人?仲間だね!」
気味悪がられるかという予想と裏腹に、食いついたことにさらに驚く。俺はその時、初めて正面から彼女を顔を見た。
中学生ながら大人びた雰囲気で、背が高くスラッとしている。しかし顔は幼く整っていて、年相応の女の子だと認識する。
俺と目が合うと、彼女は慌てて自己紹介をする。
彼女はテンプレート的に七瀬 花音と名乗り、俺も名前を名乗った。
七瀬さんは兄の影響でアニメや漫画にハマったが、同級生の女の子はみんな興味がなく、仕方なく一人で過ごしているらしい。
「男子はたまに話してるんだけど、さすがにはいりにくいじゃん。だから、話せる相手は兄ちゃんだけだったんだよね」
七瀬さんは苦笑いして、俺の持っている本に目を移す。その流れでラインを交換し、その日の会話は終了した。
それから共通の趣味について語っていくうちに、俺は七瀬さんの人となりを理解した。
普段はクールで大人しい七瀬さんは、実はおっとりとしている天然な女の子だった。直球な言葉をぶつけてきたり、突拍子もない行動をしたりすることがたまにあったが、俺はそこに七瀬さんの素を感じ、逆に好感を持っていた。
それから俺は、再び色鮮やかな日々を送った。
受験勉強のリフレッシュとして二人でカラオケに行ったり、映画を見に行ったり、レジャー施設に行ったり、ショッピングをしたりと、様々な場所を回った。
その日々の中で、俺が彼女に好意を持つことはごく自然なことで、気が付かないうちにそれは恋愛感情へと変わっていった。
俺が自覚したその感情。この時、俺は本当の初恋をしたのだ。
俺はその感情を隠そうとした。もしまたどこかで失敗して、壊れるのが怖かったから。
しかし、クリスマスに二人でイルミネーションを見に行き、バレンタインにはチョコを貰った。そんな中で、俺の中に一つの疑問が生まれたのだ。
(もしかすると、七瀬さんは俺に好意があるのではないか)
2年前は相手の気持ちを理解できなくて失敗したので今回も慎重に考えた。俺と七瀬さんは志望校が違うので、気持ちを伝えるなら三月までが勝負だった。
そして俺は決断した。
(卒業式の日に告白しよう)
残り一ヶ月もないその期間はあっという間に過ぎていき、すぐに卒業式の日が訪れた。
卒業式なんて眼中にないほど緊張し、最後のHRが終わったあと、俺は七瀬さんを呼び出し、気持ちを伝えた。
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『それで、結果は⋯』
途中から相づちも打たずに聞き入っていた咲良さんが、ようやく口を開く。
「⋯断られたよ。友達としてしか見れないって」
断られた数日後、俺は七瀬さんと少し話して、そこで理由を知った。
出会った時は、七瀬さんは俺の事を恋愛対象として見ていたそうだ。ならなぜ恋愛感情に発展しなかったのか。それは
「仲良くなりすぎたんだってさ」
ずっと一緒にいる幼馴染に恋愛感情が湧かないように、仲良くなりすぎるとそれは友情として固められる。そうなれば、もう恋愛対象として見ることは出来ないらしい。
相手を知らないと傷つけてしまい、相手を知り過ぎると恋愛対象として見てもらえない。二つの失敗が組み合わさることで、俺は恋愛を遠ざけるようになった。
ちょうどいい距離感で、自分からは欲を出さない。それが俺の答えで、一種の誓いになった。
「っていうのが俺の過去の話。あの誓いがあったから、咲良さんとも仲良くなれたんだと思う」
『そっか⋯。無理させちゃってたのかな』
「そんなことないよ。もうこっちが普通になっちゃったし」
「本音を言うと、まだ怖い。咲良さんは嘘をつく人じゃないって分かってる。だけど、自分の気持ちを出すのが怖い」
でも、それ以上に
「咲良さんと、もっと仲良くなりたい。色んなところに行きたいし⋯ずっと一緒にいたい」
「っ!それって⋯!」
「俺も、咲良さんのことが好きです。頼りないとは思うけど、こんな俺でよければ付き合ってください」
男らしさなどどこにもない、告白としても返事としても最底辺の言葉だが、咲良さんは涙を流して頷いてくれる。
かくして、俺と咲良さんは付き合うことになった。
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