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拳マン  作者: まん、がか
シーズン2
60/66

拳マン第2部 4話

拳「...」

社「拳君?どうしたんだい?」

拳「聞こえなかったのか?」

エシ「う〜ん。言われてみれば..聞こえた、かな?」

エンシャ「俺も言われてみれば、ぐらいだな。まぁ雑音程度にしか片付けてないが」

鮮明に聞こえたのは俺ぐらいなのか..

拳「..社さん、給湯室行くわ」

シュンッ っと高速で消えるように走り込む。

社「え?ちょっと!?」

エンシャ「んだ?あいつ」

エシ「あんな早く行くなんて、変なの」

社「....」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「あぁ..こないで!」

「うぅあぅぅ!」

ガブッ!っと肉を食い千切る音が響き渡る。

「あぁぁぁ!?..あぅぅぅ」


タッタッタッタッタッ

華麗な足音が聞こえる。

緑川「ふッ!」


ズンッ!

地面を叩き割るように蹴り上げ、宙を舞う。

緑川「はぁ!」


バババババババ!


銃声が鳴り響く。

スタッ バタッ

彼女が地面に着地した瞬間には、2人の人?が倒れ込んだ。

緑川「(訓練を重ねて早2年、かなり動きにもガタが無くなってきた)...この

   人が悲鳴を上げたのか..今回も救えなかった..くッ!」


彼女は下を向き、涙がこぼれ落ちる。

緑川「でも、まずは社さんに報告しなければ...」


タッタッタッタッタッ


先程倒れた人?1人が彼女に向かって走ってくる。

緑川「..ぇ?」

彼女が振り返った時には既に彼女の目と鼻の先の距離だった。

緑川「ヤバッ!?」


ドシッ!


何かにぶつかり、壁にぶっ飛ぶ。


拳「ハァ..ハァ...」

今の気配は間違いない。アイツだ。

緑川「あ、貴方は..拳マン!?」

拳「...誰?」

緑川「前の世界のクラスの緑川よ!緑川風市!」

拳「いや誰ぇ?クラスって言われても、俺ほとんど覚えてねぇし」

ていうかあの街にまだ生き残りいたんやな。

緑川「も〜!なんで覚えてないのよ!」

拳「って言われてもなぁ..」

妙な足音が聞こえる。

「うぅ..あぅぅぅ」

拳「まだくたばってねぇのかよ。まぁいいわ」

ザシュッ!ドンッ!

首を斬り飛ばし、体をぶっ飛ばす。

緑川「..貴方容赦無いわね」

拳「そっちの..そっちの方は大丈夫なのか?」

緑川「私?私なら大丈夫だけど」

拳「違う、お前じゃない」

緑川「どーいう意味よ?」

拳「そいつだ」

俺はもう1人の人?に指を刺す。

緑川「この人は..私が来た頃にはもう遅かった...私がもう数秒早く行けば、

   助けれたかもしれなかったのに...」


拳「違う、そーいうのでもない!そいつは」

緑川が倒した人?が起き上がってくる。

緑川「何よ。ちゃんと言ってちょうだい!」

倒れた人?が緑川に向かって走り出す。緑川はまだ気づいていないようだ。

拳「ッッッッ!?危ない!」

緑川「へッ?」


ドンッ!

俺は彼女を押した。

ビシャァ!

その人?の体の穴という穴から血が噴射した。あの時と同じだ。


拳「ぐわぁ!?痒ゅゅゅゅゅ!?」

体全体に血を被ってしまった。この血マジで体が痒くなる。

緑川「ちょっと!?大丈夫!?」

拳「大丈夫だ...体が痒いだけだ」

緑川「そ、そうなの?」

拳「あぁ、ほんと大丈夫。これぐらいだったら、すぐに治る」

緑川「そう..なら、良かった」

緑川は安堵した表情を見せる。

拳「ここら辺結構荒らしちゃったけど..大丈夫だったか?」

緑川「全然、この位の被害規模なら数日で元通りよ」

拳「ふぇ〜」

数日も掛かるのか。俺が加勢すれば2〜3時間で終わりそうなんやけどな。

緑川「ていうか、あんたのその体は大丈夫なわけ?」

拳「血を払ったらなんとか効果が薄れた気がしたわ..それに」

緑川「それに?」

拳「倒した2人達の事だけど」

緑川「倒した2人がなんなの?」

..やっぱりこの事は話した方が良さそうやな。

拳「..実はな」



「おいおい、待て待て」



この声を聞いた瞬間、俺は背筋を凍らせた。

拳「ブ、ブラット!?」

ブラ「君だけの秘密にしようとしたんだ。密告はやめて欲しいな」

拳「..いやちょっとまって」

あいつどこ?声は聞こえるんだけど、姿が見えない。

直接脳に語りかけてきてる訳でもないし、一体どゆこと?

ブラ「ちゃんと見なさい」

拳「な..」

ブラッドはスライムのような見た目になっていた。

緑川「ッッッ!?」

緑川は咄嗟に銃を構える。

緑川「動いたら撃つ!」

ブラ「待て待て、落ち着け。私は急遽世間話をしにきただけだ」

何故に世間話?

拳「ていうかその体はなんだよ。きめぇな」

ブラ「あ〜、あの時から言っておくべきだったねぇ。私の体は液体だよ」

拳「液体ィ?何言ってんだよ」

ブラ「まぁ、無理もないかな。今の体は人形に入れた私の血を、そのまま利用した

   だけ。つまりほんの僅か血で顕現した姿さ」


拳「人形?..あの人間の事を言ってるんじゃないだろうな?」

怒りで徐々に体が震える。

ブラ「さぁどうだろう?そんな話をしたい訳じゃないんだ。話を遮らないでくれ」

拳「黙れ。俺の話が先だ」

ブラ「..まぁ、5分程度は保てるしいいか」

拳「お前は人をなんだと思って人形と言ったんだ!」

ブラ「..それだけか?」

拳「はっぁ?」

ブラ「そんなくだらない事で、数十秒を無駄にしてしまったのか」

拳「あぁ?」

ブラ「人形の元が人間だから?それがなんと言うんだ、私の血が入りさえすれば

   操り人形、つまり所有物になる。私の物なら何をしたって勝手だろ?」


俺は本格的に殺意が湧いた。

拳「この..この!」

緑川「このクソ野郎!」

バババババ!

緑川が血眼になって銃を乱射する。

緑川「どんな思考回路したら、そんな性根になれる?いくらの犠牲が出たと思っ

   ている!..守りきれずに、目の前で殺られた者達の惨劇を..私は一生

   忘れない」


拳「緑川..」

2年間俺は逃げてるだけの生活をしていただけだから、気持ちはあんま分からんけど、緑川の気持ちは間違いなく俺と同じだ。

ブラ「確かに、私の目的はただ1つなのに、寄り道をして君達に迷惑を掛けたね」

緑川「ッッッ!?どこ!?」

声だけは聞こえる..姿が見えない。

気配が分散している?

いや、瞬きした一瞬で1つに集結した?

場所は..緑川の後ろ!?

拳「ッッッ!緑川ァ!」

緑川「え?」

ベチャァ

肩に生温かい感触が全身を駆け巡る。

緑川「ヒぃ!?」

ブラ「じゃあ、小娘も私のモノ(人形)だ。それで皆と同じだろう?」

拳「ャァァメェェェロォォォォォ!」

目の前でまた人を失ってしまう..この恐怖心に煽られ、俺は久しく怒ってしまった。

拳「離せェェェ!」


ドォォォン!


突如、体から衝撃波が発生した。

拳「ッッッッ!?」

突然の出来事に理解が追いつかなかったが、ただ1つだけ理解してしまった。

拳「緑川!逃げろォォ!」

俺の放った衝撃波はブラッドに向けて放たれる為、必然的にも緑川に影響が及んでしまう。

緑川「え、えっなにが?」

緑川は戸惑っている。

これはもう間に合いそうにない..

あまりにも無慈悲だ。俺には誰かを守る事すらも、儚い夢だったのかな...


ドォォォォン!


放たれた衝撃波により、前の数件の建物をなぎ飛ばしてしまった。

俺は膝から崩れ落ち項垂れた..

拳「もう...ダメだ..ぁぁもう..あァァあぁぁ!」

社「拳君」

傍には社さんが居た。

拳「社..さん?ッッッッ!?』

目にした光景は信じ難いものだ。

社さんは緑川を背負っていた。

社「拳君はもう少し、大人の力も借りなさい。自分の力だけでどうにかなるとか

  思わないでくれ」


拳「い、いや..なんで緑川が...」

社「この2年で私の能力が拡張してね。『バリバリア』を他者に付与出来るよ

  うになったんだ。ただ..うッ!?」


社さんは蹲る。

拳「社さん!?」

社「ふぅ...バリバリアに命中した攻撃は全部私の方に集中するからね...

  痩せ我慢だよ」


どう考えても痩せ我慢じゃ収まらない様態に見えるけど..

拳「あんたがそれで収ませたいんだったら、今はそーいう事にする。じゃあ今は

  緑川だ。緑川は大丈夫なのか?」


社「大丈夫。意識が失ってるだけよだ。もう少しでエシス君が」

タッタッタッ

エシ「社さん!」

社「どうやら..来たようだ」

エンシャ「オメェら、また勝手に行ってんじゃねぇよ!..クソが」

エンシャントはいつも通りの罵声が飛び交う。

拳「はぁ..ふぅぅ...」

なんかどっと疲れが出てしまった。脱力感にも襲われた。

怒りも抜けてきた。

社「拳君、大丈夫なのか?」

拳「あぁ、大丈夫だ。それよりも、あんたの方が心配だ」

社「それはお互い様。だからまずは、一旦休もう」

やっぱこの人は優しいな。

最初は自分を心配するべきだろうに..

こーいう人は普通に仲良くすべき存在だよな。

エシ「では、社さん。緑川隊長を」

社「そうだね。はい、任せたよ」

意識を失っている緑川をエシスに託す。

エシ「承りました。エンシャント、一緒に行こう」

エンシャ「はっ?ちょ、話と違うじゃねぇか!」

エシ「いいでしょ別に。私だけで来るはずだったのに、エンシャントはそもそ

   も来る必要が無かったのに、駄々捏ねて来ちゃったんだから」


エンシャ「だからそれを言うんじゃねぇよ!」

社「あの〜痴話喧嘩は..また後でしてくれないか?」

エシ「はぁ!?社さんこんなのが彼氏とか私は嫌だね〜」

エンシャ「んだとぉ!?性格で彼氏出来ない奴がしゃしゃんじゃねぇよ!」

エシ「なによ!その言い草!」

歩きながら喧嘩してやがる..

拳「仲が良いのやら悪いのやら..」

段々と2人の影が消えかかってきた頃合い。俺達に手を振る動作を見せた。

だが、2人は背後を向くなり、硬直していた。

拳「うん?どした〜?」



ブラ「やはりおかしい」


この一言で理解した。俺達の背後にブラッドが居るのだから。

衝撃波で吹っ飛ばしたはずなのに、また姿を形成して、姿を表した。

けど、前よりも数倍小さい気がする。

俺は咄嗟に社さんを持ち上げ、多少距離を取る。



遠くで見ていた、エシス達は硬直したままだ。

エシ「なにあれ..なにあr」

エンシャントがエシスの口を塞ぐ。

エンシャ「喋るな(遠くからでも分かる。俺達が関与しては被害が更に広がる

     だけだ。存在感を出してはいけねぇ)」




ブラ「その力は感じた事ないな。拳マンよ」

澄んだ目をして、俺を見てくる。

ブラ「それに話せる時間もとても減った。この形も、持って2分だ」

拳「話す事なんかねぇだろ」

ブラ「それがあるんだよ。拳マン」

拳「話す事なんてねぇって言ってんだろ!次喋ってみろ。絶対にぶっ飛ばしてや

  ..る?」


力が入らず、倒れ込んでしまった。

体の全てが抜けてしまったのか..

拳「ぁぁ..ぅぅ」

ブラ「やっと話を聞く気になったか。嬉しいよ。

拳「ち..ちげ..ぇ」

口を動かすだけでも精一杯だ。

ブラ「ッッッ!」

体が崩れ始める。

ブラ「マズイ、手短に話すとしよう」

社「それ、私にも聞かせてくれないか?」

社さん。ダメだ。

忠告しようとしても、口が思うように動かない..

社「拳君、こーいう事はちゃんと言って欲しかったな」

拳「あぅ..ぅぅ」

だからダメだ!聞き入れるな!

社「まぁまぁ、拳君、話ぐらいは聞こうよ。君がかのブラッドかね?」

ブラ「はぁ..そうだとも、私はブラッドだ。貴様はここの主か?」

社「ここでは、一応主として機能している」

淡々とブラッドの目を見て話す。

ブラ「主なら、そっちの方が都合が良い。少々話に付き合え」

社「話?」

拳「だめ..だ」

ブラ「安心しろ。すぐに終わる話だ」

社「なら、早く言いなさい」

ブラ「話は単純だ。近頃、この国に私と人形が襲撃する」

社「人形?」

ブラ「ただし、拳マンをこの国から追放するなら、先程言った脅し文句は撤回しよ

   う」


社「うん?何故に拳君を?」

ブラ「私の目的は拳マンだ。拳マンを追放しろ」

社「拳君に何かを行う気だろう?許可するわけないだろう」

堅い意思で拒絶する。

ブラ「なら、拳マン諸共国を滅ぼす。それでいいな?」

社「そ、それは..」

社さんの口が慎む。

ブラ「何故反発する?許可をしないのだろう?」

社「...」

ブラ「黙るのか?黙秘は愚問だ」

社「決断が出来ない。私も人間でね、不条理な指示には従いたくない所存なんだ」

しっかりとした意思で拒絶する。

ブラ「はぁ..凡夫、いい加減立場を弁えろ」

今までに見た事のない気迫を見せる。

社「ッッッ..」

社さんは恐怖したのか、身構える。

ブラ「ッッ!」

更に体が崩れる。

ブラ「..ここまで形を保ててれば良い方か。選択は与えた。あとは貴様らが

   決断するだけd」


ドォォォォン!


拳「もう..もう喋るな」

地面を抉り取るようなパンチでブラッドを吹き飛ばした。

当たり一面が更地になってしまった..

拳「...ぁぁ」

脱力感に襲われた。

力が抜けたばっかなのに、再度力を入れれば、そりゃそうなるわ。



ダッダッダッ



足音が聞こえる。明らかに大人数の足音だ。

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