拳マン第2部 2話
社「...拳君、あれから2年間、どこで過ごしてたんだ?」
拳「それは....うッ!?」
バタンッ 俺は倒れてしまった。
社「拳君!?」
拳「かッ..アガッ...」
社「回復兵は至急治療を!残りのゾンビの駆除は私が殺る!残りの兵は今すぐに運
べ!」
そうえば...社さんって、こんなに軍隊いたっけ?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
拳「...ぁあ」
目が覚めた。俺は天井を見上げている。この居心地、ベッドか?
社「やっと起きたね」
社さんが隣に座っていた。
拳「..社さん..ッッッ!」
ベッドから立ち上がり、すぐに逃げようとするが、
パシッ 腕を掴まれる。
社「..座りなさい」
拳「いや、でも」
社「いいから!座わりなさい..」
拳「ッッッ!?...」
言われるがまま、再びベッドに座る。
拳「ここは、どこだ」
社「...ここは神田王国だよ」
拳「神田王国?..あぁ、神田さんの国か」
思い出したわ。
拳「...何で助けた?」
社「そりゃ、倒れてる人を救助するのは当たり前の話だろ?」
拳「意識失う前は、なんか凄い焦ったようにも感じたぞ」
社「ッッ、まぁ今回は少し違う感情で助けたがね。拳君よ」
社さんから静かな怒りを感じる。
拳「..そうだよね、2年間も姿消して」
社「あぁ、そうだとも。かなり苦労したからね。この国の事も」
拳「国?」
社さんは悲しんだ声でこう告げる。
社「君は分かってないのかもしれないけど、神田君はあの戦いから帰ってきてない
んだ。碗玖君も木口君も...予想は出来てるけど」
拳「神田さんと碗玖達が!?」
社「そうだとも」
俺はやっと今の状況に気づいた。
拳「えっ、じゃあこの国をまとめてるのは」
社「紛れもない、私だ」
拳「...いつ決まったんだ?」
社「あの戦い前に、神田君と少々話し合いをしただろ?あの時だ」
拳「あの時?そんな事してたか?」
普通に覚えてねぇ。そもそもそれ自体が多分2年前だからなんのこっちゃ。
拳「..絶対苦労しただろ」
社「苦労も何も、非難の嵐だったよ...」
その時を思い出したのか、ゲッソリとした顔になる。
拳「そ、それは..お気の毒に」
社「特にキュウミ君やフィーダ君?この2人には手間が焼きに焼いたよ。ここ最近
ではようやく信頼を獲得したぐらい」
拳「誰だかは忘れたけど、でもまぁそうなるわな。王が急に失踪して、そして王の
代わりが知らん奴になったら、そりゃあね」
社「マジでやめてくれ...トラウマが」
拳「図星かよ」
社「も、もうこの話はやめよう..思い出したくもない」
拳「へいへーい」
深堀はあんまりやらない方が良いな。野暮だから。
社「こんな話をしたい訳じゃないのに..本当に話したかったのは」
拳「久しぶりに人と対話した相手が、社さんで良かった。それでは」
スッ と立ち上がり、スタスタと歩く。
社「えっ?ちょ拳君?」
拳「ありがとうございました。大分回復しましたよ〜」
社「いやいやいやいや、何逃げる気でいるの?」
逃げる?何言ってんだよ。
拳「逃げるわけねぇだろ...社さん達とはいれないんだよ」
社「なんで私達から逃げるんだ!」
拳「だから!逃げてる訳じゃねぇよ..理解してくれ」
社「君の言っている事が理解出来ない」
拳「俺は社さん達とは違うんだよ!生きてる道も思いも人種も...全部、全部が
違うんだよ!」
俺はお前達とは違うんだ。絶対に。
社「私はそうは思わないね」
拳「..別に救われねぇぞ?」
社「救いたくて言った一言じゃないよ。君自身の解釈で変わる一言だよ」
俺の..解釈?
拳「どーいう意図で言ったのかは知らんけど、俺は何も響かんぞ」
社「今は..ね」
拳「...話が成り立たないなら、俺は行くぞ」
そう言いながら、俺はベッドから立ち上がる。
社「行かせないよ?」
拳「行かせないも何も、俺は行くぞ?」
社「...力ずくで抑えると言ったら?」
出来もしねぇのに、
拳「力ずくでって、よく言えたもんだな」
シュンッ 背後に回り込む。
社「ッッッ!『光拳』」
シュッ ドシッ!
社「..カハッ」
バタッ 社さんが倒れる。
拳「気絶程度の攻撃だ。死にはしないよ..まぁもう気絶してるだろうけど」
一刻も早くここから逃げねぇとな。
窓から飛び降りた方が早そうだな。俺は窓から降りようとした。
社「...ッッッ!エキス君!エンシャント君!」
拳「うん?」
廊下側のすぐ近くに気配を感じる。
エシ「フッ!」
パシッ!矢を勢いよくキャッチする。
拳「あぶッ!?」
勢いが良すぎた。少し刺さったな。
タッタッタッタッ 木刀を持っている奴が走ってくる。
エンシャ「オラァ!」
カンッカンカン! 手刀で対処する。
エンシャ「ウラァ!オラァ!」
奴の猛攻が続く。変わらず手刀でいなす。
エンシャ「ぁあクソが!(んで手刀でいなせんだよぉ!おかしいだろぉ!)」
拳「...」
なんでキレてんの..
ある程度の剣術は身に付けるようだけど、手刀でいなすのが木刀で良かった。
カァァン! 木刀を弾き飛ばす。
エンシャ「なッ!?」
拳「はいおしま..い?」
突如、体がよろける。
拳「なんだ..なんだよ、これ」
理解が出来ないまま、跪いてしまう。
エシ「きた!エンシャント!」
エンシャ「効果来るの遅すぎるんだよ!」
奴が俺の体に乗っかって来る。
拳「うッ!どけぇぇ..」
俺は必死に振り払う。
エンシャ「お、おい暴れるな!クソが!(このままじゃ振り払われる!?)」
いくら、体の融通が効かないとは言え、人1人ぐらいじゃ俺は抑えれないぞ
タッタッタッタッ
エシ「えいッ!」
更にもう1人が抑え込んでくる。
拳「ウラァァァ!」
エシ「ッッッ!?(嘘...)」
だが結果は変わらない。絶対にだ。
拳「ハァッ!」
2人を振り払った。それも勢い良く。
ドンッ! ドンッ! 2人は壁に激突する。
エシ「あッ!?」
エンシャ「グオォ!?」
拳「ハァ..ハァ...ぅぅ」
眠気は治るどころか、どんどん進行する。
拳「..早く、早くここから離れなければ..」
そう思ったのもお束の間。
エン「全ての源は収束され、圧縮され、やがて源は堕ちる」
背後から、詠唱のようなのを唱える声が聞こえる。
エン「『ペタン』!」
拳「ッッッッ!?」
ドシッ!!!
重力が、俺の体を押し潰した。
拳「ぐッ!ウグォォォ!」
今の俺には、良いリハビリかもな。
エン「ハァァァァ!」
ドシャァァン!
彼女の重力魔法は、この部屋から下の階の階の部屋まで抜け落ちた。
拳「ぐはッ!?」
今の俺でも...まだ、いける。
拳「いけ!ぁッ」
眠気が...また....ぁぁ....
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
拳「...ぁあ」
どれぐらいの時間が、経った?
エシ「ふっふ〜ん♪」
横には、俺に吹き矢を飛ばした奴がいる。鼻歌を歌いながら作業をしている。
エシ「ふ〜ん♪」
こいつ、気付いてないのか?
拳「お、おい」
エシ「ふふんふ〜..えっ?えっえっえっ?」
そいつは、とても驚いたような顔つきで、俺を見た。
エシ「な、なんでそんなに目覚めるのが早いの?」
拳「ふぇ?どゆこと?」
エシ「あの吹き矢は、私の2年をかけて制作した『麻酔睡眠薬』少しでも刺され ば、一般人なら3ヶ月は目を覚めないのに..」
え、もしかして俺も3ヶ月も眠ってたのか?
エシ「どうして、20分で目覚めれるの?」
拳「ふぇ?」
に、にじゅぷん?
エシ「(ていうか、拳マンが起きたらまずい!?)また逃げられる!」
吹き矢を構える。
拳「...」
エシ「...逃げないの?」
拳「逃げるわけじゃねぇけど..もう逃げねぇよ」
逃げようとしたって、逃してくれねぇんだから。
拳「お前らはどうしてもここに居させたいようだからな。だから、もう逃げない」
エシ「本当?」
これは事実だ。事実だけど、
拳「社さんの言動、行動次第だ。不審な事をしたら、すぐに逃げる」
エシ「...どうしてそこまで、人を信用しないの?」
拳「..信用じゃない。不信だ」
スタスタスタ 誰かが歩いてくる。
社「ただい..起きるの早くないか?」
エシ「そうなんですよ〜。でも、安心してください。もう抵抗しませんよ!って言
ってます」
拳「そんな潔くは言ってねぇよ」
まぁ、これからをまた共にする関係だ。この事は話した方がいい。
拳「ブラッドの事は知っているのか?」
とりま、お互い知ってる情報を話すか。ブラッドの事を知らんはずはないやろ」
社「ブラッド?何の事だね?」
拳「ふぇ?」
なんとも予想外か一言に俺は言葉を失う。
エンシャ「そのブラッドっと言う者が全ての原因なのか?」
エシ「あ、エンシャントおかえり」
拳「...」
..話すだけ話すか。




