黒い魔石
あれから大体2年がたった。
その2年間はとても幸せな時間だった。
そう。今日までは。
今日は何と~...
クリスの誕生日なのである!
あぁ~!楽しみだな~!
そうだ!誕生日会の時に私の剣術を見せてあげよう!
きっとかぁさんびっくりするだろうな~。
楽しみ!
ふんふふーん♪
「......」
あれ?かぁさんが外にいるな。どこに行くんだろう?
ん?あれはなんだ?
バスケットがある。それになんだろう。あれ。
よし。
すぅーはぁー!
『視力増長!』
「あれは?えーと魔石かな?でも色は黒いな。」
「黒い、魔石?」
その瞬間、私は走り出していた。
『脚力上昇!』
『素早さ上昇!』
『ピオラブースト!』
思い出した。思い出したんだ!
今日、かぁさんは死ぬことを。
あぁ。何で思い出せなかったんだろう。
これだけ重要なことなのに。
今日、かぁさんはーーによって殺されるんだ。
間に合わない!
ーー程度なら私でも倒せる。倒せるけど!
蘇生魔術は使えない。
もう死んだ人は生き返らせないんだ......
急げ!
急げ!
お願い。神様。女神!
一生の神様へのお願い!
間に合って!
~普通、馬車が進むのと、人間が進むのは、どちらの方が早いと思う?
答えは馬車だ。
でもその人間に足が速くなる魔法がかかっていたとしたら?
全速力で走っていたとしたら?
きっと僅かだが人間の方が速いだろう。
だったら、人間の方が僅かだが早く着くだろう。
でも、馬車の方が先に出発していたとしたら?
間に合うわけない。
それでも、間に合わないと分かっていても、走る姿は醜いだろうか?
いや違う。それこそが人間の魅力なのだ。
だからじっくりとみるとしよう彼女が彼女の夢を叶えるまで~
「ッ!」
誰も。いなかった。
全速力で走ったのに。
いなかった。
残されていたのは、輝く黒い魔石だけだった。




