疲労回復のために休息を指示……赤子の世話は誰がやる?
昼夜を問わぬ進行により目標地点まで残り半分まで到達、しかしリザの疲労蓄積が著しく休息が必要と判断。
『……ご、ごめんなさい』
周囲を見渡せる川原にて植物素材のベッドを提供、リザに休息を指示しこれを了承させる。
赤子の起床及び泣き声を確認しドマ及びアイに赤子の保育を求めるも赤子がこれを拒絶、私自ら保育を試みる。
生態スキャンを駆使し空腹を改善すべくミルクの経口摂取を進めるも拒絶、リザの音声を合成音声にて模倣し子守唄を発声するも失敗。
リザに救助を要請……既に睡眠状態に移行しておりこれを断念。
『……高い高いとかしてみたらどうだ?』
詳細不明、ドマから情報を収集して高い高いなる行為のやり方を学ぶ……私はそんなことされた覚えはないな
肉体の耐久性を鑑みて先にアイに試すことで加減の調整を行う。
『……あはは、高い高い~』
飛行による超高度を経験済みのアイに効果的であることから赤子にも効果が及ぶと推察、試行を開始する。
鳴き声の一時的な緩和が発生するが即座に元の音量へ戻る、再度高い高いをしてみると同様の結果が発生する。
高速で連続上下することで効果の重複を狙うものの逆効果を発揮し泣き声の音量が向上傾向を見せる。
ウサギ型の魔獣が襲撃、腕の高周波ブレードを射出してこれを撃退しブレードを回収の後に魔獣を食料物資へ解体し保存する。
赤子の鳴き声を緩和すべく新たな情報の開示を求めるも、アイもドマも沈黙を保つ。
蛾に酷似した魔獣が襲撃、指先より熱線を放射し撃退に成功するも可食部分及び生態部品として使用価値を見出せず回収の必要性は無し。
赤子の口に哺乳瓶を設置し鳴き声の緩和を図るもこれを放置し鳴き声の音量がさらなる向上を見せる。
アイもドマも聴覚機能の保護に移る程の音量だがリザが覚醒する気配は無し。
リザに生態スキャンを行う、睡眠により疲労回復が順調に進んでいることを把握する。
赤子に疲労傾向が見られるものの鳴き声は止まず、原因の追究が急がれる。
熱源スキャンにより下半身の衣類に汚染物質を確認、これを除去し赤子の身体を清掃の後に清潔なる衣服の着用を行う。
……私がオムツを交換する日が来るとは、あいつらが見たら何といっただろうか
赤子が哺乳瓶に関心を示す、これを口元に設置することで経口摂取を確認する。
赤子が疲労から睡眠状態に移行する、生態スキャンにより体調にも異常無しと判断。
『……ほのかって、ウンチとか平気なんだね……意外と赤ちゃん好きなの?』
アイの言葉に否定の意志を表明する、生体兵器の一種である私に好意も嫌悪も存在しない……してはいけない。
『……凄く優しい手つきに見えたぞ』
ドマの発言に対し訂正を行う、肉体的耐久性の低さを顧みて加減を調整した結果だと伝達。
『『……へー』』
二人の発生する音声から理解の兆候は見られず、更なる訂正を行うべきか熟考。
ダンゴムシに酷似した魔獣の襲撃を受ける、音源になりえない熱線放射にて駆除し食料物資へと解体し保存する。
魔獣の発生に対する疑問の浮上、魔王による指揮下にて活動中の時期と比較しても異常と思われるほどの繁殖率。
また現状において魔族による高度な社会文明の発見に至らず、得られた情報からも原始的な生活形式の群れが存在することのみ判明。
人類文明の崩壊後、世界がどのようなプロセスを経て現状に至ったのか情報が不足しており考察不可と判断。
早々に成熟個体と接触して世界情勢への理解を深める必要がある、その後は生体兵器として命令を受領可能な立場への転身が望まれる。
……魔族しかいない世界で、あいつらと投降することを拒絶しておいて今更配下に納まるつもりなのか私は?
思考にエラー及び胸部に異常発生、原因は不明瞭でありこれを避けるべく思考を打ち切り当面の課題に集中する。
『……お、おはようございます』
リザの覚醒を確認、生態スキャンにて疲労の80%が解消されていると判断し四人を抱え帰投ルートの進行を再開する。
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