戦闘要求承認……戦闘を開始する
『……は、は……はははははははははっ!! ああ夢のようだっ!! 夢の国、冗談で付けたこの名前がまさか実現するとはっ!! 唾棄すべき生より栄光の滅びが今ここにっ!! あははははははははっ!!』
狂気じみた発声による歓喜の表現、アイとの物理的接触を解除しリキに保護を一任……そんな顔をするな二人とも。
『……ほのかぁっ!?』『……ほ、ほのかっ!?』
遠距離通信も打ち切り飛行移動を開始、目標地点は……地上10km、雲と同等の高さ。
全速飛行を行うもチスイはこれに追随し到着と同時に攻撃が開始される。
敵は扇子型の武装にエネルギーを注入して振動、魔力を旋風に形成させ当方へ向けて放出しこれが高速接近。
頭部、腕部、脚部、それぞれから銃口を展開しての銃撃及び胸部より砲撃を行い旋風を迎撃。
同時に両肘と両膝より追尾ミサイルを連続発射、本体への攻撃を行う。
砲弾が旋風に飲まれ銃撃によって誘発し内部での爆発が頻発するが勢力を弱めながらも接近は止まらず。
誘導ミサイルがチスイ本体に全弾命中を確認、腕を払う仕草で爆風が消失し本体に目立ったダメージは見られず。
両腕の銃口を収め高周波ブレードを展開、旋風内に充満する爆風にあえて突入……装甲の軋みを感知するも損耗率5%。
自動修復の範囲内にてこれを放置、煙に隠れながら各種センサーを利用して敵の位置を把握し誘導ミサイルでの攻撃を続行。
誘導ミサイルの着弾予想に合わせて右腕の高周波ブレードを射出、二重の爆風が煙幕となりブレードの直撃を確……左腕を犠牲にこれを防がれる。
魔力を込めた咆哮により無数の蝙蝠に酷似した飛翔体を発射、魔法の旋風から離脱しつつ頭部と脚部からの砲撃で迎撃を開始。
物量にて銃撃での迎撃が間に合わず、胸部の砲撃とミサイル攻撃も防衛に当ててこれを防ぐも敵影の消失を確認。
チスイの反応を正面から検知、飛翔体の迎撃によって発生した爆風に紛れての突貫……真似されたかっ!?
受け止めた高周波ブレードに装備を持ち替えて魔力で強引に始動しての攻撃、こちらも左腕の高周波ブレードでの防衛を行う。
敵は至近距離から口を開き今度は超音波による攻撃、いつかの蝙蝠型魔獣より遥かに強力……装甲の消耗率20%、問題ない。
相手の身体へ自由な片手を伸ばし分子振動波を用いて内部器官の破損を目論む、攻撃を受けてチスイが吐血し超音波が停止。
更なる追撃をと胸部の砲撃及び頭部、脚部より銃撃を行い直撃を確認。
力が弱まるチスイを押し切るべく左腕の推進装置を起動して高周波ブレードの勢いを強める。
魔力で強化された敵の脚部から蹴りによる衝撃が発生、強引に距離が離されるものの相手のダメージは健在……押し切れっ!?
後ろから魔力反応、初期に放たれた暴風が形状を変えて風の刃となって襲撃……接近戦の最中に仕込んだ模様。
背面装甲より銃口を展開し攻撃するも影響薄く装甲に直撃、装甲の消耗率さらに10%上昇。
風の刃が四方より最接近、これを両膝及び両肘よりのミサイル攻撃を迎撃し爆風にてようやく消失を確認。
生体スキャンによりチスイの体調の復元を感知、こちらも被害状況を確認……自己修復機能により消耗率0%。
……キリがないな、アレを使うしかないか
腹部の武装を開放しエネルギー照射装置の安全装置を解除、充填に必要な1分間の各種機能低下の通達を了承。
自己修復機能低下、銃撃の効率20%低下、ミサイル生成不可能、分子振動波使用不可能……僅かな間だが相変わらずデメリットがデカい。
チスイの猛攻開始、こちらの変化を探知した模様……ただ逃走ではないということは、もうこいつは……
遠距離から超音波による衝撃発生、装甲に影響はないものの推進装置がかき乱され移動力大幅低下。
敵は片手に高周波ブレード、片手に扇子状の装備を構え超音波を発しつつの攻撃……回避は不可能。
高周波ブレードを先ほどと同じく高周波ブレードで受け止め、もう一つの武器は右手で受け止めるも内部に魔力注入を確認……まずいっ!!
魔力の暴発により右腕の上腕より下部分が消失、治療不可能状態にて出血を確認。
追撃発生、心臓を狙った一撃を防ぐべく左腕の高周波ブレードをあえて収納し拳でもって顔面を強打し体勢を崩させることに成功。
ただし自由になった敵の高周波ブレードは腰に被弾し股関節まで切断、左脚を消失する。
顔面を強打したことで超音波が弱まり機動力が復活、正面から懐に飛び込み……チャージの終わった腹部からエネルギー波を零距離放出。
『……っっっっ!!!!』
直撃を受けたチスイの胴体部……いやエネルギー波から免れた頭部を除いてチスイの身体の完全消失を確認。
断末魔は判別不能、しかし表情から判断するに……満足したんだな、本当に嬉しそうな顔を残して
腹部より発するエネルギー波の威力も範囲も何よりチャージに掛かる短さもチスイにとって既知の事項である。
その前に仕留めるなど愚策に過ぎず逃走による立て直しが一番の選択、理解していないはずがない……が戦いを辞めれなかったのだろう
……全くそんな顔で死なれて、納得できるか
自己修復機能によっても不足部分の復元には時間を有する、魔術的接触による回復が何よりの優先事項……だから先にチスイの頭へと手を伸ばし回復を行う。
『……な、何故っ!?』
発声可能状態まで回復したチスイから疑問が表明される、これに対し論理的回答による通達を行う。
『……暴力こそが全て、私に敗北した以上はその理屈に従い支配下に収まり命令に服従するよう命令する』
理解が得られずチスイが再度疑問を表明する……やはり私には交渉役が必要だな
致命傷のみ癒したチスイを同行し、自らの欠損を治しながら帰投……交渉役であるアイの元へ。
物理的接触を図るアイに事情を説明し、チスイへの交渉を一任する。
『……何が嫌なのっ!? 負けたんだから言うこと聞きなさいっ!!』
身も蓋もないアイの交渉術にチスイは成す術を持たず、最終的にこれを了承する……本当に、大したものだ
リキによるアイへの称賛が発生し称号が姐さんから姐御に変化……子供に従事する四天王か
……確かにチスイが言っていた通りだ、こんな光景をあいつらに見せてやりたい……私が言えた義理ではないが
『……少し残念です、ほのか様は血も涙もない完璧な兵器だと思っていましたから……当時を知る四天王の一人としてはこの寛大な処置には正直失望を禁じえませんね』
チスイの誤解を訂正する、寛大な処置では無く冷酷な処置であると通達……あんなに簡単に死なれてたまるか。
酷使し尽くした果てには物理的処分を行う旨を通達、今後を思えばチスイの能力を利用しない選択肢はないとの判断を説明……感情によって行動が左右されないことを合わせて伝達する。
『……はは、つまりまた戦っていただけるということですね。やはり優しさを感じる、今のほのか様は嘗ての戦神姫とは別人なのですな……かつての四天王として失望を感じますが、今を生きる四天王としてはこれもまた魅力的に感じてしまいますね……惚れ直しそうです』
チスイの発言の真意を問う……惚れ直すとは何事かっ!?
『……先ほど顔見せしたときに伝えたじゃありませんか、暴力が主体であった我々にとって貴方の強さ気高さは憧れの君であったのだと……正直なところ占領もしくは投降後は誰があなたを妻に迎えるかの論争が発生していたぐらいで……』
……あの時投降を選ばなかった自分を一瞬褒めたたえたくなってしまった、いやこれを知っていたらあいつは反発しただろうか?
脱力を感知、精神的負担からくる疲労と判明……やはり感情は不要であると結論を出す。
『……アイったらモテモテぇ……競争率高いよぉ……』
アイの発言に疑問を表明する……ことに危険を感じこれを、いや一連の流れを記憶より抹消することを決意する……勘弁してくれ
遠距離通信の要求が連続して発生、基地内部の従業員の士気を鑑みて応答すべきと判断する……が面倒ごとの発生確率100%のためしばしこれを保留にする。
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