新目標地点に向けて出発を開始する……もうトラブルはごめんだ
防衛設備のオートタレットを再検証したところ魔族まで撃ち落としかねないと判明……元々魔王軍退治用だから当然だが見落としていた。
基地内の全員に認証タグを配布、これによりオートタレットは味方と認識。
……味方、彼らは味方なのか?
情報収集を終えた今、基地内の人員としての採用以外に彼らを生存させ物資を融資する理由はない……私はもう部下は持ちたくないが
遠隔操作タレットを設置、これを基地内より操作可能状態としてドマを射撃手として任命し指導。
『……こ、これ凄すぎないか?』
ドマは外部観測用モニターを用いての射撃の威力に驚愕、緊急時以外の使用を禁じその命令権はギリにある旨の通達。
多少の抵抗が発生するも最終的にこれを承認、ギリに自らの役職の重要性があがった旨と共に失態の責任は連動する事実を通達。
『……任せてください、それでそのーーって人については』
質問に回答する必要性はなくこれを拒絶、リザに対し赤子の保育を兼ねて医療班としての役を認定し医務室及び薬剤の使用法を伝達。
医療知識の不足のため機械のサポートが必須、頭部装甲内のデータを流用し端末の言語を魔族言葉に翻訳し操作法を説明。
なお頭部装甲には直接装着者の脳内に知識を刷り込む機能があることは発覚、誤操作による常軌を逸脱した思想に侵されぬよう注意が必要と思われる……こんなことは聞いていない、というか全ての装備は実戦で初めて動かし方を覚えたからな
『……この機械に書いてある通りに操作すればいいんですね?』
生態スキャンと薬剤の生成機能の連動に成功、検出した症例に対する必要物資が自動での生産が可能になる。
リサにはギリの負担の軽減を兼ねて館内放送及び通信手の役を任命、通信手段の操作方法を説明。
非常時における連絡方法も開示し、実際に相互間の連絡可能状態が維持できてることを確認。
カナとミリには生活必需品の生産を過剰に行い全ての保管庫の満載状態を保つよう通達、飛行要塞完成時に必要となる物資の蓄えだがこれは機密事項とする。
飛行要塞の完成には時間が必要なれど資材は充足完了、後は自動生成による製造によって帰還時には完成している見通しである。
解析を行っていたエネルギー変換装置を組み込むことで半永久的な飛行が可能になるとの推論を立てる。
これも機密事項故に施設より離れた場所に位置する飛行艇の収納庫を施錠の上で内部にて製造中……軍船だから下手に弄られたら大変なことになる。
最後にアイに交渉役を打ち切る通達及び新たな役職を任命するべく自室を尋ねる。
『……ねえほのかは寂しくない?』
アイの言論に疑問を提示する、返答から同種族が皆無である状況に精神的不安定状態に陥っている模様。
自身は生体兵器である旨を伝え感情とは無縁である事実を開示するも信用を得られず……嘘ではない、あの日までは私は確かに機械そのものだったはずだ
更なる発言を精査した結果、アイの群れは魔獣に襲われて殲滅の危機に際しており私が到着する数日前に完全消滅したと判断される。
『……みんないい人だけど、やっぱり仲間が欲しいよぉ』
両親にあの場所に隠されて唯一生き残った個体として種族繁栄が不可能である事実がのしかかっているものと推察。
……人類文明の全滅を確認した際の私が感じた感情と類似傾向にあるのか?
生態スキャンで読み取れることはデータ情報のみ、詳細なる感情の色は判別不可能。
『……本当はほのかは私の仲間なんじゃないかなって思ったけど違ったもんね』
頭部装甲の解除に執着を見せた理由が判明、思考と胸部に異常発生……ああ、あいつも人類が残り少ないと嘆いていたな
精神状況の乱れを抑制すべく薬剤の投入……ではなく、対症療法では非効率と判断し原因の排除を行う。
即ち複数回この症状を引き起こす元凶となっているアイを処分……ではなく、改善を行うのが最善であると判断を下す。
『……話が終了次第、出立の支度を行うことを命じる』
アイが疑問を表明したため、改めて交渉役としての同行を命じる……このまま残しても別の種族同士のコミュニティを見て状態が悪化する可能性が高い。
『……一緒に行っていいのっ!!』
同行命令であることを改めて通達、正式な理由なくしての却下は承認されない。
精神的改善に成功、前回の旅路で判明した欠点を補うアイ専用装備の開発を行いこれを受領させ装着を確認。
自らの腹部に装着し密着状態を維持し、腹部の装備に使用するエネルギーをアイの装備に伝達
……魔獣相手にあんな武装を使う理由はないからな
エネルギーフィールド発生装置の起動部品とすることに成功、これによりあらゆる衝撃から守られると推測。
『……じゃあ皆行ってくるねっ!!』
リアとドマからの同行要求が再発したが、夢の国を発見した場合連絡を入れ次回以降の移動には必ず伴う旨を伝え納得を得る。
エネルギーフィールドを展開しアイを保護、飛行移動を開始し即座に最高速度100%、高度を地上5000mまで上昇。
アイの発言及び生態スキャンにより異常が発生していないことを確認、クジラ型の巨大飛行生物を検知するもこれを振り切る。
怪鳥型の魔獣群の襲撃、全身の武装を展開し熱線及び銃撃による迎撃により殲滅。
アイに異常は見られず、航行は非常に順調なり
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