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「…ごめん……っ。カイト……もう限界みたい……」
「え、あ、おいっ!!
ミサッ……!?」
「ミサっ……!?」
二人の切羽詰まった声が重なる。
ミサが床に手をついた瞬間に、俺のジャンボシャボン玉にピキッと嫌な音が響く。
シャボン玉に入った日々は、見る余裕すらなく大きくなって行った。
「うわぁぁぁぁああああ!!!」
「カイトォォォオオオ!!!」
「カイト!!」
わずか一瞬のうちにシャボン玉がガラスのように砕け散る。
ミサとネロの焦ったような顔が目に入ったかと思うと、俺は真っ逆さまに落ちて行く。
「……ミサ……ネロ……」
これは二人を巻き込んだ罰なのか。
死を覚悟して目を瞑ったその時、
「カイトォォォオオオ!!!」
ミサの声とエンジンの音が豪快に聞こえてきた。
「あんたっ……諦めるんじゃないわよっ!!
手を伸ばしてっ!!」
彼女に言われるがまま、手を伸ばす。
ミサはまだ頭が痛いのか、ボードの床に張り付いていた。
二人の手が重なったその時、
ホバードボードのマフラーから空気の抜けたような嫌な音を立てた。
「!? なんだ!?」
「うそっ!?
ね、燃料が切れかかってる!? こんな時に!?」
俺とミサの声が重なる。