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その瞬間。
球は綺麗な放物線を描き水溜りに落ちると、強烈な青白い電撃が魔物たちを巻き込んで襲い始める。
「うっ」
あまりの眩い光に顔を手で覆うと片目を瞑る。
かろうじてネロの方を見ると、彼の黒いジャケットと帽子に光が反射している。
敵は水溜りの上で咆哮をあげながら、身体を黒焦げにし、やがて黒煙をあげ絶命した。
横に倒れて行く様が目に入る。
電撃を食らわなかったものたちは、一瞬何が起こったの理解できずに、首を傾げてお互いの顔を見合わせる。
きっと俺も似たような顔をしていると思う。
どれくらい経っただろうか。
時間にして数秒ほど経った頃に、足を動かし始める。
その動作にまさか襲ってくんじゃないかと思った俺は身構えたが、魔物らは仲間の死体を見つめると悲しげな顔をして、森の暗闇えと消え去った。
しばらく二人で暗闇を見続けて、数秒。
もう流石に居なくなっただろうと思うと急に安心して脱力感がきた。
俺は振り返ってネロの肩に手を置く。
「……なんとかなったな。
アレもお前の親父の発明品か?」
さっきまでの恐怖を消すように、おちゃらけたように親指を突き出す。
ネロの父親代りである叔父は、俺たちの国【ゾット帝国】騎士団の科学者だ。
よく変な物を発明しては騎士団と親衛隊の役に立っている。
ちなみにネロは本当の父親のように慕って親父と呼んでいるので、俺もそう言っている。
「ああ」
表情ひとつ変えずにネロはそう言う。
ーーーその時、
暗闇から先ほどの魔物が飛び出して来た。
「!?」
慌てて剣に手を掛ける。
こいつら、諦めたんじゃなかったのかよっ……!!