13
『父さんたち、何してるの?』
俺は今よりももっと小さな頃の記憶の中にいた。
小さな自分は父親たちの書斎に入って、何やら難しい本を読んで研究をしているみんなに声をかける。
『カイト、父さんたちはね。
この世界の秘密について研究をしているんだよ』
父親が優しげに自分の頭を撫でてくれる。
思わず気持ちよくなり目を細めると、父さんも笑ってくれた。
父さんと母さんと爺ちゃんは、ゾット帝国騎士団の研究員だ。
俺もいつかはこの国のために、騎士団の研究員になりたかった。
『この世界の秘密?』
『そうじゃ。この世界にはおかしなことがたくさんある。
それにこの国の王にも』
『ふ〜ん。そうなんだ』
今度は爺ちゃんが答えてくれたけど、よくわからない俺はとりあえず相槌を打つくらいしかできなかった。
そして場面は変わって、両親の悲鳴が響く。
『逃げろ!! カイト!!』
『カイト!! 逃げて!!』
目の前で無残に両親が斬り殺されて行く。
俺は恐怖に縮み上がり、その場を動くことさえ出来ずにいた。
近くにはネロの両親の遺体と、ミサの母親の遺体も転がっている。
『カイト!! ミサ!!』
ネロがミサと俺の手を取って、逃げ始める。
俺も何がなんだかわからないうちに、走り出していた。
……ああ、そうだ。
この時に俺は誓ったんだ。
この世界の秘密とやらを絶対に知ってやるって。
両親と爺ちゃんが知ることのできなかったこの国の王の秘密とやらを絶対に知ってやるって。
今日、この場所にいるのはそのためだった。
書斎から見つけた父親の手帳。
そこにはこう書いてあった。
【ラウル古代遺跡に行けば何かがわかるかもしれない】
その言葉を信じて、入ってはならない【禁断の森】に来たんだ。