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ゾット帝国
俺たちは【禁断の森】と呼ばれる場所の奥、獣道で3匹の狼のような魔物に追いかけられていた。
「…….はぁっ…はぁっ……」
心臓が高鳴る。背中が冷や汗でべっとりとなっている。
二人分の足音が響く。
息を切らして魔物を振り返ると、不気味なそれらは身体中から暗黒のオーラを放ち、紅く鋭い眼光に吸い込まれそうだ。
魔物は荒い息をあげて低く唸り、鋭い牙を覗かせてこちらに走ってくる。
「ウォォォン!!」
奴らの垂らす涎が月明かりで光る。
舗装されていない道は足元が悪く、前をよく見ていなかった俺は盛大に水溜りを踏んでしまい、周囲に派手な水飛沫が飛び散った。
「おい。何やってんだよ」
コケそうになった俺を、さっきからずっと隣で走っていた男、ネロが支えてくれる。
「……悪い」
同性の俺でさえ見惚れてしまいそうなほど整った顔立ちの彼は、恐怖に怯えている俺とは対照的にいつものクールな無表情だった。
ーーーーーその時
集団の中心にいる魔物が、急に立ち止まり砂煙を上げる。
…………何をする気だ………!?
魔物は顔を真っ直ぐに上げると、大きな遠吠えをあげた。
嫌な予感がして、顔に冷や汗が滲む。