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キミへ世界最期の告白を!  作者: 戦告
第1章「レイとレン」
23/32

第23話

 レイが食べ終わってしばらく。

 他愛もない話をしていると寝るのにちょうど良い時間となってきた。

 レンに髪を乾かしてもらったことも拍車をかけたのかもしれない。


 この家には寝室も勿論あるのだが、レンが一緒に住むなど全く持って考えていなかったため、スペースはあってもシングルベッドしかない。

 まぁ、とはいえ神父が一昨日、簡易的な布団を買ってきてくれたため、硬い床で寝ることは二人ともない。


 そして寝室はレンが使っている。


 これはレイが譲ったからだった。

 いくら自分の家だからといってもレイ自身は洗濯や料理など、家事はてんで出来ない。それを補ってくれているのは偏にレンのおかげだ。


 そのささやかなお礼として寝室はレンに使ってもらっているのだった。


「ねぇ、私が本当に使ってもいいの?私がその布団で寝てもいいんだよ?」


 だが、レン本人は納得していないようだ。


 住まわせてくれと頼んだのはレンなのだから、寝室はレイが使うべきだ、と思っているのだろう。


「いいからいいから。レンは大きい布団で寝て」


 でも、レンの思惑がどうであれ、レイは全く持って譲る気はなかった。

 さっさと布団を敷いて横になる。


「もう意固地だなぁ、キミは。レイの家なんだからレイが使えばいいのに」

「レンも住んでるからレンの家でもあるから、何の問題もないよ」


 首から上だけを出してレイは答える。

 正論だけにレンは少しだけ気圧されるが、それでも納得がいかず、ぷくぅっと頬を膨らませた。


「そうだ!なら一緒に寝れば……」

「寝ないから。僕はここで寝る。一人で寝る。それがダメなら僕は寝ないから」

「そんなに拒絶しないでも良くない?!そんなに嫌なの?私と寝るの」

「いやぁ……嫌ってわけじゃないけど……」


 やっぱり男として見られておらず、世話のかかる弟ぐらいにしか思っていないのだろう、とレイは感じた。

 素直にポロッと「一緒に寝る」なんて言葉が出てくるのはレイを信頼しているから故なのか、そういうことすら考えていないからなのか……。


 図りかねるが、唯一分かるのは、これはレイの望むものでは無いということだけだった。


「けど?」

「ダメ」

「ふ〜ん」


 レンは恨めしくそう言うとレイの上に馬乗りで座り込んだ。

 大人しく寝る体勢だったレイは急なことに目を丸くするしかできなかった。


「まさか、お風呂に入ってきたこと怒ってる?」

「怒ってないよ。ただとっても驚いたけど」

「驚かせるつもりで入ったからそれはいいんだけど。ならどうしてそんなに拒絶したの?」

「それは……」


 矢継ぎ早に飛んでくる質問攻めにレイは耐えられず顔を逸らした。だが、馬乗りに乗られているため正直、余り効果はなく、むしろ顔を逸らしたためレンが顔を近づけて来るという逆効果になってしまっていた。


 そういうところ!!とレイは言いたかったが、無論、言えるはずがなかった。


「あー、分かった。お風呂で言って秘密に関係があるのね」

「……」

「それなら仕方がないわ。ちゃんともう聞かないって約束したからね。言わなくていいわ」

「ちょっと」

「でも秘密って言われると気になるのよね〜。それがレイからだと尚更」

「ちょっと待って!!僕はまだ秘密の事だなんて言ってない!!」


 それとこれとは違うものだ。

 レイは自分の思いを秘密のことと一緒にされたくなかったので訂正を入れた。


「じゃあどういう事なのか聞いてもいい?」

「この「聞いてもいい?」はダメって言っても聞いてくれないやつですよね……」

「うん、まぁそうとも言う」


 だが、訂正を入れたがどう説明したものだろうか。

 レイが素直に吐けばいいのだろうが、見た目が十二歳程度の子供が十五歳の女の子に「男として見て欲しい」なんて言っても誰が信じるというのだろう。


 かと言って、本当のことを話すとそれは秘密の事を話すことに繋がっていくので、それはなんとしても避けていかなければならない。


 なので、レイは限りなく本当に近い小さな可愛い嘘をつくことにした。


「僕は実は十六歳なんだ」

「ぶふっ!急にどうしたの?お兄さんごっこ?」

「いや、本当に。身長が止まったままだけど」

「えー、本当かなぁ。嘘っぽいなぁ」


 本当は十六歳と言わず、世紀を跨いでいるのだが。


「これからすぐに身長伸びるから。その時に分かるよ。僕の言葉が嘘じゃないってことが」

「へ〜。じゃあ何か賭け事しよっか」


 レンは悪戯っ子の笑みを浮かべる。

 人の身体の上で。そろそろ退いて欲しい。ここからもレイの言うことを全く信じていないことがよくわかる。


「賭け事?何と何をかけるのさ」

「レイはこれから身長が伸びると思ってるでしょ?私は十六歳ぐらいの身長にすぐなるとは思えないの」

「うん」

「だから、賭け事。これから……そうね、三ヶ月で十六歳ぐらいの身長まで伸びたらレイの勝ち。伸びなかったら私の勝ち」

「勝ったらどうするの?」

「そうね……相手のいうことをひとつ何でも聞くというのはどうかしら?」

「十六歳の身長ってどれぐらいなのかなぁ」

「明日、神父様に聞いてみましょ」


 こうして、レイにとっては予想だにしない展開になってきた。

 “不老不死”になってからというもの、身長が一ミリ足りとも伸びたことの無いレイにとって表情には出さなくても内心冷や汗かきまくりだったことは言うまでもなかった。


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