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化け物軍団結成



◆公国軍本陣 テント



 公国軍本陣、派手な装飾が施されたテントには数人の貴族と護衛の騎士、黒いローブを着た魔導師数人と奴隷十数人が居た。その中の一人、軍の大将である肥満体の中年貴族オカロ・ハーギン伯爵は、苛立ちを隠そうとせず部下の騎士に怒鳴る。


「一体どうなっておる!何故奴等を殲滅出来ていないのだ!?」

「も、申し訳ございません!いざ戦いとなった瞬間、いきなり黒い竜巻が現れ兵士を巻き込み」

「知らぬ!さっさと殲滅せよ!儂は、奴隷共で遊ぶのに忙しいのだ!」


 そう言ってオカロは、男の奴隷の背に座りながら女の奴隷を侍らせる。騎士の男は、内心ため息をつきながら渋々テントを出た。そこで騎士は、戦場を見てあることに気付く。


「黒い竜巻が、消えている?」













◆プーリ侯爵領 平原



 突如として、公国軍を蹂躙していた黒い竜巻が消えた。それによって公国軍には安堵が。プーリ侯爵軍には緊張が走る。あの黒い竜巻のお陰で公国軍の数が減ったとはいえ、まだ二万以上居るのだ。

 そして、いよいよ公国軍とプーリ侯爵軍がぶつかる。目の前の敵に対してひたすら剣や槍を振り回す公国軍。対して、盾を構えて敵の攻撃を防ぎつつ剣や弓兵によって敵兵士を仕留める戦法を取っていた。兵士の殆どが徴兵された農民の公国軍、数は少なくとも錬度では上をいくプーリ侯爵軍。結果、公国軍はジリジリと押されていった。

 しかし、両軍とも気付いていなかった。あの黒い竜巻の首謀者が、この戦場に更なる怪物共を投入しようとしていることを。













◆プーリ侯爵軍 テント付近



「あがっ・・」

「く、くそ・・・・・っ」

「ば、化け物め・・・ッ!!」


 プーリ侯爵軍の本陣であるテントの裏で、数人の男達が黒い縄に縛られていた。その張本人は、灰色の仮面と灰色の扇情的な服を着た女だった。


「あら、アタシが強い訳じゃないよ?あんた達が弱すぎるのさ。“狐”とやら」


 女、ミレンダは、笑いながら男達に告げる。事の経緯はこうだ。

 男達、公国の誇る精鋭部隊“狐”がプーリ侯爵軍のトップ、フィナロムス・フリンを暗殺するべくプーリ侯爵軍本陣に侵入。しかし、侵入した瞬間目の前にミレンダが現れ、防音効果のある空間魔法【サイレントフィールド】と闇魔法【ダークウィップ】によって呆気なく捕縛され今に至る。


「それに、アタシなんかよりあの方の方がよっぽど化け物だよ。しかも、更に化け物を強化して投入しようとしてるからねぇ」


 “狐”の面々は、驚愕する。この灰色仮面より上の化け物がまだいるのだ。


「まっ、あんた達はその化け物の一部になるんだけどねぇ」

「そ、それはどういう」グシャ


 男は、質問しようとして口を開いた瞬間【ダークウィップ】で頭を潰されてしまった。他の男達も頭を潰されてしまい、物言わぬ骸と化した。それを見ていたミレンダは、いつの間にか後ろに居た男に声を掛ける。


「これで良いかい?」

「ああ、ありがとうミレンダ。さて、来い。死霊混合人(アンデッドキメラ)


 男、カゲマサは、黒いボロを纏った巨漢を呼び寄せる。ボロから覗いた顔は女の物だが、額から角が生えオーガの様な体と両椀、馬の脚に背から悪魔の羽が生えている。

 俺は、死霊混合人に手をかざして集中する。そして、スキル《魔人王》を発動させた。すると、死霊混合人は赤黒い繭に包まれていく。


「さてと、死体もわんさか集まってきたし始めるか」


 俺は、【ボックス】から次々にモンスターや人間の死体を取り出す。人間、ゴブリン、コボルト、オーク、オーガ、トロール、ウルフ、ワイバーン、etc.etc.。そういった死体の山を十つ程築くと、それぞれに魔石を置く。一旦周りを見回して、誰もいないことと監視がいないことにを確認すると、《アンデッド創造》を使いながら死体に尋常じゃない量の魔力を注ぎ込む。すると、死体が魔石を元に一つになり始め、やがて十つの塊となる。

 俺は、魔力を大量消費してしまった為によろめきながらも久しぶりにDPで魔力ポーションを生み出し、魔力を回復していた。


「ふぅー、魔力切れの副作用のダルい感じ。久しぶりだな。って、そろそろか」


 俺が目を向けた先には、新たなる死霊混合人として生まれたアンデッド十体が立っていた。


GRYUUUUAAAAAAAAAーーーーーー!!!!


 十体の死霊混合人は、獣のような咆哮を挙げる。死霊混合人達は、姿形がそれぞれ違う。それぞれが異形であり、おぞましい姿をしている。


「お前等、俺の言葉が分かるか?」


 死霊混合人達は、首を縦に振る。


「ふむ、分かるようだな。お前達は、今から赤黒い繭の中にいる奴の配下とする。いいな?」


 死霊混合人達は、了承したように首を縦に振る。すると、それを待っていたが如く赤黒い繭がひび割れ、砕け散った。その中には、以前とはうって変わって身長2メートル程の女性がいた。額には黒い角、悪魔の羽、馬の足、オーガの腕や胴体はそのままだが、顔は至って普通の人間の女性である。そして、アンバランスだった肉体は調整されてバランスの良い肉体に変わっている。


「おい、俺の言葉は分かるか?」

「お前、私、主?」


 おおう、言葉は話せるが満足には出来ないか。


「そうだ」

「了、私、従う」

「ならば、俺の後ろにいる死霊混合人を統率してくれ。出来るか?」

「了、統率、容易」

「なら、よろしく頼む。敵は、彼処にいる武器を振り回している奴等だ」

「了、皆、殺す」


 新たに生まれた魔人は、死霊混合人達を率いて公国軍に突撃していった。


「いや~、まさかあんな風になるとは」

「なあ、どうするんだいアレ。プーリ侯爵に知られたら何て言われるか」

「大丈夫、だと思う。俺の従魔と言えば、多分」

「自信なさそうだねぇ」


 ミレンダはため息をつき、俺は少しひきつった笑いを浮かべる。ちなみに、魔人の《鑑定》結果はこうだ。



名前

種族 上級死霊魔人

職業 隊長

レベル 20

ランク A

スキル 死霊王・・下級のアンデッドを生み出せる 魔力総量上昇 火無効 日光耐性 怨念王・・身体能力超強化 腐敗攻撃 呪術 等々



 その他の死霊混合人達は、皆一律でランクBである。だが人間にとっては、ランクBのモンスターでも複数の街の壊滅が示唆される程の怪物。カゲマサは、そうとは知らなかったが。

 そして、一体でも複数の街を滅ぼせる化け物が軍団となり公国軍に襲いかかった。


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