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戦争開始前



 魔女ミレンダを魔人にしてから十五日が経過した。囚人達は、軒並み魔人へと変化している。大体は、ランクC程の下級魔人だがミレンダを除き三人程がランクBの中級魔人へと変化した。そしてギオとジ・キラーは....。

 現在俺は、新たに作ったコロシアムのある階層にいるのだが....。


「ハッハ!!どうした!のんびりしてると死んじまうぞ!!」


 コロシアムの中心でギオが、他の魔人達と乱闘に興じていた。


「く、くそっ!」

「た、体勢をととってうごわッ!!」


 と、他の魔人達はギオに終始押されぱっなしだった。因みにギオの《鑑定》結果は。


名前 ギオ・ウォーマン

種族 上級魔人

職業 戦闘狂

レベル 10

ランク A

スキル 喧嘩王・・身体能力上昇、素手の場合更に上昇、耐久力上昇 高速連打etc.etc.



 うん、かなり強くなった。だって種族的には、俺と同等なんだよ?追い付かれてかなりショックなんだが。


「まったく、またあの戦闘狂は部下をしごいているのか?」

「おっ、ジ・キラーじゃないか。ミレンダの様子は?」

「これは邪神の使徒様!」

「ああ、もうカゲマサでいいよ。何か嫌だしその呼び名」

「は、はあ。では、コホン。はい、カゲマサ様!ミレンダは、研究室にて捕らえた冒険者相手に実験を繰り返しております!」


 と、元気よく話すジ・キラー。綺麗な金髪を靡かせながら説明している。因みに《鑑定》結果は。



名前 ジ・キラー

種族 上級魔人

職業 カゲマサ信者 復讐者

レベル 15

ランク A

スキル 憤怒王・・身体能力上昇、魔力上昇、我を忘れる代わりに能力超上昇 etc.etc.



 うん、強くなったよな。でもさ、言わせてくれ。カゲマサ信者って何だよ。俺が何時信仰対象になった?スキルも《憤怒王》って絶対危険な奴だろうが!


「?いかがなされましたか?」

「いや、何でも無い。おい、ミルス」

「お呼びでしょうか!!」

「魔人達と死霊混合人(アンデッドキメラ)を集めろ。そろそろプーリ侯爵領に戻る」

「了解しました!!」


 エルダーアンデッドのミルスは、元気良く返事をして消えた。












「良し、全員集まったか」


 俺は、コロシアムの真ん中で人数を確認すると【ゲート】を開く。


「さあ、行こうか」


俺がゲートを潜る。それに続いてジ・キラー、ギオ、ミレンダ、ミルスの順に次々と潜っていった。


【ゲート】を潜り抜けると、そこは俺達が拠点にしている宿の一室だった。すると、奥の部屋からドタバタと音がして、ドアがバタンと開かれた。そこには、フリン公国元将軍にして現在エルダーアンデッドのカイ・ザーバンスがいた。


「ハアハアハア、あ!カゲマサ様、帰っていらっしゃったか!」

「何だ、カイかよ。どうした?」

「はい!一大事ですよ!」

「うん、何があった?」

「それが...」


 カイは、一呼吸ついてからそれを言い放つ。


「公国の首都ツンドルンにて、兵力の集結を確認しました!攻撃目標は、このプーリ侯爵領です!」

「は?」


 俺は、暫く言葉を失う。そして少し考え、


「....分かった。ロンドも呼べ。作戦会議だ」

「はっ!」


 カイが再び出ていくと、俺は椅子に腰かける。


「おい、カゲマサよぉ。アイツってカイ・ザーバンスじゃねぇか!?」

「ん?そうだが?」

「やっぱりか!戦い合いてぇな!!」

「事が済んだら良いぞ」

「やった!」


 ギオは、子供のようにはしゃいでいる。しかし、ミレンダとジ・キラーは別の事を考えていた。


(カイ・ザーバンスもアンデッドかい。全く驚かせてくれるねぇ。アタシも早くあんなアンデッドを作ってみたいもんだよ)

(戦争、か。ということは、奴もいる筈だ。必ず殺してやる!必ず!)













◆プーリ侯爵領 領主の館 会議室



 現在会議室は、重苦しい空気に包まれている。議題が、戦争の事なので当然かもしれないが。すると、一人の貴族が口を開く。


「...侯爵様、公王ハマルが兵を集め出したって本当ですか?」

「事実だ。密偵の報告によれば、各地に駐屯している兵力を最低限残して首都に集結させているらしい。その数は、三万は越える」


 プーリ侯爵家当主カリウスの言葉に貴族達の間にざわめきが生じた。当然だ、三万という数は恐ろしい。しかも精鋭部隊も参加している筈なので、より恐ろしい軍隊の筈だ。


「それに対して我々の兵力は、僅か一万程度。どうすれば」

「戦うしかあるまい!」

「勝てるのか?相手は精鋭部隊含めて三万の軍勢だぞ?」


 貴族達は、口々に話し合うが未だに答えが出ない。


「静まりなさい」


 すると、会議室に響いた声に貴族達は、一旦声を潜める。


「か、カナベール殿?」

「狼狽えている時ではありません。我々は、この国を変えるために集まったのでしょう?ならば、民を守るために戦いましょう!」

「し、しかし敵は三万の大軍ですよ!?数では、我々が不利です!」


 カナベールは、少し目を閉じる。そして、何かを決心したように目を開く。


「カナベール殿!」

「一つ心当たりがあります」

「こ、心当たりですか?」

「カナベール、お前まさか!」

「はいお父様、カゲマサ様のお力を借りようと思います」


 貴族達は、きっと頭の中に疑問符を作った事だろう。誰だソレはと。


「失礼、カナベール殿。カゲマサとは?」

「私の恩人、そして恐らく領内で一番の強さを持つ御方です」

「ほ、本当ですか?」

「はい、彼は我がプーリ侯爵領が誇る第一軍を一人で完勝したのですから」

「なんと!!」


 貴族達の目に希望が宿る。するとカリウスが立ち上がり口を開く。


「カナベールよ、彼等はまだ領内にいるのだな?」

「はい」

「良し、我が娘よ。カゲマサ殿をここに連れて参れ。報酬は、幾ら掛かっても構わん!」

「判りましたお父様!」

「そして皆の者!戦の準備を始めよ!公王ハマルを打ち倒し、この国に未来を作るのだ!」


すると、貴族達の雄叫びが会議室に響いた。


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