ダンジョンバトル・終盤戦①
※旧ダンジョンバトル・終盤戦①と②を統合しました。
◆ユラのダンジョン最深部
ユラのダンジョンの最深部には、豪華な豪邸が鎮座していた。門の前には、万はいるモンスターで埋め尽くされている。
「・・・・何てこと!」
玉座に腰かけていたユラは、怒りに満ちた表情を浮かべながらモニターを見ていた。
リューゼダンジョンを任せていたダンジョンマスターチームは全員敵の捕虜になり、アルカダンジョンを任せていたダンジョンマスターチームは三人中二人が死亡、一人捕虜。最後にカゲマサダンジョンを任せていたダンジョンマスターチームは、三人共降伏。そして、自身に対して反旗を翻した。
「どいつもこいつも使えない・・・!」
「グヒヒヒ、良いではないですかユラ様。ここには、約二万の兵がおります。おまけに、他のダンジョンマスターやユラ様直属の最精鋭である我ら〈五人衆〉がついておりますれば」
そう言ったのは黒い体に黒い羽、尾を持つモンスターだった。名前はモデン。種族は、悪魔系統に属するモンスターである。
「そうですよ!マスターが心配することはありませんって!」
そして、ユラの側にいるハイサキュバスのキュースだ。彼女も〈五人衆〉の一人であり、最古参のモンスターである。
「そう、そうね。貴方達がいるのなら、私達の勝利は揺るがないわ。・・・ハイサとバーク、スーレはどうしたのかしら?」
「グヒヒヒ、ハイサ殿とバークなら屋敷内の巡回に出ております。スーレは、門前にて兵とダンジョンマスターの指揮を取っております」
ハイサ。ハイサキュバスであり、先の死霊公の一件では死霊公にドラゴンの死体を渡した張本人で〈五人衆〉の一人である。
「そう、配下のダンジョンマスターの様子は?」
「あ、はい!他のダンジョンマスターがやられて動揺してましたが、裏切る様子はありません!」
「そう」
キュースがそう答え、ユラは少しほっとした。今裏切られたら、殺しはできても少なくない被害が出るだろう。そうなっては、あの新人トップ3には勝てない。そう考えていると、ハイサが部屋に飛び込んできた。
「し、失礼します!敵の軍団がこちらに向かってきております!」
「ッ!遂に来たわね。数は?」
「・・・・」
「グヒ、おい!さっさと答えんか!」
「判ってるわよ!か、数は千程です!」
「千?こちらは二万、数ではこちらが圧倒的に有利ね。なら」
「で、ですが面子が恐ろしすぎます!」
「面子が?」
「ち、ちょっとハイサ?それってどういう」
「そ、その面子は・・・」
ハイサの口から出たのは、耳を疑う面子の数々だった。
◆新人トップ3のダンジョンマスター達
敵のダンジョンマスターチームを破ったリューゼとアルカは、自分の兵力をユラダンジョン本陣に続く道の前に集結させていた。
「お!よう、吸血鬼!どうやらそっちも勝ったようだな!」
「アルカだよ僕は。まあ勝ったね。少し危ないところはあったけど」
「へぇ~、大変だったな!ところで、兵隊はそれだけでいいのか?」
アルカには、20体の吸血鬼が側に控えていた。中には、ユラ本陣の偵察に行かせたバートンもいる。
一方のリューゼは、およそ千程のモンスターを連れてきていた。大半は、トカゲ系統のモンスターだが全体の一割がリザードマンである。側に控えるは、三人のダンジョンマスターを捕らえたニリザだ。
「少数精鋭だよ。残りの戦力は、捕らえたダンジョンマスターの監視とコアの守り」
「そっか!それにしてもあのカゲマサって野郎遅ぇな」
リューゼは今だ来ない最後の一人、カゲマサが来ないことにイラつく。
「まったく、早く来」
「誰が遅いって?」
「え?ヌオオオ!?」
声のした方向を見てリューゼは驚きを露にする。いつの間にか、カゲマサが自分の側に立っていたのだ。
「驚かせるな!」
「すまんすまん」
「カゲマサ君も来たか。あれ?カゲマサ君、配下はいないのかい?」
アルカは、カゲマサが一体も配下のモンスターを連れてきていないことに気づく。
「おいカゲマサァ!一体も連れてきていないってどういうことだ!」
「待て待て。あともう少しで・・・あ、来た来た。おーい!」
カゲマサは、大きく手を振る。リューゼとアルカは、手を振る方向を見て・・・・驚愕する。
「お、おいカゲマサ。あれは、ドラゴンか?」
「ああ」
「か、カゲマサ君。他にも沢山上位種がいるように見えるんだけど?」
「いや、うちのダンジョンから選りすぐりの奴等を連れてきたから。百体程ね」
事実、カゲマサは自身のダンジョンから選りすぐりのメンバーを連れてきている。だが、クロとゴブイチはカゲマサのダンジョンで留守番だ。
「・・・よくこんなに沢山の種類のモンスターを」
「いや~、大変だった」
カゲマサは、背中をうんと伸ばして告げる。
「じゃあ、そろそろ行くか」
「あ、ああ」
「そ、ソウダネ」
俺は、さっさと歩きだした。他の二人は、若干引きつった笑みを浮かべながら後を追う。やがて。
「お~、いっぱいいるな」
「へっへっへ、やりがいがあるぜ!」
「そう?僕から見たら有象無象が群がってるようにしか見えないけど」
無駄に長い道を抜けると大広間に出た。そして見たのは、豪華な屋敷と無数のモンスターである。
「あの屋敷にユラがいるのか?」
「じゃあ、競争しようぜ!誰が一番早くあそこに着けるかをよぉ!」
「は?嫌だね。僕は自分のペースで行くから」
三人は、敵の前だというのに呑気に話をしているが敵モンスターは、いっこうに襲ってこない。何故なら、敵モンスターの目線は三人の後ろにいる白いドラゴン、シロに固定されているからだ。
「・・・なあ、まったく動く気配がないぞ?」
「やっぱりドラゴンに怯えてるんじゃないかな?」
「チッ、動かないならこっちから行くぜ!雑兵共!」
「あ、おい!」
しびれを切らしたのかリューゼが、配下と共に突っ込んでいった。敵モンスターは、少し反応が遅れながらも迎撃する。
「邪魔だぁぁぁぁーーーー!!!」
リューゼによる大剣の一閃。それだけで何十体のモンスターが吹き飛んだ。あるものは足がちぎれ、あるものは腕が折れ、最悪頭が吹っ飛び死亡した。
「うわ~、なんという馬鹿力」
「腐っても新人ランキング三位だしね。じゃあ、僕達も行くよ!」
「はっ!!」
アルカも剣を携えて、部下の吸血鬼と共に敵陣に突っ込んだ。そして俺はというと。
「マスター、いかがなさいますか?」
「ああ、ところでシロ。むこうは大丈夫だよな?」
「はっ、三人のダンジョンマスターはゼクトとナタリア、カレンが監視しております。万が一にも逃がしはしません」
「よし、俺は敵の館に向かう。シロは、部下を率いて門前のモンスターを駆逐しろ」
「あの二人に加勢しろと?」
「そうだ。後出来れば、後方にレイスのような奴がいただろう?あれを片付けてくれると助かる」
「承知しました。では、雑兵の始末の指揮は・・・カイ・ザーバンス!」
カイ・ザーバンス。元はとある公国の将軍だったが、公王の嫉妬が原因で暗殺された。その後カゲマサのアンデッド創造により、今はエルダーゾンビとしてカゲマサに従っている。
「お呼びで?」
「精鋭部隊を率いて、モンスターを殲滅しなさい」
「了解しました」
カイは了承し、部隊を率いてモンスターに突撃していった。
「じゃあ行くか」
「はいマスター」
俺は、あのレイスの前に魔力を集中させて空間魔法【ディメンションムーヴ】を発動させた。
◆門前
「何ということだ・・・・!」
門の前で一体の半透明なモンスターが、頭を抱えていた。それもそのはずで、二万の軍勢がたった千ちょっとの小勢に押されているからだ。モンスターの軍勢だって、ただの雑兵の集団ではない。中には、ランクCクラスのモンスターも混じっている。ましてや、他のダンジョンマスターの精兵もいるのだ。なのに、押されている。
「このままでは!」
「あら、こんなところで何をしているのかしら?」
「え?ッ!?」
突然声が聞こえたので後ろに振り向くと、白く巨大なドラゴンがそのモンスターを睨んでいた。
「い、いつの間に・・・・!?」
「我等のマスターを舐めないでくださる?このくらいはどうってことないわ。さっ、覚悟はよろしくて?」
モンスターは、サッと後退し武器である鎌を構えた。
「チッ、舐めるなよ!我はユラ様配下〈五人衆〉が一人、ハイレイスのスーレ!いざ覚g」
「五月蝿いわよ。《ホワイトブレス》」
完全に名乗り終える前に、ハイレイスのスーレはシロの《ホワイトブレス》を受け、消滅。あっけない最後を遂げた。
「あら?〈五人衆〉とかいうから強いかと思ったけど、弱点突いたらあっけないわね」
《ホワイトブレス》は、光属性の技である。レイスはアンデッドに分類されるので、光属性は大きな弱点なのだ。
シロは、興味が失せたように視線を門前の戦場に移す。カゲマサ、マスターは無事屋敷に入った。ならば、自分は邪魔者がでないようにするだけだ。
「来てみなさい。敵は一人たりとも入れないわ」
◆ユラの屋敷内
カゲマサは屋敷に入った後、屋敷内を走り回っていた。
「うお、危なっ!」
走り回っていると、壁から槍が発射されたり、落とし穴があったり、天井が落ちてきたりとギミック満載だった。ダンジョンだから当然ではあるが。
「まったく、罠が多すぎるな。当たり前か」
俺は、気にせず進む。すると曲がり角から牛頭のモンスターが出てきた。試しに《鑑定》する。
名前
種族 ミノタウロス
職業
レベル 10
ランク C+
スキル 豪腕
へ~、ミノタウロスか。頭には、牛そのもので体もムキムキだ。簡単に言えば、ムキムキの牛が二本足で立ち上がったという感じか?しかし、スキル豪腕だけかよ。召喚されたばかりか?
そんなことを考えていると、こっちに気づいたのかミノタウロスが金棒を構えて突撃してきた。俺は、あっさりと避けてミノタウロスの鼻に手を当てる。魔力を集中して、そいや!
「【フレイム】!」
かつて、人間の冒険者相手に食らわした火魔法を魔力マシマシでぶつけた。頭を燃やされたミノタウロスは、しばらくのたうち回るが、やがて動かなくなった。
「さて魔石は、あったあった」
俺は、ミノタウロスの魔石を剥ぎ取ると【ボックス】に収納し、先を急いだ。
次回は、ダンジョンバトル・終盤戦②の予定です
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