ダンジョンバトル・カゲマサ陣営②
まさか累計PV50000を越えるとは・・・!
本当にありがとうございます!
※ダンジョンバトル・カゲマサ陣営③と④を統合しました。
◆敵ダンジョンマスターチーム
アルラウネ、オーガ、馬の三体は、第二階層の情報を出しあっていた。
「まず俺からだなぁ。手下のゴブリン共を突っ込ませたんだが、トレント?に襲われたんだよ。多分あのフロアは、トレントを中心にしていると思うぜ?」
「ヒヒン、次は俺だな。こっちのフロアは、湿地になっていた。現れたモンスターはヘビだったよ。主力はヘビ系モンスターだと思うが、まだ他にもいると思う」
「最後は私ね。こちらのフロアは、暗闇に包まれていたわ。モンスターは、人間?の姿をしているモンスターよ。それになんとなくモンスターを倒すことに手馴れていた感じだったわ。もしかしたら、元冒険者の死体を使ってアンデッドを作ったのかも」
各々の知り得た情報を聞いて、三体は相談を始める。
「くそっ、敵の情報が少なすぎるぞ!」
「落ち着け筋肉ダルマ。ヒヒン、しかしトレントにヘビ、そして推定アンデッドか。敵のモンスターは、後何種類いるのだ?」
「ええ、あの様子だとまだいそうなのよね。私達のダンジョン攻略の為に温存しているのかしら?」
「で、どうするんだよ!また、敵ダンジョンに攻めこむのか!?」
「ううむ、主力軍団を送るにしても敵のダンジョンを完全に把握した訳じゃないからな。下手に送って全滅したら目も当てられん。ブルルン」
「・・・一旦、攻撃を止めてみましょう。敵のモンスターの情報を集めるのよ」
「大丈夫か?下手したら、こちらが不利になるぞ?」
「大丈夫よ。幸い、敵もこちら側の情報を知らない。最初に偵察隊を出してくるはず」
「はあ、じゃあそうしてみるか」
「ちっ」
アルラウネの提案に馬とオーガは渋々承諾した。
◆カゲマサのサブダンジョン
「あれ?」
三フロアに侵入したモンスターを撃退し魔石を回収した後、俺は敵のモンスターが侵入してこなくなったことに気づく。
「おいシロ。敵のモンスターが来なくなったぞ?敵のモンスターが尽きたのか?」
「マスター。恐らくは、こちらを誘っているかと。こちら側のモンスターを招き寄せ、自分達に有利な状況で叩くつもりです」
「なるほど。・・・良し、シロ。」
「はい。・・・まさか」
「うん、試しにやってみようじゃないか」
カゲマサは、一つの札を切ることにした。
「秘密兵器を使うぞ。・・・大丈夫だな?」
「はい、ちゃんと貯めています。戦意を」
そうか。ならば、大丈夫だろうよ。アイツは。
◆カゲマサのサブダンジョン 第四階層マスタールーム前
ソレは静かに座っていた。只、静かに。まるで、一つの彫像の如く微動だにしない。
『聞こえるかい?』
そこに、それが敬愛する主の声が響く。
『出番だ。と言っても、試しに踏み込んでみるだけだが。無理すんなよ?』
指令を受け取ったそれは、ゆっくりと立ち上がる。
「御意」
そして、静かに呟いた。
◆敵ダンジョンマスターチーム
「花女!敵が侵入したぞ!」
「ッ!来たわね。主力軍団を防衛に当てなさい。敵の数を・・・・・!?」
アルラウネは指示を出そうとして、言葉を止めた。依然敵は侵入している。モンスターの内訳として、アリ、カマキリ、チョウ、ムカデ、ゴキブリ、ハチ、クモ、カブトムシ、クワガタムシなどの虫系モンスターが中心だ。だが、その中で一体だけ他のモンスターよりも異質なモンスターがいたのだ。
それは、二足歩行で体表は焦げ茶色で僅かに光沢があり、全身甲冑を彷彿とさせる。体格は、スラッとしており背中には虫の羽が付いていた。極めつけに、頭に伸びる一本の角。口元には、二本の触角がある。
(な、何なのあれは!?あれは不味い!絶対不味い!)
モニター越しからでも伝わる程の存在感、それを放つあれは今すぐ潰さなければならない!そうアルラウネは考えた。
「オーガ!ホースジェネラル!近場にいる全戦力を差し向けなさい!」
「はあ?」
「いきなり何を言って」
「早く!!死にたいの!?」
オーガと馬ことホースジェネラルは、とりあえず近場にいた配下のオーガとウォーホースと呼ばれるモンスターを差し向ける。そして、敵のモンスター部隊と戦いになった。先頭のオーガが、手にしたこん棒を振りかぶり例の二足歩行モンスターに振り下ろす。
が、呆気なく片手で止められた。
オーガは、知能は低いが力に秀でたモンスターである。並のモンスターなら、片手で止めるなんてことは出来ない。つまり、オーガの前にいるのは並のモンスターでないことになる。オーガが自慢の一撃を簡単に止められ戸惑っていると、例のモンスターは目を赤く光らせ拳を振りかぶり、一撃でオーガの頭を粉砕した。
「!!??」
「オ、オーガをたった一撃で!?」
その後も例のモンスターによって、討伐部隊は全滅。敵ダンジョンマスターチームは、主力軍団の一部を失うという損害を出してしまった。
◆カゲマサのサブダンジョン
秘密兵器の活躍を見ていた俺は、感嘆混じりのため息を吐く。
「しっかし、よくあんな人材を見つけて来たな?」
「はい、ダンジョン内の特訓中に見つけまして、特別な特訓を施したところあのようになりました」
特別な特訓ってなんだよ。まあいいや。有用な戦力は多いほうがいい。そう考えながら、モニターを見る。
「これからもよろしく頼むぜ?ゼクト?」
名前 ゼクト
種族 中級虫魔人
職業 最高幹部
レベル 38
ランク A-
スキル 虫の王・・虫系モンスター統率力上昇、能力上昇 剣の達人・・剣術の上位互換 格闘の達人・・格闘の上位互換 毒耐性
俺は、新たな仲間の増加に嬉しく思いながらゼクトを労った。
◆観戦席
ダンジョンマスター達が戦っている時、ロワン、ナナ、リザン、パンドラッチの四名。そして、彼らの産みの親の邪神はダンジョンバトルの様子を観察していた。
「ホッホッホ、リューゼは相変わらずの力押しじゃのう」
「ヌヌヌ、アルカよ。そこは最低一人は配下を連れていくのだ」
「あら、一人で行って殺られたら良いのに」
「何だと貴様」
「何ですか?この耄碌爺」
「ろ、ロワン様ぁ!ここは抑えてくださいまし!」
「はいはい、二人とも喧嘩なら別でやってよ?今は、楽しいダンジョンバトルの時間だからね?」
「・・・はっ」
「判りましたわお父様」
「ほっ」
ロワンとナナが口喧嘩になりそうだったがパンドラッチが慌てて説得し邪神が嗜めたことで喧嘩は回避された。
「さてと、戦況は新人連合が不利かな?ねぇロワン」
「はっ、12人中6人無力化されたとなると厳しい状況かと」
「ほうほう、じゃあ新人トップ3はどうだい?」
「はっ、まだ未熟ではありますが将来有望かと思われます。・・・アルカめが」
「どういうことかしらロワン?今一瞬アルカとかいう小娘が、一番優秀だと言ったように聞こえたわよ?そこのパンドラッチはどうしたのよ」
「ロワンよ。ワシは、冷静に判断してリューゼもそれなりに優秀じゃと思うぞ?」
「ふん、貴様のは脳が筋肉であろう?ナナよ。お主のは・・・カゲマサであったな」
「そうよ。うちの期待の新人を悪くいうのは止めてちょうだいな。引き抜きも許さないけど」
「ふん、期待の新人についてはまだパンドラッチがおる!コヤツは臆病だがそれなりにやる奴よ」
「ロワン様!?」
「あらあら、そういうのを身内による贔屓目よ?」
だんだんと、自分の孫自慢のような雰囲気になってきたので邪神はモニターを切り替えて話を中断させる。映し出されたのは、カゲマサのサブダンジョンだった。
「おや、カゲマサ君のダンジョンだね。って、ん?」
「ほお」
「まあ」
「これはこれは」
「え?」
映し出されていたのは、無数の虫系モンスター。そして、虫系モンスターを率いる一体の魔人だった。
「ほお、虫魔人か」
「カゲマサ、いつの間にあんな者を」
「ほうほう、これはホーンビートルから進化した虫魔人じゃな」
そして、その虫魔人は敵ダンジョンに侵入した後、迎撃に来たオーガやウォーホースを瞬く間に殲滅してしまった。
「戦闘力も高いようだな」
「ええ、最低でもB+は固いわ」
「どうやってあんな人材を生み出したのじゃろうか」
三人のダンジョンマスターは、興味津々にモニターを見ていた。邪神は、後ろでニヤニヤしながらダンジョンマスター達を見ていた。
◆敵ダンジョンマスターチーム
「ヒヒ〜〜ン!?何なのだ、何なのだあの化け物は!」
「オーガが全く使い物ならねぇ・・・。もしかしてあれが敵の切り札か!?」
「・・・」
ホースジェネラルとオーガ、アルラウネの三人は、今もなお侵攻しているモンスター達に対抗策を出せずにいた。
「ウォーホースの踏みつけを容易に押し返し、レッドオーガの炎も目の前で霧散した!もう、どうすればいいんだ!ブルルン!」
「罠も片っ端から解除されたものな。おい花女、黙ってないで何か言ったらどうだ?」
「・・・ねぇ」
「なんだよ」
「私達なんでここにいるんだっけ?」
「はあ?そんなのダンジョンバトルの為だろ」
「・・・私達、ユラの味方なのよね?」
「・・・ああ」
「おい花女。一体何を」
するとアルラウネはしばらく俯き、口を開く。
「・・・別にあのユラの味方しなくてもいいんじゃないかしら?」
「は?」
「え?」
「考えてみなさい。私達は別にユラに忠誠誓ってないし、助ける義理も無いわ」
「まあ、そうだな」
「アイツ、常に上から目線で嫌いだしな」
「その通りよ。ユラは、私達を傘下にした時だって強引なやり口だったからね。お陰で、私のダンジョンは半壊寸前までいったわ」
「俺は、部下をほぼ壊滅させられたしな」
「・・・俺は、部下が魅了のスキルを受けて寝返ったしな」
ここで三人は、一つの結論に達した。
「どうやら、同じ結論になったわね」
「ああ」
「まあな」
そして、三人は行動を起こした。
◆カゲマサのサブダンジョン
すごいな、ゼクトの快進撃は。あのオーガや、屈強な馬を次々に始末してる。敵だったら恐ろしいよ。
『よ~し、これくらいでいいだろう。戻ってこいゼクト』
『はっ、・・・・カゲマサ様。少しよろしいでしょうか?』
『ん?どうした?』
『なにやら、ダンジョンマスターと名乗る三人組が現れました』
『ファッ!?ダンジョンマスター!?不味い、急いでそこを離脱しろ!』
『はっ、・・・カゲマサ様、追ってきます。いかがいたしましょう』
『とにかく部下と一緒に逃げ切れ!』
『御意』
しかし、なぜ今になってダンジョンマスターが?三人がかりでゼクトを倒そうとしたのか?
『カゲマサ様、ダンジョンに帰還しました。部下も無事です』
『判った。いまから俺がそっちに行く。第二階層まで後退せよ』
『はっ』
こう言って俺は、ゼクトとの通話を切る。そしてその場から立ち上がった。
「これで良しっと。シロ!カレン!ついてこい!ナタリアとマヤはここで待機しろ!」
「はいマスター!」
「判った!」
◆第一階層
む、来たか。俺が目を向けると、ダンジョンの入口に三人のダンジョンマスターがこちらに駆けてきている。
一人は、体長4メートル程の赤い鬼だった。恐らくオーガだろう。
もう一人は、いや一体は、さっきまで見ていた馬よりも頭二つ分大きい馬だった。
最後は、全身が蔦で覆われた美女。エメラルドのような色の目をしている。メガネ似合いそうだな。
「来たなダンジョンマスター共よ!早速だが、死n」
「ま、待って!」
「はい?」
アルラウネの声に俺は、一旦動きを止める。
「何だ一体」
「は、話があるの。聞いてくれるかしら?」
「・・・言ってみろ」
すると、三人はその場で膝をつき頭を垂れ
「・・・私達は、貴方に降伏します!どうか、寛大な処置を!」
「はあ?」
「へえ~、そんなことがねぇ」
「そうなんだよ!いきなり来て、私の傘下に入りなさいとかふざけてるのかって話だ!」
「俺もだ。しかも、俺は部下を一度奪われている。そんなやつに忠誠なんざ誓えるか!ブルルン!」
「私も相当ムカついたわ。けど、戦争になったら被害が尋常になるから仕方なく傘下にはいったわけよ」
俺は何故か、三人のダンジョンマスターの愚痴を聞いている。相当恨みがあるのか、愚痴が止まる気配がない。
「はいはい、判ったよ。じゃあ、降伏するってことでいいんだな?後で後悔しても知らんぞ?」
「大丈夫よ。このままユラの元に甘んじるぐらいなら、死んだほうがましよ」
ユラは嫌われてんな~。まあいいけど。
『はい!カゲマサ君陣営の勝利!おめでとう!』
降伏を認めた瞬間、邪神による祝福コールがダンジョン内に響き渡った。
ユラは裏切られてしまいました。
次回は、ダンジョンバトル・終盤戦の予定です
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