ダンジョンバトル・リューゼ陣営①
「全くもって面白いことになったな!」
マスタールームに転移されたリューゼは、一人大声で叫ぶ。側には、三体のリザードマンがいた。しかい、通常のリザードマンは体長180センチ程なのだが、この三体は頭一つ分大きい。それもそのはず、この三体はそれぞれリザードマンコマンダー、リザードマンウォーリアー、リザードマンソーサラーといった上位種なのだから。
「さて、イチリザ!この戦争は勝てると思うか!?」
「はっ、相手の出方次第ですが、このままの場合は我々の軍団を止められる者はいないでしょう」
イチリザと呼ばれたリザードマンコマンダーは答える。現在、リューゼ達の前にはリューゼのサブダンジョンに侵入している敵が映し出されている。その数は続々と増え、今では千体ほどに膨らんでいる。種類はネズミ、ヘビ、カタツムリだった。
「いっぱいいるな!」
「はい。ですが、どれもこれも只の雑兵。我々の兵の方が練度は上。負けることはありません」
もしここにカゲマサがいたなら、油断しすぎでは?と苦言を漏らしただろうが、リューゼはその言葉に機嫌を良くしたのか高らかに叫ぶ。
「よっしゃあ!おいニリザ!四百の兵を連れて、奴等を倒してこい!」
「へい!」
ニリザと呼ばれたリザードマンウォーリアーは、自信満々に返事すると、戦場に跳んでいった。
◆リューゼのサブダンジョン第一階層
第一階層では、それぞれのモンスターが進行を開始していた。だが、そこには隊列らしきものはなく只歩いているだけであった。すると、モンスター達から動揺の声があがる。モンスター達の視線の先には、リザードマンやトカゲ系モンスターを率いるリザードマンウォーリアーのニリザの姿があった。
ニリザは、リューゼのダンジョンにおいて攻撃隊長の地位に就いている。因みにイチリザは防衛隊長の地位だ。最後のリザードマンソーサラーは、魔法隊長である。
「よぉし、てめぇら・・・やっちまえ!」
ニリザは、部下に命令を下す。すると、部下のモンスター達は一斉に敵モンスター達に襲いかかった。
「あっはっは!」
マスタールームにて、リューゼは笑い転げていた。リューゼからしたら、モニターに映る映像が可笑しくて堪らないのだろう。そのモニターには、リューゼ配下のモンスターが敵モンスターを蹂躙している映像だった。敵モンスターのネズミやヘビ、カタツムリも果敢に応戦していたが、地力が違いすぎて決定打にはなっていなかった。ネズミが噛みつこうとし剣で斬られ、ヘビが絡み付こうとしたら引きちぎられ、カタツムリが殻に入り回転攻撃を仕掛けるという技を見せたが、受け止められ中身を引きずり出され始末されていた。
「まさか、ここまでとは思わなかったぜ!」
「マスター、敵は恐らくまだ戦力を備えていると思われます。敵を全滅させた後は、一旦引き戦力を整えましょう」
「わかった!」
リューゼは元気良く返事すると、再びモニターを見る。そして、しばらくして敵のモンスターが全滅した。
◆敵ダンジョンマスター ルーム
その空間には、三体のモンスターがいた。それぞれネズミ、ヘビ、カタツムリの三体である。全員ダンジョンマスターだ。そんな三体は、送り込んだモンスターからの報告を受けていた。
「全滅!?」
「う、うん」
「部下から連絡が、あ、あったんだな」
ヘビは驚き、ネズミは気弱な声で答え、カタツムリは狼狽えていた。送り込んで僅か十数分で全滅したとあっては、仕方無いことだろう。
「二千の軍隊がたった四百に負けたのか!?」
「き、きっと敵のモンスターが強かったんだな」
「だが、五倍の兵力差だぞ!?あいつも俺らと同じ、新人のはずだぞ!?」
「それが出来るから、新人ランキング三位だったんじゃないかな?」
ヘビは、信じられないと言わんばかりに叫ぶ。ネズミとカタツムリは、そんなヘビを宥めている。
ユラは、上位三つのダンジョンに対して、三人一組で攻略させていた。残り二人は、ユラの側にいるはずである。ただし、ユラ側のダンジョンはユラの作ったサブダンジョン三つだけという制約が邪神によって決められていた。
「こうなったら、俺らだけで突っ込むか?」
「そ、それはまずいんだな!」
「そうだよ!敵の情報が無いんじゃあ、攻めても倒されるだけだよ!」
「じゃあ、どうすればいいんだよ!?」
「と、とりあえずモンスターを召喚するんだな」
何もしなければ始まらないと考えたのか、三人のダンジョンマスターはモンスターを召喚し始めた。
次回は、ダンジョンバトル・リューゼ陣営②の予定です。
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