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夜会の始まり④



 突然話しかけてきたアルカにナナさんは、こう答える。


「あらあら、耄碌頑固爺の派閥の子じゃない。いきなり話しかけてくるとは何用かしら?」

「はいナナ様、といっても私が用があるのはカゲマサ君ですので」


 ナナさんとアルカは、嫌悪感丸出しで話していた。まあ、ナナさんから見ればアルカは敵派閥だしアルカから見ればナナさんは敵派閥のトップだしな。


「ま、まあまあナナさん、ここは穏便に」

「あら、カゲマサは頑固爺派閥の肩を持つのかしら?」

「いえいえ、そんなことはありませんよ。奴は、俺に用があるんですよ?ならこれは俺の問題です。何とかして見せますよ」

「ふぅん、ならいいわ。好きになさい」


 良し。何とか喧嘩にならずにすんだぞ。本番はここからだがな!












 俺は、アルカの方に向き直り話を聞くことにした。


「待たせたね。さ、用件をどうぞ」

「ああ、早速なんだが・・・そ、その、血を吸わせてもらえないだろうか?」

「・・・はい?」


 血を吸う?それって、俺の血液をか?


「あ、お前吸血鬼か?」

「そ、そうだが?」


 なるほどね。口許をよく見ると、鋭い牙が二本生え出ていた。ん?待てよ?俺の予想が正しければ、吸血鬼が対象から血を吸えば吸われた本人は吸血鬼になってしまうのでは?


「お前、俺を吸血鬼にして操ろうとしたのか?」


 もしそうなら、コイツから距離を取らなくてはならない。最悪排除しなければ。


「ち、違うよ!?単純に君の血を吸いたいだけさ!」


 慌てたように否定するアルカを見て、俺は警戒を強める。


「第一、なんで俺の血なんだ?血が欲しいなら、お前のところの派閥の奴に吸わせてもらえばいいじゃないか」

「う、た、確かにそうだが。奴等の血は・・・・えっと、不味かったんだよ。まるで犬の糞を液状にして飲んでいるかのような味だったんだ。アレは不味かったよ」


 アルカは、オエエと味を思い出したように口許を抑える。そこまで不味かったのか。


「そこに現れたのが君さ!君からは、極上の血の匂いがするんだよ!だからお願いだ!君の血を吸わせてくれ!吸わせてくれたら、何でもするつもりだ!なんなら体を捧げ・・・・」

「馬鹿野郎が!!!」


 アルカが体と言った瞬間、俺は反射的にアルカを殴り飛ばしていた。突然殴り飛ばされたアルカは、訳がわからないような顔している。


「な、何故」

「お前なぁ!年頃の女がむやみに何でもするなんて言うんじゃねえよ!そういうの前にも聞いたが、俺はな!たかが小さいお願いごときで、体を対価とする奴がニガテなんだよ!」


 以前、オークからの懇願の時カレンを捧げるといった際、俺は内心オークに対して拒否反応を抱いていた。たかがダンジョンに匿うぐらいで何故体を売り渡すのか。異世界の常識かもしれないが、俺はいまだに理解出来なかった。


「血なら飲ませてやるよ」

「ッ!?本当か!?」

「ちょっと待ってろ」


 俺は、道具創造を使いワイングラスを作る。そして、ミスリルの短剣で腕を斬りつけた。そして、出てきた血をワイングラスの中に垂らす。しばらく垂らして、ワイングラスの三分の一までたまると、傷を【ヒール】で治した。


「ほらよ」

「あ、ありがとう!」


 アルカは目を輝かせながら、ワイングラスを受けとる。


「ゴクリ・・・で、では一口」


 アルカは唾を飲み込み、俺の血液を一口飲む。そして、ばたりと倒れた。


「は?お、おい。大丈夫か?」


 慌ててアルカの元に近づくと、なんとアルカは顔を赤く蒸気させ、恍惚な表情を浮かべているではないか。


「お、おいしぃ・・・・何これぇぇ・・こんなの今まで吸ったこと無いぃぃ・・」


 若干声がエロくなっていた。そして、何故か血を一滴もこぼしていないワイングラスを持ち、再び血を飲む。


「ゴクン・・・はあぁぁぁ・・最高・・・」


 ・・う、うん。どうやら何とかなったようだ。いやぁよかったよかった。


「呆れたわ。まさか、敵から施しを受けるなんてね」

「?誰だい?私の至福の時間を妨げるのは・・・・ってユラか」


 アルカが振り向くと、そこには新人ランキング4位のサキュバス、ユラが怒りに満ちた表情でアルカを睨んでいた。その後ろでは、パンドラッチがアワアワしながら立ち尽くしている。


 これは、中々の厄介事な気がするぞぉ?逃げていいかな?


次回は、宣戦布告の予定です。

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