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アンデッドの戦力①

少し予定を変えました。


「ッ!?」

「お、お前は!?」

「か、カイ・ザーバンス!?」


 あ、俺よりカイの方にいくのね。まあ、しょうがないか。殺したはずの男が目の前にいたらそりゃ驚くわ。俺だって驚く。


「落ち着きなさい」

「ッ!?た、隊長!?」

「し、しかし!」

「落ち着きなさいと言っているの。それよりも死んだはずの我々が甦っている理由を考えるのが先よ」

「あ、それ俺だから」


 これ以上好き勝手話されたら、こちらの用件が進まん。そう考えた俺は、真っ先に手を挙げて自分の仕業と白状した。


「え?」

「いやだからそれ俺だから。俺がお前等を復活させたんだよ」

「・・・本当に?」

「本当だ。だがまあ、厳密には蘇生じゃない。お前達はアンデッドとして甦ったのだ」

「アンデッドだと?」


 アンデッドは流石に嫌だったかな?まあ、アンデッドで何かと汚物のような扱いを受けるからな。嫌でもしょうがないさ。


「・・・そうか。では、今の我々の主は貴殿ということになるか」

「そゆことそゆこと」

「そうか」


 あら、これは嫌なのか?まあ、拒否されたら安全のため始末するしかない。少し惜しいが仕方ない。


「お前達・・・・・喜べ!あのクソ公王から解放されたぞ!!」

「「「おおーーー!!」」」


 ・・・はい?どうなってんのこれ?










 その後、狂喜乱舞している四人を何とか諌めた後、理由を聞くことにした。どうやらこの四人は、先代公王に従っていたようだ。

 先代公王は、公国始まって以来の名君で国民からの支持を絶大だった。そこまではよかったのだが、先代公王が突如として謎の死を遂げてしまったのだと言う。

 その後に公王の座に就いたのが現公王だったのだが、この男はとんでもない愚物だった。王座に就いたと思ったら、気に入った街の娘を無理に愛妾として宮殿に連れ去り、抵抗した人間は反逆罪で処刑というもので、カイの場合は若く自分よりも人気のあるのに嫉妬し、反逆罪をでっち上げカイを処刑しようとした。そのせいか、現在公国の宮殿には公王の耳障りのいい言葉しか吐かない家臣しかいない。国民や商人、貴族から離反者が続出し、公国の経済は目に見えるように減っていった。現公王はそんな現状の理解していないのか、公国の回りにある小国に戦争を仕掛け、負けては増税負けては増税を繰り返しているらしい。

 暗殺者の四人は、先代公王の時は公王お抱えの密偵として活躍していたらしい。だが、現公王になった時は暗殺などの汚れ仕事が増えたのだという。その時から現公王には愛想を尽かしており何処かで離反するタイミングを見計らっていたらしかった。そんか所に俺の件である。というかさ。


「酷すぎないか?これ」

「そうなんですよ。本当にあのクソ公王は!」


 おう、色々溜まってたんだな。女リーダーは、先程までの落ち着いた雰囲気から一変、非常に明るい表情で現公王の悪口を吐いていく。


「あ!すみません!私ばっかり」

「いや、構わないよ。それじゃあ、君達全員こっちに付くってことでいいか?」

「勿論です!なあ!」

「「「はっ!」」」


 おおう、あっさり寝返ったな。まあ、万が一でも命令すればいいのだが。最悪始末すれば良い。


「じゃあ君達には、カイの部下になってもらうよ」

「はっ!あ!一ついいですか?」

「ん?何だ?」

「はい!実は我々が一定期間内に帰らなかった場合、公国からモンスターを討伐する名目で二個中隊規模のモンスター討伐部隊“虎”が派遣される手筈になっているんです」

「はい?バカなのか?そんなこと帝国が許すはずがない」

「はっ!“虎”は、既にこの山の反対側に集結しており進軍を開始しております!」


 え~、何でこうなるのかな。まあ、公王がバカだということにしておこう。俺が何もしなくてもどの道帝国軍に滅ぼされそうだし。


「そこで提案ですが!」

「はい?」

「“虎”の連中をアンデッドとして戦力に加えるのはいかがでしょうか!」








◆魔の森 モンスター討伐部隊“虎”



「総隊長?これどこまで行くのですか?」

「おかしいな。奴等に仕掛けてあった探知魔法がここで終わっているぞ?」


 現在、“虎”の者達は暗殺者達が殺された場所にいた。

 モンスター討伐部隊“虎”、それは先代公王の時に創設された部隊で、名前の通り公国領内に現れたモンスターを討伐する部隊である。モンスターを相手にするため、元冒険者が多く所属しているという特徴があった。全体規模は一個大隊で、計千名の兵士で構成されている。今回の件で派遣されたのは二個中隊。計四百名の部隊である。残りは、公国領内にて待機だ。


「しっかし、公王様はなに考えてるんですかね。カイ・ザーバンスの討伐にモンスター討伐部隊の俺らを差し向けるなんて」


 副官が苦言を口にすると、総隊長が副官の頭をポカリと殴る。


「痛いですよ総隊長」

「うっさい。俺らは命じられた通りにやればいいんだよ。・・・不満があるのは同じだけどな」

「そうですよね。だってここ、西方大陸一の大国セブンス帝国ですよ?」

「ああ、そして始めにカイ・ザーバンスを暗殺しに行ったのは、公国で最強と言われている“犬”の奴等だぞ?奴等がやられた相手に、数で挑んで勝てるのか?」


 総隊長は、公王に対する不満と任務の対象への不安を口にする。総隊長の不安はこのあと的中するのだが、知っているはずがない“虎”の面々は、森の中を進んでいった。


次回は、“虎”をボコボコにします。

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