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先輩ダンジョンマスター

先輩の登場です。


 第二次配下育成計画を開始して、はや一ヶ月。最高幹部の面々はレベルアップし、ダンジョン第2階層より後の階層にいるモンスターや魔石屋で買った魔石から召還したモンスターはレベルアップ・進化を果たした。中には幹部となった個体もいる。人間の入りも順調で、ギルドの上層部に告げ口してギルドが派遣した三人を筆頭に、ダンジョンは賑わいを見せている。時々第3階層に入る奴もいるのだが、獣系モンスターにフルボッコにされ帰ってくることはなかった。


 俺自身は、冒険者の中に混じり現地の意見としてこのダンジョンは難しいかどうかを聞きながらダンジョンの調整を行っていった。また、新しくダンジョンに加わったナタリアとマヤの為の部屋を最下層に作った。部屋と言っても二段ベットに机二つ、本棚、風呂などを道具創造で生み出した。食べ物も同様である。

 マヤは、現在ギルドの運営する酒場で料理人をしているそうだ。その酒場は、俺も時々顔を出している。

ナタリアは、マヤの勤める酒場で用心棒をしているらしい。もっともダンジョンを攻略するという建前で、ダンジョンに戻りモンスターの訓練や、部屋でマヤと寛いでいることもある。


 そして、一ヶ月経ったある日。


 俺は気まぐれで、ダンジョンを更に下に掘っていた。その時である。穴を掘っていたら、別の洞窟に繋がったのだ。まあここまでならまだ普通かもしれない。


 そこにピッケルを担いだ二足歩行の体長三メートルのカエルがいなければ。


「・・・・・」

「・・・・・」


 お互い声を出さない、いや出せなかった。相手側からしたら、穴掘ってたらいきなり壁から生物が出てきたのだから。


「あ、あの何してるんです?」


 俺は、試しに聞いてみる。


「そっちこそ何してるゲロ?」


 おう、喋れたのか。よし、《鑑定》してみよう。



名前 ゲローロ

種族 フロッグエンペラー

職業 ダンジョンマスター

レベル 6

ランク S

スキル 阻害されました



 ファッ!?ランクS!?しかもダンジョンマスター!?しかもスキル鑑定が阻害されちまったし、どうなってんだ!


「だ、ダンジョンマスターだったんですね」

「む?何で知ってるゲロ?ま、まさか!勇者ゲロか!?」

「ち、違いますよ!貴方と同じダンジョンマスターです!」

「え?そうなんゲロ?」


 俺は、ゲローロにこうなった経緯を話した。


「なるほど~。あんたも手動で掘ってたゲロね」

「あの、貴方ダンジョンマスターですよね?コア守らなくてもいいんですか?」

「大丈夫だゲロ。それよりも敬語は堅苦しいゲロ。普通の話し方でいいゲロ」

「ではお言葉に甘えて・・・・。ゲローロは何で穴掘っていたんだ?」

「いや~、最近侵入者が減ってきたんだゲロよ。だから支配領域を広くする為ゲロ」


 なるほど、確かに支配領域に生物がいればDPは取れる。俺もそのやり方でDPを稼いでいるからな。


「というかお前、一瞬人間かと思ったゲロが魔人ゲロか?」

「そうだ。俺の名はカゲマサ、ダンジョンマスターをやってる中級魔人さ」

「ほ~」


 俺は素直にしゃべる。相手は自分より遥かに格上の存在だ。下手に誤魔化し不快にさせれば、うちのダンジョンは終わりになってしまう。そんなことを考えていると、ゲローロは俺を観察して納得したように頷いた。


「お前は良く鍛えてるゲロね。新入りは大体最初にダンジョンを作ることだけに注力して、自身を鍛えるのが疎かになってるゲロから」


 へえ~そうなんだ。まあダンジョン作らないと、冒険者やら騎士やら勇者やらに殺されるからな。でも、まったく鍛えないのは流石に間抜けではなかろうか。


「しかし困ったゲロね。これ以上ダンジョンを広げられないとなると、う~ん」


 ゲローロは腕を組み悩んでいる。これは相手のダンジョンの問題なので俺にはどうすることも出来ない。


「まあいいゲロ。ところでカゲマサって言ったゲロか?」

「ん?そうだけど、何?」

「今度うちのダンジョンに招待してやるゲロ」


 は?ダンジョンに招待?頭大丈夫か?


「いやいやいやいや、あんた危機感ないのか!?ダンジョンの中に他人を招待するってコアを破壊されるかもしれないんだぞ!?」

「そこら辺はほら、警備を強化するから大丈夫ゲロ。伊達に何百年ダンジョンマスターやってないゲロ」


 なら仕方ない・・・・のか?

 かくして俺は、先輩ダンジョンマスターのゲローロのダンジョンに明日招待されることになった。


次回は、ゲローロのダンジョンに行きます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良い人?そうな先輩だな
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