表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
297/302

貴婦人との邂逅

 ネタ切れで大分期間が空いてしまいました。申し訳ございません。

 待っていた方は、おまたせしました。


◆ドシア王国居住地区 カゲマサside



「おいおい、なんだこれは」


 昼間のドシア王国にて、“冥府教”幹部の“騎士(ナイト)”を探している俺は、ドシア王国の居住地区と呼ばれる庶民が暮らす区域で凄惨な光景を目にしていた。


「あ〜、ちょっと失礼する。前に行きたいんだ!」


 俺は、より近くで見るために野次馬達を押しのけて、事件の現場に近づく。すると、前方から濃い血の匂いが流れてきた。


 全身がズタズタにされ身体の原型を残さず、臓器を撒き散らしながら絶命している人間の遺体。股間にアレらしき物があるから男性だろうか?

 砕かれた皿の上に載せられていたであろう、人間らしき二つの頭、女性と子供の物らしいので恐らく男性?と家族だったのだろう。周囲には、臓器だった物がバラバラに散乱していた。


「う、なんて酷いんだ」

「ここの住人は、確か造船所の大工ポッツォ氏とそのご家族らしい。よくできた人柄だったらしいが···」

「死体の状態を見るに、また深夜に行われた殺人だ。はあ、これで十一件目か」


 現場を調べていた衛兵達の会話を聞いて、これと似た事件がドシア王国内に十一回も起きていることを俺は理解する。


(これだけの残虐性を表したやり方、間違いあるまい。“騎士”だな)


 俺は、内心犯人に目星をつけていた。これだけ残酷なことをする奴なんぞ、“騎士”以外知らないからである。勿論、全く関係ない人物による関係ない事件かもしれないが。


「だが、警戒するに越したことはないな。少なくとも、いる可能性はあるのだから」


 俺は、そう呟いて現場から立ち去った。

















(ああ、遅かった!)


 カゲマサが立ち去ったと同時刻、現場から離れた家屋内から一人の男が拳を机に叩きつけていた。男は、目をちばしらせながら殺人現場を凝視する。


(奴に見られた、不味いで。貴婦人となったワイが死ぬんは大歓迎やが、あのワイから情報が抜き取られるんは看過できへん。一応本体が魂に保険を掛けとうけど、万が一もあるしなぁ)


 男、男性の“騎士”は、額に血管を浮かび上がらせながら考える。


(どうする?もう貴婦人のワイを殺すか?いや、アレはワイ等の中でも本体を除いて最上位三人に名を連ねる奴や。同じ最上位の行商人のワイが死んだ以上殺すのは、今後の計画に支障が出る。失うのは惜しいし、本体からお叱りを受けるし却下やな。じゃあ、どうするって話やけど)


 男“騎士(ナイト)”は、必死に頭を働かせる。だが、一つもまともな案は出なかった。


(う〜ん、しゃあないわ。貴婦人のワイを監視しつつ、危なくなったら助けに入る形でいくで。一応、魂を千個ほど追加したし、盾にすれば逃げ切れるやろ)


 男“騎士(ナイト)”は、そう結論付けて家屋内から姿を消す。

 本来の持ち主であろう老人の死体を、炎で燃やして。
















 深夜。俺は、“騎士(ナイト)”を探すために再びドシア王国の建物間を飛び回っていた。


「衛兵の話から、“騎士(ナイト)”らしき奴が動くのは、深夜の居住地区。動機については知らねぇが、“騎士(ナイト)”のことだ。まともな理由ではあるまい」


 俺の知る“騎士(ナイト)”は、頭のネジがイカれた狂人揃いであり、身代わり用の魂を千個以上保有しているためタフさが桁違いの厄介な敵という存在だ。そんな奴等が人を殺す理由は、悦楽のためだったので今回の“騎士(ナイト)”もそうなのだろう。


「まあ、見つけやすいのはありがたい。行動範囲が絞れたのだから」


 衛兵の話を聞けたのが良かった。あの話がなかったら、俺は昼にドシア王国全域を探し回っていただろう。

 俺が現場にいた衛兵に感謝していると、地上から二人の衛兵の声が聞こえてきた。


「おい、例の殺人鬼が現れたらしいぞ!」

「マジかよ!住人の避難は!?」

「もう付近の衛兵がやってるよ!俺達も行くぞ!殺人鬼をさっさと捕まえるんだ!」

「おう!」


 どうやら、噂をすればと言うやつのようだ。俺は、仮面の下で微笑を浮かべて居住地区に向かう衛兵二人を追った。







「あ、ああ」

「そんな、馬鹿な!?」


 二人の衛兵と俺が目にしたのは、三十人以上の衛兵の死体の山、そして被害者であろう、全身をズタズタにされた一組の男女だった。


「ああ〜、貴方が悪いのヨ?貴方が浮気をするかラ。だから、殺してやったワ。隣の雌猿も蛆虫も···アラ?私は、こんなゴミ山で何を、アラ?」


 死体の山に立っていたのは、血が付いた黒のドレスを身に纏う赤髪の美女。アレが“騎士(ナイト)”の一人なのだろう。そして、“冥府教”の言っていた〈血染の貴婦人〉の可能性が大だ。なんか、意味不明なこと言ってるし。お前等に家族なんていないだろうに。


「あら、アラアラアラあらアラアラ〜〜〜!そんなところにいたのネ、アナタッ!」


 で、そんなキチガイが俺の方に向いて、キチガイスマイルを浮かべる。俺は、背筋に悪寒が走るのを感じて、久しぶりにスキル《鑑定》を使った。



名前 ???

種族 邪魂寄生者

職業 “冥府教”上級幹部“騎士(ナイト)

レベル 85

ランク S+

スキル ???



 やはり“騎士(ナイト)”だったか。あの如何にもキチガイな笑みは間違いない。

 俺がそう納得していると、“騎士(ナイト)”が手に持った大鉈を振りかぶり、一気に急加速。道中に居た二人の衛兵の首を斬り飛ばしながら、俺へと襲いかかってきた。


「アア!愛しいアナタ!そこに居たのネ!」

「俺は、お前の家族じゃねぇ!!」


 俺は、大鉈を振りかぶる〈血染の貴婦人〉を相手に【ボックス】から雷槍を取り出して、構えるのだった。


良かったならば、高評価、ブックマーク登録、誤字脱字報告等よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] とても面白いです! 騎士との戦いが今後どうなるのか楽しみです! [一言] 酷い感想もあるみたいなのですが、 私はとても面白いと思って更新を楽しみにしています。 初めて感想を書く為にユーザー…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ